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秘密と憶測が真実を隠す
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現在の国王には二人の息子がいる。一人は私との婚約を破棄した第二王子で、『どきプリ2』のメイン攻略キャラクターでもあるアルフレッドだ。問題なのは彼の兄・第一王子についてだ。第一王子は現国王の実子ではない。
通常は血縁によって継承される王位だが、現国王は「魔王を倒した者は王になれる」という『勇者法』を利用して即位した人物である。伝説的な制度でこれを利用した人物がいなかったこともあり、当初彼の即位を反対する勢力が一定数存在した。そのため一時的な王位という意味で、前国王の第一王子を自身の養子として迎え入れることが即位の条件となった。その後、国王自身にも男子(アルフレッド)が誕生したため、彼は第二王子となったのだ。
王位継承順位一位となる第一王子だが、六歳の時から国外の学園に通っており、現在は国内にはいない。“留学”という名目だが、実際は彼の存在により政権争いが生じないよう双方が配慮した結果だとみられている。さらに前国王には側妃が五人おり、第一王子以外にも息子や娘がいたが、それぞれが廃嫡後、身分を隠し市井や地方で生活している。
――――――――――
※長いのですが大事な点なのでまとめると…
・第一王子は前国王の息子。政治的な理由から現国王が養子に迎える。
・第二王子は現国王の息子。
・第一王子は子供の頃から海外留学中。
・前国王には五人の息子がいた。
・第一王子以外は全員王位継承権を放棄し、普通に生活している。
――――――――――
その元王子の一人が、『どきプリ2』のゲームの攻略対象として登場する赤髪イケメンの「元第三王子・ディラン」なのだ。ゲームでは商人の息子として登場するディラン。好感度を上げることで彼の隠された身分が判明し、国外で幸せになる……というのがディランエンドだ。
「なぜそれを……」
明らかに引きつった表情を浮かべるディランに私は必死で笑顔を作る。ディランは自分が第三王子だったことをひた隠しにしており、悪役令嬢だった私では知りえない情報だからだ。
「お妃教育を受けた際に、学校では教えていただかない国の歴史も勉強いたしましたのよ」
第二王子の婚約者という立場上、子供の頃から学園での勉強とは別に『行儀作法』『王室の歴史』などを叩き込まれてきたが、勿論、前王の子供達に関する授業はなかった。だが『お妃教育』というワードを出せば彼は黙るしかないだろう。少なくとも彼やエマはそんなもの受けていないのだから。
「それで、グレイス様はここにいらっしゃるのか」
ディランは、なるほどといった表情で頷く。国の極秘情報を知る人間故に、こんな貧乏診療所で働かされている……と思ったのだろうか。単にキースさんのビジュアルと志に惹かれたからいるのだが、話がややっこしくなりそうなので、
「ええ、そうなんですの」
と笑顔でごまかしてみる。
「この事はあまり口外して欲しくないのだが……」
「勿論ですわ」
私は力強く頷いた。順番からいけば第一王子がいるため「元第三王子」を根拠に革命を起こす人間は少数派だろう。しかし、あらぬ疑いをかけられて暗殺……という血なまぐさい事件も起きかねない。何にしろ彼が「黙っていて欲しい」というのだから、それに従うのがベストだ。
「それと、この梅肉エキスとやらの製法については口外しない方がいい」
「どうしてですの?」
「そりゃあ、金になるからさ」
そう言ったディランの目は「元王子」の目ではなく、明らかに商人の目となっていた。そういえばゲームでも当初、商魂たくましい出入りの商人としてゲームに登場していたことをようやく思い出した。
通常は血縁によって継承される王位だが、現国王は「魔王を倒した者は王になれる」という『勇者法』を利用して即位した人物である。伝説的な制度でこれを利用した人物がいなかったこともあり、当初彼の即位を反対する勢力が一定数存在した。そのため一時的な王位という意味で、前国王の第一王子を自身の養子として迎え入れることが即位の条件となった。その後、国王自身にも男子(アルフレッド)が誕生したため、彼は第二王子となったのだ。
王位継承順位一位となる第一王子だが、六歳の時から国外の学園に通っており、現在は国内にはいない。“留学”という名目だが、実際は彼の存在により政権争いが生じないよう双方が配慮した結果だとみられている。さらに前国王には側妃が五人おり、第一王子以外にも息子や娘がいたが、それぞれが廃嫡後、身分を隠し市井や地方で生活している。
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※長いのですが大事な点なのでまとめると…
・第一王子は前国王の息子。政治的な理由から現国王が養子に迎える。
・第二王子は現国王の息子。
・第一王子は子供の頃から海外留学中。
・前国王には五人の息子がいた。
・第一王子以外は全員王位継承権を放棄し、普通に生活している。
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その元王子の一人が、『どきプリ2』のゲームの攻略対象として登場する赤髪イケメンの「元第三王子・ディラン」なのだ。ゲームでは商人の息子として登場するディラン。好感度を上げることで彼の隠された身分が判明し、国外で幸せになる……というのがディランエンドだ。
「なぜそれを……」
明らかに引きつった表情を浮かべるディランに私は必死で笑顔を作る。ディランは自分が第三王子だったことをひた隠しにしており、悪役令嬢だった私では知りえない情報だからだ。
「お妃教育を受けた際に、学校では教えていただかない国の歴史も勉強いたしましたのよ」
第二王子の婚約者という立場上、子供の頃から学園での勉強とは別に『行儀作法』『王室の歴史』などを叩き込まれてきたが、勿論、前王の子供達に関する授業はなかった。だが『お妃教育』というワードを出せば彼は黙るしかないだろう。少なくとも彼やエマはそんなもの受けていないのだから。
「それで、グレイス様はここにいらっしゃるのか」
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「勿論ですわ」
私は力強く頷いた。順番からいけば第一王子がいるため「元第三王子」を根拠に革命を起こす人間は少数派だろう。しかし、あらぬ疑いをかけられて暗殺……という血なまぐさい事件も起きかねない。何にしろ彼が「黙っていて欲しい」というのだから、それに従うのがベストだ。
「それと、この梅肉エキスとやらの製法については口外しない方がいい」
「どうしてですの?」
「そりゃあ、金になるからさ」
そう言ったディランの目は「元王子」の目ではなく、明らかに商人の目となっていた。そういえばゲームでも当初、商魂たくましい出入りの商人としてゲームに登場していたことをようやく思い出した。
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