捨てられ伯爵令嬢は野獣に勝てるか

めろめろす

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アリシア

第13話

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 処刑が行われる城の入り口前の大広場は異常な熱気に包まれていた。中心には昔ながらの処刑道具であるギロチンが鎮座しており、その周りを貴族たちが座る豪華な天幕がぐるりと囲んでいる。

 アリシアはミリアンネの天幕の隣に椅子を用意されていた。結局体調が悪くなることなどなく、今朝も元気に起きてしまった。できるだけノロノロと準備をしていたが、リィルに「早くするんだ」と急かされてしまった。アリシアは隣に座っているリィルをチラリと見る。彼は朝からずっと興奮しているようで鼻息が荒かった。ノロノロと朝食を食べるアリシアを盛んに急かして、馬車の中へ押し込んだほどだ。今も目を見開いてギロチンを見つめ続けている。

「ははっ!やっとこの国に仇をなす極悪人を殺すことができる!アリシアも嬉しいだろ?」

「…そうね。」

 リィルのテンションについていけないアリシアが適当に返事をすると、気に入らなかったのかリィルが小さく舌打ちをした。


「…この処刑はこの国にとって重要な意味を持つ。この国を守る騎士団長である俺にとってもだ。その意味を君は分かってるのか。」

 冷たい声で言われて、アリシアはさっと顔色を変える。

「ごめんなさい、リィル。昨日、あまり眠れなくて少し疲れてるの。」

 慌てて謝ると、リィルは少しだけ機嫌をなおしたようで、優しくアリシアの頭を撫でる。

「いや、いいんだ。俺こそ強く言ってすまなかった。あの大罪人の処刑はこの国にとっての悲願だから俺も少し熱くなりすぎた。」

「いいのよ…。」

 リィルの頬にキスをする。するとちょうどのタイミングで、ミリアンネがアリシアたちの天幕の中に入ってくる。

「お熱いことで何よりだ。」

「きゃあ!もうミリアンネったら!」

 恥ずかしいところを見られたとアリシアが抗議するが、ミリアンネはクスクスと笑うだけだった。

「騎士団長夫婦がここまで仲良しだとこの国も安泰だな。どうかこの国をしっかり守ってくれよ、リィル。」

「もちろんです、ミリアンネ様。」

 リィルが頭を下げると、今度は天幕にバライカが入ってきた。

「ミリアンネ様、そろそろ処刑が始まるようです。」

「そうか。なら天幕に戻ろう。…アリシア、処刑は辛いだろうがしっかり見届けるんだ。それがこの国の女の務めだ。」


「承知いたしました。」

 アリシアの返事に満足してミリアンネたちが天幕から出ていく。

「アリシア、俺が君を幸せにするよ。」

「…えぇ。」

 大広間に高らかなラッパの音が響き渡る。




「これより大罪人、ラシード・コネリオンの処刑を開始する!」
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