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落ちこぼれの魔法事務所
卒業①
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「はぁー、とうとう卒業ね。」
「もう頻繁にエラと会えなくなるの寂しいなぁ。」
「あら、可愛いこと言ってくれるのね。大丈夫。2人で仕事の休みを合わせてお出かけしましょう。」
「うん!」
ハフィはにっこりと笑って頷いた。
今日は魔法学校の卒業式。卒業をむかえるたくさんの魔法使いたちが大きな帽子を被って学校の中庭に集まっている。
「ハフィはやっぱりロミィの魔法事務所で働くの?」
エラがおずおずと尋ねてくる。オーラスと喧嘩をして学校を飛び出したハフィをエラは追いかけて来てくれたらしい。しかし、途中で見失ってそのまま学校に戻ったそうだ。だからゼンリューのこともロミィとロージロジのことも見られていない。
「うん、私ロミィさんと一緒に頑張るって決めたの。ロミィさんを信じて立派な魔女になる!」
「そう…。ハフィがそう決めたんだったら私はもう何も言わない。ハフィのことを応援するわ。これからはお互いに立派な魔女を目指して頑張りましょう!」
「うん!」
2人でニコニコと笑い合っていると「なんだ。結局やめなかったのか。」という声が割って入る。
「…オーラス。今はあなたと喋る気分じゃないの。あっちに行ってちょうだい。」
「お前の気分なんか関係ないさ。…ロミィの事務所に入るのか?」
エラに鋭い視線を向けたオーラスが、ハフィの方を振り向いて無表情で尋ねてくる。ハフィはオーラスに負けないよう胸を張って「うん!」と頷いた。
「オーラスがなんと言おうとロミィさんは私の大事なお師匠様なの。私はロミィさんを信じるの。」
「…勝手にしろ。」
そんなやりとりをしていると、遠くの壇上で今年の卒業生首席が発表されている。
「女子、エラ・ルインドール!男子・オーラスクス・モードレス!」
「あら、あなたも首席なの?」
「お前もな。」
2人がガルガルとお互いを威嚇しながら壇上へと向かっていく。
「すごいなぁ。」
ハフィはそんな2人を尊敬の眼差しで見つめる。結局大した魔法を使えないハフィは、落第ギリギリでの卒業となった。それでも卒業できただけありがたい。これからはロミィと一緒に魔法事務所で働くのだ。
「ふふ。楽しみ!」
「エステレラ魔法学校の首席卒業生には、王様専属魔法使いのロージロジ・メフィストからお祝いのローブが贈られる!」
「え?」
ハフィが慌てて壇上を見ると、そこにはオーラスとエラ、そしてロミィの姿があった。
「お師匠様!」
キラキラと輝くロミィの姿にオーラスもエラも熱に浮かされたように頬を赤くして、彼の顔を見上げている。ロミィは2人に笑顔でローブを着せた後、くるりと群衆の方向を向いた。
「卒業おめでとう、若き魔法使いたち。これから君たちは魔法使いとしてさまざまな道に足を踏み出すだろう。きっと今までにない挫折や苦しみを経験する。魔法なんてなんの役にも立たないと絶望することもあるかもしれない。けれど自分の魔法を信じるんだ。そしてそれは自分自身を信じるということだ。そうすれば魔法はかならず君たちに応えてくれる。魔法使いにとって一番大事なのは強い魔力なんかじゃない。自分を信じて、仲間を信じて、そして誰かのために頑張れるということだ。」
ロミィが人差し指を振ると、空に色とりどりの花火が打ち上がり、キラキラと輝く七色の星が降り注ぐ。
「さぁ、進みたまえ若人よ!輝かしい未来が君たちを待っている!」
大勢の魔法使いたちが歓声を上げて帽子を脱いで空へ放り投げる。それと同時にロミィの姿が壇上をから消える。
「あれ?」
「卒業おめでとう、ハフィ。君の卒業する瞬間を間近で見られて嬉しかったよ。これからよろしくね。」
「はわっ!」
突然後ろから優しく抱きしめられる。慌てて顔だけ振り向くと、ローブで顔を隠したロミィがふわりと浮かんでいる。
「ロミィさん!」
「これからよろしくね。僕の大事な一番弟子!」
ハフィはにっこり笑ってロミィに強く抱きついたのだった。
「もう頻繁にエラと会えなくなるの寂しいなぁ。」
「あら、可愛いこと言ってくれるのね。大丈夫。2人で仕事の休みを合わせてお出かけしましょう。」
「うん!」
ハフィはにっこりと笑って頷いた。
今日は魔法学校の卒業式。卒業をむかえるたくさんの魔法使いたちが大きな帽子を被って学校の中庭に集まっている。
「ハフィはやっぱりロミィの魔法事務所で働くの?」
エラがおずおずと尋ねてくる。オーラスと喧嘩をして学校を飛び出したハフィをエラは追いかけて来てくれたらしい。しかし、途中で見失ってそのまま学校に戻ったそうだ。だからゼンリューのこともロミィとロージロジのことも見られていない。
「うん、私ロミィさんと一緒に頑張るって決めたの。ロミィさんを信じて立派な魔女になる!」
「そう…。ハフィがそう決めたんだったら私はもう何も言わない。ハフィのことを応援するわ。これからはお互いに立派な魔女を目指して頑張りましょう!」
「うん!」
2人でニコニコと笑い合っていると「なんだ。結局やめなかったのか。」という声が割って入る。
「…オーラス。今はあなたと喋る気分じゃないの。あっちに行ってちょうだい。」
「お前の気分なんか関係ないさ。…ロミィの事務所に入るのか?」
エラに鋭い視線を向けたオーラスが、ハフィの方を振り向いて無表情で尋ねてくる。ハフィはオーラスに負けないよう胸を張って「うん!」と頷いた。
「オーラスがなんと言おうとロミィさんは私の大事なお師匠様なの。私はロミィさんを信じるの。」
「…勝手にしろ。」
そんなやりとりをしていると、遠くの壇上で今年の卒業生首席が発表されている。
「女子、エラ・ルインドール!男子・オーラスクス・モードレス!」
「あら、あなたも首席なの?」
「お前もな。」
2人がガルガルとお互いを威嚇しながら壇上へと向かっていく。
「すごいなぁ。」
ハフィはそんな2人を尊敬の眼差しで見つめる。結局大した魔法を使えないハフィは、落第ギリギリでの卒業となった。それでも卒業できただけありがたい。これからはロミィと一緒に魔法事務所で働くのだ。
「ふふ。楽しみ!」
「エステレラ魔法学校の首席卒業生には、王様専属魔法使いのロージロジ・メフィストからお祝いのローブが贈られる!」
「え?」
ハフィが慌てて壇上を見ると、そこにはオーラスとエラ、そしてロミィの姿があった。
「お師匠様!」
キラキラと輝くロミィの姿にオーラスもエラも熱に浮かされたように頬を赤くして、彼の顔を見上げている。ロミィは2人に笑顔でローブを着せた後、くるりと群衆の方向を向いた。
「卒業おめでとう、若き魔法使いたち。これから君たちは魔法使いとしてさまざまな道に足を踏み出すだろう。きっと今までにない挫折や苦しみを経験する。魔法なんてなんの役にも立たないと絶望することもあるかもしれない。けれど自分の魔法を信じるんだ。そしてそれは自分自身を信じるということだ。そうすれば魔法はかならず君たちに応えてくれる。魔法使いにとって一番大事なのは強い魔力なんかじゃない。自分を信じて、仲間を信じて、そして誰かのために頑張れるということだ。」
ロミィが人差し指を振ると、空に色とりどりの花火が打ち上がり、キラキラと輝く七色の星が降り注ぐ。
「さぁ、進みたまえ若人よ!輝かしい未来が君たちを待っている!」
大勢の魔法使いたちが歓声を上げて帽子を脱いで空へ放り投げる。それと同時にロミィの姿が壇上をから消える。
「あれ?」
「卒業おめでとう、ハフィ。君の卒業する瞬間を間近で見られて嬉しかったよ。これからよろしくね。」
「はわっ!」
突然後ろから優しく抱きしめられる。慌てて顔だけ振り向くと、ローブで顔を隠したロミィがふわりと浮かんでいる。
「ロミィさん!」
「これからよろしくね。僕の大事な一番弟子!」
ハフィはにっこり笑ってロミィに強く抱きついたのだった。
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