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青い王子と雨の王冠
泥棒を捕まえろ③
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「っ…!…い!」
遠くで何か聞こえる。まだ眠いのに。もう少し寝かせて欲しいという気持ちで布団を頭から被ってみた。しかし、その布団を乱暴にはがされてしまう。
「こらっ!いつまで寝ている!善雨さまはもう朝の支度は終わっているんだぞ!」
「ん……えっ?」
眠そうに目をこすり、あくびをしながら体を起こすハフィ。ベッドの側で、布団を持ち上げながらプンプン起こっているのは静間だった。
「ほら、早く準備をしないか。善雨様はお忙しい方なんだ。お前の泥棒探しに付き合ってくださるなんて、こんなありがたいことはないんだぞ?だから!」
「女の子の部屋に勝手に入らないでください!!バカぁーーー!」
ハフィは使っていた枕を静間の顔面に叩きつけたのだった。
「あっはっはっ!それは静間が悪いね。レディの部屋に勝手に入るものじゃないよ。主人の私からも謝るから許してくれるかい?」
「も、もちろんです!私、ちょっと寝ぼけてて…。静間さんもごめんなさい。」
「…悪かった。」
善雨の横に控えながら、拗ねたような顔で謝る静間を見て、善雨はまたクスクスと笑っている。
朝の支度を終えて、ハフィが連れてこられたのは大きな食堂だった。長いテーブルがあって、綺麗な彫り込みがされた椅子が何脚も並んでいる。入り口から一番遠くのお誕生日席に善雨は座っていて、昨日の不安そうな表情とは一転、爽やかな笑顔でハフィに挨拶してくれた。
朝の顛末を話すと笑いながら聞いてくれて、ハフィは少しだけ心が軽くなる。
「お詫びと言ってはなんだが、美味しい朝食を用意したんだ。一緒に食べよう。」
善雨に誘われて頷いたハフィは、善雨の近くの椅子に腰を下ろす。するとたくさんのメイドさんが次々に美味しそうな料理を持ってきてくれた。
「冷めないうちに食べよう。」
善雨の言葉に大きく頷いて、ハフィは目の前のご馳走に集中することにしたのだった。
「今日は王冠があった宝物庫の中を調べてみようと思うんだ。犯人の痕跡か何かあればいいと思ってね。」
食事も終わり、お茶を飲んで一息ついていた時、善雨が話し出す。
「そ、そうですね!1週間しかないから急がないと!」
美味しいご飯を食べて、幸せに浸っていたハフィは、突然現実に引き戻されたような気がして俯く。それを見た善雨は立ち上がって、慰めるようにハフィの頭を撫でてくれた。
「大丈夫。きっと犯人は見つかるから、君はそんなに心配しないで。」
善雨がにっこりと笑う。犯人が見つかる根拠はないけれど、善雨と一緒に探せば見つかるかもしれない。そう自分を奮い立たせて、ハフィは「はい!」と元気に返事をしたのだった。
遠くで何か聞こえる。まだ眠いのに。もう少し寝かせて欲しいという気持ちで布団を頭から被ってみた。しかし、その布団を乱暴にはがされてしまう。
「こらっ!いつまで寝ている!善雨さまはもう朝の支度は終わっているんだぞ!」
「ん……えっ?」
眠そうに目をこすり、あくびをしながら体を起こすハフィ。ベッドの側で、布団を持ち上げながらプンプン起こっているのは静間だった。
「ほら、早く準備をしないか。善雨様はお忙しい方なんだ。お前の泥棒探しに付き合ってくださるなんて、こんなありがたいことはないんだぞ?だから!」
「女の子の部屋に勝手に入らないでください!!バカぁーーー!」
ハフィは使っていた枕を静間の顔面に叩きつけたのだった。
「あっはっはっ!それは静間が悪いね。レディの部屋に勝手に入るものじゃないよ。主人の私からも謝るから許してくれるかい?」
「も、もちろんです!私、ちょっと寝ぼけてて…。静間さんもごめんなさい。」
「…悪かった。」
善雨の横に控えながら、拗ねたような顔で謝る静間を見て、善雨はまたクスクスと笑っている。
朝の支度を終えて、ハフィが連れてこられたのは大きな食堂だった。長いテーブルがあって、綺麗な彫り込みがされた椅子が何脚も並んでいる。入り口から一番遠くのお誕生日席に善雨は座っていて、昨日の不安そうな表情とは一転、爽やかな笑顔でハフィに挨拶してくれた。
朝の顛末を話すと笑いながら聞いてくれて、ハフィは少しだけ心が軽くなる。
「お詫びと言ってはなんだが、美味しい朝食を用意したんだ。一緒に食べよう。」
善雨に誘われて頷いたハフィは、善雨の近くの椅子に腰を下ろす。するとたくさんのメイドさんが次々に美味しそうな料理を持ってきてくれた。
「冷めないうちに食べよう。」
善雨の言葉に大きく頷いて、ハフィは目の前のご馳走に集中することにしたのだった。
「今日は王冠があった宝物庫の中を調べてみようと思うんだ。犯人の痕跡か何かあればいいと思ってね。」
食事も終わり、お茶を飲んで一息ついていた時、善雨が話し出す。
「そ、そうですね!1週間しかないから急がないと!」
美味しいご飯を食べて、幸せに浸っていたハフィは、突然現実に引き戻されたような気がして俯く。それを見た善雨は立ち上がって、慰めるようにハフィの頭を撫でてくれた。
「大丈夫。きっと犯人は見つかるから、君はそんなに心配しないで。」
善雨がにっこりと笑う。犯人が見つかる根拠はないけれど、善雨と一緒に探せば見つかるかもしれない。そう自分を奮い立たせて、ハフィは「はい!」と元気に返事をしたのだった。
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