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始まり②
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「御門君が他の女の人と結婚するなんて絶対駄目ぇー!私でさえ付き合ってるだけなのに!そんな聖女とか言う人と突然結婚なんてしないよね、御門君!」
大声で捲し立てる。しかし御門君は何も話さず女性をじっと見ているだけだった。すると女性はやっと私の存在に気づいたようで不快げに片眉を上げた。
「んー?あなた誰?御門君だけ呼んだつもりだったんだけど!駄目よ、勝手についてきたら!」
御門君に体を寄せている私を見て女性は私を無理やり引き剥がそうとした。
「駄目よ!御門君には聖女がいるんだから、横恋慕しないでね!御門君と聖女は運命の2人なんだから!顔を合わせたらすぐに恋に落ちるの!うふふ、とっても楽しみだわ!」
「な!なんですか、それ!聖女なんて知りませんよ!御門君は私の彼氏なんです!勝手なこと言わないでください!」
ギャンギャンわめいて抵抗してみるが、女の人は不快そうに耳を塞いだだけだった。御門君は無表情のままで遠くを眺めている。小さな声で「苦しいんだが?」と聞こえてくるが誰が離すか!!
しかし、女性は業を煮やしたようだ。
「あー、うるさいわねぇ!せっかくあの子にピッタリの男の子を見つけたんだから邪魔しないでちょうだい!ね、御門君、聖女可愛かったでしょ?あんな子と結婚できるんだよー!あ、戦いとか不安?それは大丈夫!女神である私が勇者としての力を授けるから、負けることはないです!」
「ちょ、ちょっと!私の話を聞いてるんですか!」
女神と名乗った女性が私と御門君をとうたう引き剥がして、その腕に抱きついた。
「あーーーー!御門君に触るなぁーーーー!」
「きゃあ!こわーーーい!」
怒髪天をつく。目を吊り上げて女神を睨みつけていると、女神はぶりっ子しながら御門君にさらに強く抱きついた。
「ぎぃぃぃ!はなせーー!!!」
「きゃあ!本当に怖い!」
歯を剥きながら、女神と御門君の間に割って入る。ふーふーと荒い息を吐きながら女神を威嚇していると、御門君の手刀が頭にクリーンヒットした。
「いだぁ!」
「初対面の女性を威嚇するな。…すまないな。」
「い、いや。いいのよ…。そ、それでね!さっきの話なんだけど、あなたは私の世界の勇者なの。世界を救うために私の世界に来て勇者になってもらいたいのよ。」
「…困ってる人がいるのか?」
「…多くの人が困ってるの。」
「そうか。」
少し考える素振りを見せた御門君だったが、すぐに何かを決意したように女神を見据えた。
「あ!これダメなやつ!御門君の正義感よ、発揮されるな!!!」
「うるさい。女神よ、俺は行く。」
「あーーー!御門君の男前ぇーーー!」
高校3年、生徒会長。剣道部主将、ボランティア同好会会長。人のために生き、悪を許さない日本男児。それが御門君。そんな御門君が誰かが苦しんでいることを見逃がすはずがない。
「ありがとう、御門君!じゃあ行きましょうね!」
にっこりと笑った女神がまた御門君に抱きつく。
「ちょっーーーとまったぁーーー!御門君が行くなら私も行くーーーー!」
私は女神とともに行こうとしている御門君にまた抱きついた。
「御門君がいるところに私あり!!ぜったい1人にしないからーーーー!御門君は私が守るぅー!」
「…。女神、この子も行けるか?」
「えーっと、ちょっと関係ない子を連れて行くわけには…。」
「関係なくない!私は御門君の彼女でおり将来の嫁よ!いつだってそばで支えるのが私の役目!聖女なんかに渡さないわよーーーーー!」
「…すまない。連れて行かないと自分でやってきそうだ。」
「…そ、そうね。わかりました。特別に連れて行きます。でも、覚悟しておいて。御門君と聖女は運命の相手なの。2人が惹かれ合うのは避けられないわ。苦しい思いをするのはあなたなのよ。」
「ぜーーーーーーったい御門君は渡さないわ!やれるもんならやってみろぉーーー!」
「…女神よ、早く行こう。世界を救わねば。」
「そうね。では私の世界へ!」
大声で捲し立てる。しかし御門君は何も話さず女性をじっと見ているだけだった。すると女性はやっと私の存在に気づいたようで不快げに片眉を上げた。
「んー?あなた誰?御門君だけ呼んだつもりだったんだけど!駄目よ、勝手についてきたら!」
御門君に体を寄せている私を見て女性は私を無理やり引き剥がそうとした。
「駄目よ!御門君には聖女がいるんだから、横恋慕しないでね!御門君と聖女は運命の2人なんだから!顔を合わせたらすぐに恋に落ちるの!うふふ、とっても楽しみだわ!」
「な!なんですか、それ!聖女なんて知りませんよ!御門君は私の彼氏なんです!勝手なこと言わないでください!」
ギャンギャンわめいて抵抗してみるが、女の人は不快そうに耳を塞いだだけだった。御門君は無表情のままで遠くを眺めている。小さな声で「苦しいんだが?」と聞こえてくるが誰が離すか!!
しかし、女性は業を煮やしたようだ。
「あー、うるさいわねぇ!せっかくあの子にピッタリの男の子を見つけたんだから邪魔しないでちょうだい!ね、御門君、聖女可愛かったでしょ?あんな子と結婚できるんだよー!あ、戦いとか不安?それは大丈夫!女神である私が勇者としての力を授けるから、負けることはないです!」
「ちょ、ちょっと!私の話を聞いてるんですか!」
女神と名乗った女性が私と御門君をとうたう引き剥がして、その腕に抱きついた。
「あーーーー!御門君に触るなぁーーーー!」
「きゃあ!こわーーーい!」
怒髪天をつく。目を吊り上げて女神を睨みつけていると、女神はぶりっ子しながら御門君にさらに強く抱きついた。
「ぎぃぃぃ!はなせーー!!!」
「きゃあ!本当に怖い!」
歯を剥きながら、女神と御門君の間に割って入る。ふーふーと荒い息を吐きながら女神を威嚇していると、御門君の手刀が頭にクリーンヒットした。
「いだぁ!」
「初対面の女性を威嚇するな。…すまないな。」
「い、いや。いいのよ…。そ、それでね!さっきの話なんだけど、あなたは私の世界の勇者なの。世界を救うために私の世界に来て勇者になってもらいたいのよ。」
「…困ってる人がいるのか?」
「…多くの人が困ってるの。」
「そうか。」
少し考える素振りを見せた御門君だったが、すぐに何かを決意したように女神を見据えた。
「あ!これダメなやつ!御門君の正義感よ、発揮されるな!!!」
「うるさい。女神よ、俺は行く。」
「あーーー!御門君の男前ぇーーー!」
高校3年、生徒会長。剣道部主将、ボランティア同好会会長。人のために生き、悪を許さない日本男児。それが御門君。そんな御門君が誰かが苦しんでいることを見逃がすはずがない。
「ありがとう、御門君!じゃあ行きましょうね!」
にっこりと笑った女神がまた御門君に抱きつく。
「ちょっーーーとまったぁーーー!御門君が行くなら私も行くーーーー!」
私は女神とともに行こうとしている御門君にまた抱きついた。
「御門君がいるところに私あり!!ぜったい1人にしないからーーーー!御門君は私が守るぅー!」
「…。女神、この子も行けるか?」
「えーっと、ちょっと関係ない子を連れて行くわけには…。」
「関係なくない!私は御門君の彼女でおり将来の嫁よ!いつだってそばで支えるのが私の役目!聖女なんかに渡さないわよーーーーー!」
「…すまない。連れて行かないと自分でやってきそうだ。」
「…そ、そうね。わかりました。特別に連れて行きます。でも、覚悟しておいて。御門君と聖女は運命の相手なの。2人が惹かれ合うのは避けられないわ。苦しい思いをするのはあなたなのよ。」
「ぜーーーーーーったい御門君は渡さないわ!やれるもんならやってみろぉーーー!」
「…女神よ、早く行こう。世界を救わねば。」
「そうね。では私の世界へ!」
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