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第一部
第28話
いつまでも三目君の行動にときめいている訳にはいかない。頭を振って正気に戻り、キッチンへと向かった。先ほど完成したお粥を器に盛り、スポーツドリンクとともにお盆にのせる。三目君に瀬尾君にご飯を持っていくと伝えると「あいつ、何するか分からないので僕も行きます。」と言って立ちあがり、手に持っていたお盆を代わりに持ってくれた。寝ていたら可哀想だと思い、音を出さないように寝室の扉を開けると、案の定小さな寝息が聞こえてくる。三目君に目で合図して、部屋から出ようとした時。
「幸尚さん…?」
弱々しい声がベッドの方から聞こえてきた。どうやら瀬尾君が起きてしまったらしい。
「あ、ごめん瀬尾君。お粥を作ったんだけど寝てたみたいだからまた後で持ってくるよ。」
「いや、食べます。お腹空きました。」
一旦引き上げようとしたが、瀬尾君はベッドから身体を起こしてしまった。引き返そうとしていた三目君を呼び止めて、お盆を受けとる。ベッドまで寄ってミニテーブルの上にお盆を置いた後、瀬尾君の額に手を当てた。やはりまだ熱が高い。薬を飲ませるためにもお粥を食べてもらわないといけない。
「瀬尾君の料理には全然かなわないけど、とりあえずお腹に入れた方がいいと思って。」
「幸尚さんが、作ってくれたんですか…?」
瀬尾君が目を丸くして顔を凝視してくる。もしかして、自分の料理が不味いんじゃないかと心配しているんじゃないかと不安になる。
「だ、大丈夫だよ。さっき味見したから!なんなら三目君にも味見してもらって…。」
「ダメです!このお粥は俺だけのものです!誰にも渡さない。」
瀬尾君がお粥の入った器を奪い取るように手に取った。そして、また今度はそのお粥を食い入るように見つめている。
「食べないなら僕が食べるけど?」
三目君が瀬尾君が持っている器に手を伸ばす。
「っ!食べるに決まってるだろ!!」
その瞬間、瀬尾君がものすごい勢いでお粥を食べ始めた。まるで数日間、何も食べてない人のようで、今度はこちらが瀬尾君を凝視してしまう。
「っ!…っふぅ!」
「瀬尾…く…ん?」
すると咀嚼音の間に別のものが混じるようになってくる。そしてそれはどんどんと大きくなっていった。
「ぐっ…ふっ……うぅあ!」
そして彼はとうとう瞳からボロボロと大粒の涙を流しはじめたのだった。
「ちょっとどうしたんだよ、瀬尾。」
ぎょっとした三目君が瀬尾君に駆け寄り、自分の首にかけていたタオルで瀬尾君の顔をぬぐってやった。瀬尾君は泣きながら三目君のなすがままになっている。まるでお兄さんと弟のような光景に、思わずクスッと笑ってしまった。
「うう!うぁ……うぶっ!」
「だから泣くなっていってるだろ!全く、僕より年上のくせになんでそんなに泣くんだよ。ほら、山口さんが作ってくれたんだからしっかり食え。」
「わがっでる!!」
鼻水まで垂らしながら、瀬尾君はガツガツとお粥を食べる。飲み物もちゃんと飲めと命令する三目君の言葉に、彼は大人しく頷いている。
「好き。好きです、幸尚さん!ずぎなんですぅ!」
「どさくさに紛れて告白するな!」
三目君に頭を叩かれる瀬尾君を見て、大声で笑ってしまったのだった。
「幸尚さん…?」
弱々しい声がベッドの方から聞こえてきた。どうやら瀬尾君が起きてしまったらしい。
「あ、ごめん瀬尾君。お粥を作ったんだけど寝てたみたいだからまた後で持ってくるよ。」
「いや、食べます。お腹空きました。」
一旦引き上げようとしたが、瀬尾君はベッドから身体を起こしてしまった。引き返そうとしていた三目君を呼び止めて、お盆を受けとる。ベッドまで寄ってミニテーブルの上にお盆を置いた後、瀬尾君の額に手を当てた。やはりまだ熱が高い。薬を飲ませるためにもお粥を食べてもらわないといけない。
「瀬尾君の料理には全然かなわないけど、とりあえずお腹に入れた方がいいと思って。」
「幸尚さんが、作ってくれたんですか…?」
瀬尾君が目を丸くして顔を凝視してくる。もしかして、自分の料理が不味いんじゃないかと心配しているんじゃないかと不安になる。
「だ、大丈夫だよ。さっき味見したから!なんなら三目君にも味見してもらって…。」
「ダメです!このお粥は俺だけのものです!誰にも渡さない。」
瀬尾君がお粥の入った器を奪い取るように手に取った。そして、また今度はそのお粥を食い入るように見つめている。
「食べないなら僕が食べるけど?」
三目君が瀬尾君が持っている器に手を伸ばす。
「っ!食べるに決まってるだろ!!」
その瞬間、瀬尾君がものすごい勢いでお粥を食べ始めた。まるで数日間、何も食べてない人のようで、今度はこちらが瀬尾君を凝視してしまう。
「っ!…っふぅ!」
「瀬尾…く…ん?」
すると咀嚼音の間に別のものが混じるようになってくる。そしてそれはどんどんと大きくなっていった。
「ぐっ…ふっ……うぅあ!」
そして彼はとうとう瞳からボロボロと大粒の涙を流しはじめたのだった。
「ちょっとどうしたんだよ、瀬尾。」
ぎょっとした三目君が瀬尾君に駆け寄り、自分の首にかけていたタオルで瀬尾君の顔をぬぐってやった。瀬尾君は泣きながら三目君のなすがままになっている。まるでお兄さんと弟のような光景に、思わずクスッと笑ってしまった。
「うう!うぁ……うぶっ!」
「だから泣くなっていってるだろ!全く、僕より年上のくせになんでそんなに泣くんだよ。ほら、山口さんが作ってくれたんだからしっかり食え。」
「わがっでる!!」
鼻水まで垂らしながら、瀬尾君はガツガツとお粥を食べる。飲み物もちゃんと飲めと命令する三目君の言葉に、彼は大人しく頷いている。
「好き。好きです、幸尚さん!ずぎなんですぅ!」
「どさくさに紛れて告白するな!」
三目君に頭を叩かれる瀬尾君を見て、大声で笑ってしまったのだった。
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