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青い王子と雨の王冠
不思議な依頼④
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「お前、この方が誰だか分かっているのか!」
「へっ?」
美しい青年の後ろから見たこともない格好をした男の人が進み出てくる。よく見れば青年も同じような服装だった。真っ白な服は首元から足元までと長く、裾には雨粒のような不思議な紋様が刻まれている。靴もこの国で人気なブーツではなくて、親指に引っ掛けるスリッパなようなものを履いていて、指の爪は2人とも真っ青に塗られていた。
「す、すいません!ちょっと出かけるつもりだったもので!あ、あの、ロミィの魔法事務所にようこそ!何かご依頼ですか?」
ハフィが事務所の決まり文句を口にする。
「依頼ではあるのだが…。ロミィ殿に直接お話ししたい。」
青年が低く艶のある声で話す。ハフィはその静かで透き通るような声にうっとりと耳を傾けてしまった。ぼーっとしていると、またもや先ほどの男の人が「おい、聞いているのか!」と怒鳴ってくる。
「ひっ!あ、すいません!あの!ロミィさんですよね!?じ、実は今日は急用で事務所に入っていないんです。」
少し怯えたように身を固くしながらハフィが答えると、美しい青年は咎めるように男を振り返る。
「静間。こんな可愛らしい女の子をそう脅すものではない。」
「し、しかし!」
「私の部下がすまなかった。どうか許してくれるかい?」
「は、はひ!」
青年が膝を折ってハフィと視線を合わせてくれる。
(なんて…綺麗な…。)
至近距離で見る青年は本当に美しかった。青く澄んだ瞳に、白い肌。高い鼻に、凛々しい眉。黒い艶のある髪を片方だけ伸ばされていて、三つ編みをビーズのような髪留めで結んでいた。
「ありがとう、可愛らしい人。ロミィ殿はいないのか…。それは困ったなぁ。」
青年はにっこりと笑った後に、小さくため息をつく。
「あの、ロミィさんにご依頼ですか?一応私、一番弟子なんですけど、やっぱりロミィさんじゃないとダメですかね?」
ハフィが恐る恐る言うと、青年が驚いたように目を丸くした。
「ほぉ、彼に一番弟子がいたとは初耳だ。1人で事務所をやっていると聞いていたのだが。」
「つい最近一番弟子になったので!あの、やっぱり私じゃダメですか?」
「ふむ…。魔法使いにとって一番弟子はとても深い絆のある存在だと聞く。だとすれば君に話をしてみてもいいかもしれないな。静間もそれでいいかな?」
「…善雨様のお望み通りに。」
男は善雨と呼ばれた青年に向かって深々と頭を下げた。
「あ、あの!でしたらこちらのソファに座ってください。バターケーキはいかがですか?近くのお店のものでとっても美味しいんです!」
「っ善雨様がそのようなものを口にすると思うのか!」
「…静間。いただくよ、ありがとう。」
また大きな声を出してきた静間を善雨がなだめてハフィに笑いかける。それを見て安心したハフィは急いでお茶の準備を整え、善雨の前に座った。
「そ、それではご依頼についてお聞かせください!」
初めての依頼にハフィは緊張して声が大きくなってしまう。そんなハフィを微笑ましげに見ていた善雨だったが、すぐに真剣な表情へと変わった。
「…ロミィ殿に、泥棒を捕まえてほしいのだ。」
「ど、泥棒ですか?」
予想もしていなかった内容にハフィが目を丸くする。善雨はコクリと頷いた。
「へっ?」
美しい青年の後ろから見たこともない格好をした男の人が進み出てくる。よく見れば青年も同じような服装だった。真っ白な服は首元から足元までと長く、裾には雨粒のような不思議な紋様が刻まれている。靴もこの国で人気なブーツではなくて、親指に引っ掛けるスリッパなようなものを履いていて、指の爪は2人とも真っ青に塗られていた。
「す、すいません!ちょっと出かけるつもりだったもので!あ、あの、ロミィの魔法事務所にようこそ!何かご依頼ですか?」
ハフィが事務所の決まり文句を口にする。
「依頼ではあるのだが…。ロミィ殿に直接お話ししたい。」
青年が低く艶のある声で話す。ハフィはその静かで透き通るような声にうっとりと耳を傾けてしまった。ぼーっとしていると、またもや先ほどの男の人が「おい、聞いているのか!」と怒鳴ってくる。
「ひっ!あ、すいません!あの!ロミィさんですよね!?じ、実は今日は急用で事務所に入っていないんです。」
少し怯えたように身を固くしながらハフィが答えると、美しい青年は咎めるように男を振り返る。
「静間。こんな可愛らしい女の子をそう脅すものではない。」
「し、しかし!」
「私の部下がすまなかった。どうか許してくれるかい?」
「は、はひ!」
青年が膝を折ってハフィと視線を合わせてくれる。
(なんて…綺麗な…。)
至近距離で見る青年は本当に美しかった。青く澄んだ瞳に、白い肌。高い鼻に、凛々しい眉。黒い艶のある髪を片方だけ伸ばされていて、三つ編みをビーズのような髪留めで結んでいた。
「ありがとう、可愛らしい人。ロミィ殿はいないのか…。それは困ったなぁ。」
青年はにっこりと笑った後に、小さくため息をつく。
「あの、ロミィさんにご依頼ですか?一応私、一番弟子なんですけど、やっぱりロミィさんじゃないとダメですかね?」
ハフィが恐る恐る言うと、青年が驚いたように目を丸くした。
「ほぉ、彼に一番弟子がいたとは初耳だ。1人で事務所をやっていると聞いていたのだが。」
「つい最近一番弟子になったので!あの、やっぱり私じゃダメですか?」
「ふむ…。魔法使いにとって一番弟子はとても深い絆のある存在だと聞く。だとすれば君に話をしてみてもいいかもしれないな。静間もそれでいいかな?」
「…善雨様のお望み通りに。」
男は善雨と呼ばれた青年に向かって深々と頭を下げた。
「あ、あの!でしたらこちらのソファに座ってください。バターケーキはいかがですか?近くのお店のものでとっても美味しいんです!」
「っ善雨様がそのようなものを口にすると思うのか!」
「…静間。いただくよ、ありがとう。」
また大きな声を出してきた静間を善雨がなだめてハフィに笑いかける。それを見て安心したハフィは急いでお茶の準備を整え、善雨の前に座った。
「そ、それではご依頼についてお聞かせください!」
初めての依頼にハフィは緊張して声が大きくなってしまう。そんなハフィを微笑ましげに見ていた善雨だったが、すぐに真剣な表情へと変わった。
「…ロミィ殿に、泥棒を捕まえてほしいのだ。」
「ど、泥棒ですか?」
予想もしていなかった内容にハフィが目を丸くする。善雨はコクリと頷いた。
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