楽しい異能学園

限界セイちゃん

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学園生活

見破られるな!実践一年生

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 校庭には白いシャツに襟元にはブロンズカラーのブローチ、、、実践一年生の制服を着た生徒たちが円になってヒソヒソと時々風の斬る音が聞こえる。どうしてこうなったのかそれは昨夜のことであった

昨夜、初の実践一年生としての実習を終えた実践一年生たちが学園長室に報告をしに向かったときのこと。今回の実習内容は東側諸国で起きている合戦の一つ、菊の国と蒲公英(ほこうえい)の国との合戦に赴きその内容を記録することであった。初の実習ということもあり実践一年生たちの目の下には実習を終えた証のように濃い隈が出来上がっていた。八重歯のある白肌の男が学園長室の前で許可を取る。
「失礼します!実践一年生六名、無事実習から戻りました。入室してもよろしいでしょうか」
「よろしい、入っておいで」
学園長の普段とは違った穏やかさを持ち、少し真剣さを含んだ声を聞き、彼らは「失礼します」と言い入室した。
学園長室は白を基調としたシンプルな部屋であったが実習終わりの彼らからしてみれば眩いものだったようで何人かは目をパチパチと瞬きしていた。
頬に傷を持つ女がハキハキとした声で報告する。
「実践一年、今回の実習の報告をします!」
「今回は菊の国と蒲公英の国の戦でした」
「菊の国、、、ヴォルガンツインズは何かあるかい?」
ヴォルガンは双子であり代々菊の国の王を補佐する大臣を任されている家の出身だ。幼い頃から次期国王、、、一年北組のノイド・アンフェラルトとの交流をしており、今では立派な忠犬と化している。
「いえ、元々自国との戦。見ていて気持ちの良いものではないということは承知していましたし。何しろ、自国が負けるということは無いので!」
赤いメッシュが入った男は淡々と言葉を紡ぎ、青いメッシュが入った男は自信と信頼で満ちた声で返答をする。
「嗚呼、ご安心を。私情は入れておりませんので」
「「あくまでも実習(任務)なので」」
声を揃えるところは流石は双子と言ったところか。
うんうんと頷きながら学園長が評価を下す。
「なるほどな~報告書も拙いが、拙いなりによく書けている。合格だよ、初実習お疲れ様」
合格、という言葉を聞いた彼らは安堵の声を漏らしていた。
すると学園長が忘れていたと言わんばかりの表情で
「そうそう、明日一年生の課外授業の一環としてお前たちを町に送る。勿論変装してな。お前たちと一年生の初見合わせ兼初対決だ!!お前たちの勝利条件はただ一つ。一年生に意地でもバレないこと!」
「時間は明日の昼前から夕刻まで!じゃ、よろぴく~」
そういって学園長は霞のように消えていった。


真夜中の学生寮の別棟、実践生の寮では未だに明かりが灯っている。
八重歯と白肌を持つモーメント・グラースがホワイトボードに何かを書き込んでいた。
「さて、今俺の部屋に集まって貰ったのは他でもない。明日の実習のことだ」
頬に傷を持つイレート・スコールが元気よく手を上げて発言する。
「はい!明日の実習って?」
部屋に集まったイレート以外の五人はズコーッとひっくり返ったり横に倒れたり、ノリの良い反応をしていた。
「町に変装して溶け込み!」「後で来る新しい一年生に夕刻までバレずに過ごす」
「なるほどな~ありがと!フレス、ルメス!」
「「情報共有は当然の行為だ」」
「ねぇ、早く決めなきゃでしょ。本番は明日よ?」
黒く美しい長髪の女性…ノーブル・ルネサンスがそう言い、会議は進む。
「いや、やっぱり2~3人で纏まって行動したほうがいいんじゃないか?」
ボトルから水を飲み、冷静に返すのは小柄なティラユール・カンパネルラだ。
「ティラノが言うなr「誰がティラノだ!!僕はティラユールだ!!」…ごめんごめん~」ティラユールが投げたボトルをひらりと躱しながら話を続ける。
「まぁ一番は…俺らの情報をあっち(一年生)は持っているが、こっちは何もわからないっていう点だな」
どうやら当日に一年生は実践一年生である6人の情報を渡されるそうだ。
しかし、実践一年生には一年生の情報は一切ない。なので誰が一年生なのかも分からない。
「一部、変装が苦手…ヘッタクソな方もいらっしゃいますし」
ノーブルが目をやった先にいるのはイレートとティラユールだ。
「?なんだ?」「それって僕のことかい!?」
「えぇ。すべてが大胆な方と、どこへでも相棒を携帯している方。自覚があるのなら直されては?」
「大胆かなぁ?」
そういうイレートは以前の変装試験でお淑やかな女性に変装していたが、知り合いが現れた途端『あ!!あんたはあの時の!久しぶり!!!』とドタドタと走り、大声で相手を呼ぶ姿は…誰から見てもお淑やかな女性には見えず、不合格。
「僕とあーくんは一心同体なんだ!!」
同じく変装試験で図書館の司書に変装していたがティラユールの愛銃。騎兵銃(カービン銃)のアザトスことあーくんを身に着けていたため、歴代最速で不合格を言い渡されていた。
「まぁ、イレートは勝ち気な町娘。ティラユールは放浪している狙撃手…なんてどうだろ?」
モーメントがそう言うと皆賛成の意を示した。
「了解。じゃあ…」
そうやって夜は更けていく。
果たして、実践一年生は見破られずに過ごせるのか…



「やあ、今回は僕、テイラユール・カンパネルラが担当する!」
「次回はとうとう始まる一年生対実践一年生の対決、一年生がどうやって僕らを探すのか少し楽しみだ」
「一年生とはいえ油断は禁物。注意して変装していかなくては…」
「それでは恒例のジャンケン勝負だ!」
「最初はグー、じゃんけんポン!!」
「僕はチョキを出したぞ。どうだったか?」
「それじゃあ次回、見破れ!一年生。勝利は僕らだ!」
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