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第1部 ウィスタリア聖教国と伝説の勇者
第1話
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「僕が伝説の勇者になる!!」
・・・・・勇者ごっこで、幼なじみと勇者役を取り合ったときに出たセリフだ。
前の日は魔王役をやったので、次の日は僕が勇者役をやる番だった。
前の晩から楽しみにしていた。
いつもこうして、幼なじみと一日中遊んでいた。
だけど――
いつまでも続くと思っていた日常は、突然終わりを告げた。
僕の名はホワイト。
僕と幼なじみは、親がいない。
そのため、聖教会が運営する孤児院で暮らしていた。
孤児院には、時折、貴族が訪れる。
才能がありそうな子供を、養子として迎えるためだ。
そして、僕たちにもその日が来た。
あの時のことは、今でもはっきり覚えている。
遊んでいた僕たちに、世話係が声をかけた。
「あなたたち、ちょっとこちらへ来なさい」
素直に従った僕たちの前には、数人の貴族が立っていた。
貴族たちは、僕たちをじっと観察し、口々に言った。
「うん。この子はとても目がきれいだね。この子にしようか」
「わたしはこの子がいいな」
世話係は弾んだ声で頭を下げた。
「ありがとうございます。どうか大事に育ててください」
その言葉で、僕たちは悟った。
この人たちに引き取られるのだと。
だけど――
幼なじみとは、それぞれ別の家だった。
赤い髪の幼なじみは、泣きそうな顔をしていた。
僕は、さっき拾った赤い石を差し出した。
「泣くなよ。これをあげる。おまえの目と同じ色だろ」
必死に強がりながら、続ける。
「元気にしてたら、また赤い石をあげる。だから……」
自分の方が泣きそうだった。
赤い石を、幼なじみはとても大切そうに握りしめてくれた。
黒い髪の幼なじみも、涙をこらえていた。
「また、会おうね。忘れないで。絶対、絶対だよ」
拒否は許されなかった。どこへ行っても、生きていくしかない。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「あれから十年か・・・・・」
僕は、ウィスタリア聖教国・第二騎士団に所属する騎士となっていた。
現実は過酷だ。
だからこそ、楽しかった過去を思い出してしまうのかもしれない。
第二騎士団は、魔物討伐を任される部隊だ。
今日の相手は、狼型の魔物――キラーウルフ。
正直、魔物の種類や特性を覚えるのは苦手だ。
どうせ戦いが始まれば、目の前の敵を斬ることで頭がいっぱいになる。
そして――
僕たち第二騎士団は、はっきり言って冷遇されている。
平民出身が多いからだろう。
使い捨てのように扱われている。
第一騎士団が手厚く守られる一方で、こちらは傷ついても自己責任だ。
「・・・・・時間だ。行くぞ」
小隊長の声で、僕は立ち上がった。
剣を手に取り、前線へ向かう。
だけど――この日々が、後に「勇者の聖戦」と呼ばれる時代の始まりだなんて、当時の僕は知る由もなかった。
・・・・・勇者ごっこで、幼なじみと勇者役を取り合ったときに出たセリフだ。
前の日は魔王役をやったので、次の日は僕が勇者役をやる番だった。
前の晩から楽しみにしていた。
いつもこうして、幼なじみと一日中遊んでいた。
だけど――
いつまでも続くと思っていた日常は、突然終わりを告げた。
僕の名はホワイト。
僕と幼なじみは、親がいない。
そのため、聖教会が運営する孤児院で暮らしていた。
孤児院には、時折、貴族が訪れる。
才能がありそうな子供を、養子として迎えるためだ。
そして、僕たちにもその日が来た。
あの時のことは、今でもはっきり覚えている。
遊んでいた僕たちに、世話係が声をかけた。
「あなたたち、ちょっとこちらへ来なさい」
素直に従った僕たちの前には、数人の貴族が立っていた。
貴族たちは、僕たちをじっと観察し、口々に言った。
「うん。この子はとても目がきれいだね。この子にしようか」
「わたしはこの子がいいな」
世話係は弾んだ声で頭を下げた。
「ありがとうございます。どうか大事に育ててください」
その言葉で、僕たちは悟った。
この人たちに引き取られるのだと。
だけど――
幼なじみとは、それぞれ別の家だった。
赤い髪の幼なじみは、泣きそうな顔をしていた。
僕は、さっき拾った赤い石を差し出した。
「泣くなよ。これをあげる。おまえの目と同じ色だろ」
必死に強がりながら、続ける。
「元気にしてたら、また赤い石をあげる。だから……」
自分の方が泣きそうだった。
赤い石を、幼なじみはとても大切そうに握りしめてくれた。
黒い髪の幼なじみも、涙をこらえていた。
「また、会おうね。忘れないで。絶対、絶対だよ」
拒否は許されなかった。どこへ行っても、生きていくしかない。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「あれから十年か・・・・・」
僕は、ウィスタリア聖教国・第二騎士団に所属する騎士となっていた。
現実は過酷だ。
だからこそ、楽しかった過去を思い出してしまうのかもしれない。
第二騎士団は、魔物討伐を任される部隊だ。
今日の相手は、狼型の魔物――キラーウルフ。
正直、魔物の種類や特性を覚えるのは苦手だ。
どうせ戦いが始まれば、目の前の敵を斬ることで頭がいっぱいになる。
そして――
僕たち第二騎士団は、はっきり言って冷遇されている。
平民出身が多いからだろう。
使い捨てのように扱われている。
第一騎士団が手厚く守られる一方で、こちらは傷ついても自己責任だ。
「・・・・・時間だ。行くぞ」
小隊長の声で、僕は立ち上がった。
剣を手に取り、前線へ向かう。
だけど――この日々が、後に「勇者の聖戦」と呼ばれる時代の始まりだなんて、当時の僕は知る由もなかった。
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