5 / 56
第1部 ウィスタリア聖教国と伝説の勇者
第5話
しおりを挟む
わたくし、親愛なるご主人様に永遠の忠誠と献身を捧げるメイド、エクレアでございます。
第1作目をご覧くださっていた方にはお久しぶりでございますし、はじめてお読みになる方には、どうかよろしくお願い申し上げます。
この物語は、第1作目よりおよそ五百年前――
まだ、わたくしどもが「ご主人様」を見失っていた時代のお話でございます。
本来、わたくしを含め五人のメイド兼従者が、ただお一人のご主人様の側に控え、すべてをお支えするはずでございました。
――ところが、現在。
わたくしどもは、その最も大切な存在を見失っております。
より正確に申し上げますと、ご主人様であるはずの魂の反応が、この世界で三つ検出されたのでございます。
魂は嘘をつきません。
ご主人様の魂を見極めるための魔道具というものを使って反応を見ているのですが、それが――三つも。
原因は分かりません。
本来、魂は唯一無二。
親愛なるご主人様はただお一人のはずなのに。
ですが、異常事態であるからこそ、わたくしどもは決断いたしました。
真のご主人様が判明するまでこの三名を「仮のご主人様」とし、それぞれをお守りすると。
それは本来あるべき姿ではありません。
優しいご主人様はこの失態も笑って許してくださるかもしれません。
ですがわたくしどもが自分を許せないのでございます。
本当のご主人様が判明し、わたくしどもが再びお仕えしたあかつきには、どうか厳しい罰をわたくしどもに与えてほしい。
そう、切に願います。
苦痛を伴う罰でも、はたまた尊厳を踏みにじり獣欲の命ずるまま身体を存分にもてあそぼうとも構いはしません。いやむしろそれがいい。
それでもご主人様をお守りすることこそ、わたくしどもの存在理由。
その三名のうちの一人が、
ウィスタリア聖教国に仕える少女――ラベンダー様でございました。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
みなさま、こんにちは。
・・・・・・こんばんは、の方がいいのかしら?
ええと、改めまして。
わたしはラベンダーといいます。
ホワイト君の幼なじみで、いまはウィスタリア聖教国の第一騎士団に所属しています。
ふふ、よろしくお願いしますね。
趣味は料理、かな。
ホワイト君に喜んでもらいたくて、いろいろ練習したんです。
でも、騎士団の遠征が増えてから、なかなか会えなくなってしまって・・・・・。
せっかく手料理を振る舞おうと思っていたのに、ちょっと残念。
将来の夢はお嫁さん、です。
かわいいお嫁さんになって、帰ってきたホワイト君を迎えるの。
「おかえりなさい。ごはんにする? お風呂にする? それとも・・・・・わたし?」
な~んてことも言っちゃったりして~。
夫をたてて家庭をまもる妻を目指しているのよ。
もちろん相手はホワイト君。
稼ぎがたとえ少なくてもそこは私の腕で満足できる料理を作って見せるわ。
掃除洗濯それに、子育ても。うふ。やーだ、はずかしー。
え? 聞いてない?
・・・・・・あ、恥ずかしいですね。
ええと、話を戻しますね。
第一騎士団は、本来は貴族の子息しか入れない場所なんです。
でもわたしは、特例で入団を許されました。
平民で、それも孤児院育ちのわたしが。
それだけでも、すごく不思議な話ですよね。
理由は一つ。
わたしの魔力が、必要だったから。
でも、その魔力には秘密があります。
小さいころから、わたしには――
わたしにしか見えない、創造神のみ使い様がついていてくれたんです。
名前は、イオニーアさん。
本当はイオニアというらしいけれど、今はそう呼んでほしいって。
最近までわたしにしか見えないんだと思っていたんだけど、本当はそうじゃなくて、意図的に存在感を低くして目立たないようにしていただけだそうです。
茶色い色のローブを頭からかぶり認識阻害の魔法で見えていても感知しにくくしています。
よかった。てっきり幽霊かなにかかと思ってたんだから。
そんなイオニーアさんに魔法の使い方も、魔力を増やす訓練も、全部教えてもらいました。
だから、気づいたら副団長にまでなっていて・・・・・・。
でも最近、少し周りが騒がしいんです。
わたしの魔力を目的に、貴族の方が婚約を申し込んできたり。
断ると、今度は幼なじみのクラレット君と付き合っているんじゃないか、なんて言われたり。
・・・・・・どうして、誰もホワイト君の名前を出してくれないんでしょう。
もし聞かれたら、はいって答えるつもりなのに。
そんなある日。
イオニーアさんが、珍しく険しい顔をして言いました。
「――ラベンダー。あなたの魂に、魔力反応が見られるわ。この魔力どこから来てるのかしら?」
え?
意味が分からず問い返そうとした、その瞬間。
頭の奥から、警鐘が鳴り響きました。
まるで、大切なことを早く思い出せと、言わんばかりに。
第1作目をご覧くださっていた方にはお久しぶりでございますし、はじめてお読みになる方には、どうかよろしくお願い申し上げます。
この物語は、第1作目よりおよそ五百年前――
まだ、わたくしどもが「ご主人様」を見失っていた時代のお話でございます。
本来、わたくしを含め五人のメイド兼従者が、ただお一人のご主人様の側に控え、すべてをお支えするはずでございました。
――ところが、現在。
わたくしどもは、その最も大切な存在を見失っております。
より正確に申し上げますと、ご主人様であるはずの魂の反応が、この世界で三つ検出されたのでございます。
魂は嘘をつきません。
ご主人様の魂を見極めるための魔道具というものを使って反応を見ているのですが、それが――三つも。
原因は分かりません。
本来、魂は唯一無二。
親愛なるご主人様はただお一人のはずなのに。
ですが、異常事態であるからこそ、わたくしどもは決断いたしました。
真のご主人様が判明するまでこの三名を「仮のご主人様」とし、それぞれをお守りすると。
それは本来あるべき姿ではありません。
優しいご主人様はこの失態も笑って許してくださるかもしれません。
ですがわたくしどもが自分を許せないのでございます。
本当のご主人様が判明し、わたくしどもが再びお仕えしたあかつきには、どうか厳しい罰をわたくしどもに与えてほしい。
そう、切に願います。
苦痛を伴う罰でも、はたまた尊厳を踏みにじり獣欲の命ずるまま身体を存分にもてあそぼうとも構いはしません。いやむしろそれがいい。
それでもご主人様をお守りすることこそ、わたくしどもの存在理由。
その三名のうちの一人が、
ウィスタリア聖教国に仕える少女――ラベンダー様でございました。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
みなさま、こんにちは。
・・・・・・こんばんは、の方がいいのかしら?
ええと、改めまして。
わたしはラベンダーといいます。
ホワイト君の幼なじみで、いまはウィスタリア聖教国の第一騎士団に所属しています。
ふふ、よろしくお願いしますね。
趣味は料理、かな。
ホワイト君に喜んでもらいたくて、いろいろ練習したんです。
でも、騎士団の遠征が増えてから、なかなか会えなくなってしまって・・・・・。
せっかく手料理を振る舞おうと思っていたのに、ちょっと残念。
将来の夢はお嫁さん、です。
かわいいお嫁さんになって、帰ってきたホワイト君を迎えるの。
「おかえりなさい。ごはんにする? お風呂にする? それとも・・・・・わたし?」
な~んてことも言っちゃったりして~。
夫をたてて家庭をまもる妻を目指しているのよ。
もちろん相手はホワイト君。
稼ぎがたとえ少なくてもそこは私の腕で満足できる料理を作って見せるわ。
掃除洗濯それに、子育ても。うふ。やーだ、はずかしー。
え? 聞いてない?
・・・・・・あ、恥ずかしいですね。
ええと、話を戻しますね。
第一騎士団は、本来は貴族の子息しか入れない場所なんです。
でもわたしは、特例で入団を許されました。
平民で、それも孤児院育ちのわたしが。
それだけでも、すごく不思議な話ですよね。
理由は一つ。
わたしの魔力が、必要だったから。
でも、その魔力には秘密があります。
小さいころから、わたしには――
わたしにしか見えない、創造神のみ使い様がついていてくれたんです。
名前は、イオニーアさん。
本当はイオニアというらしいけれど、今はそう呼んでほしいって。
最近までわたしにしか見えないんだと思っていたんだけど、本当はそうじゃなくて、意図的に存在感を低くして目立たないようにしていただけだそうです。
茶色い色のローブを頭からかぶり認識阻害の魔法で見えていても感知しにくくしています。
よかった。てっきり幽霊かなにかかと思ってたんだから。
そんなイオニーアさんに魔法の使い方も、魔力を増やす訓練も、全部教えてもらいました。
だから、気づいたら副団長にまでなっていて・・・・・・。
でも最近、少し周りが騒がしいんです。
わたしの魔力を目的に、貴族の方が婚約を申し込んできたり。
断ると、今度は幼なじみのクラレット君と付き合っているんじゃないか、なんて言われたり。
・・・・・・どうして、誰もホワイト君の名前を出してくれないんでしょう。
もし聞かれたら、はいって答えるつもりなのに。
そんなある日。
イオニーアさんが、珍しく険しい顔をして言いました。
「――ラベンダー。あなたの魂に、魔力反応が見られるわ。この魔力どこから来てるのかしら?」
え?
意味が分からず問い返そうとした、その瞬間。
頭の奥から、警鐘が鳴り響きました。
まるで、大切なことを早く思い出せと、言わんばかりに。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
没落港の整備士男爵 ~「構造解析」スキルで古代設備を修理(レストア)したら、大陸一の物流拠点になり、王家も公爵家も頭が上がらなくなった件~
namisan
ファンタジー
大陸の南西端に位置するベルナ子爵領。
かつては貿易で栄えたこの港町も、今は見る影もない。
海底には土砂が堆積して大型船は入港できず、倉庫街は老朽化し、特産品もない。借金まみれの父と、諦めきった家臣たち。そこにあるのは、緩やかな「死」だけだった。
そんな没落寸前の領地の嫡男、アレン(16歳)に転生した主人公には、前世の記憶があった。
それは、日本で港湾管理者兼エンジニアとして働き、現場で散った「整備士」としての知識。
そして、彼にはもう一つ、この世界で目覚めた特異な能力があった。
対象の構造や欠陥、魔力の流れが設計図のように視えるスキル――【構造解析】。
「壊れているなら、直せばいい。詰まっているなら、通せばいい」
アレンは錆びついた古代の「浚渫(しゅんせつ)ゴーレム」を修理して港を深く掘り直し、魔導冷却庫を「熱交換の最適化」で復活させて、腐るだけだった魚を「最高級の輸出品」へと変えていく。
ドケチな家令ガルシアと予算を巡って戦い、荒くれ者の港湾長ゲンと共に泥にまみれ、没落商会の女主人メリッサと手を組んで販路を開拓する。
やがてその港には、陸・海・空の物流革命が巻き起こる。
揺れない「サスペンション馬車」が貴族の移動を変え、「鮮度抜群の魚介グルメ」が王族の胃袋を掴み、気性の荒いワイバーンを手懐けた「空輸便」が世界を結ぶ。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
僕に仕えるメイドは世界最強の英雄です1~またクビになったけど、親代わりのメイドが慰めてくれるので悲しくなんてない!!~
あきくん☆ひろくん
ファンタジー
仕事を失い、居場所をなくした青年。
彼に仕えるのは――世界を救った英雄たちだった。
剣も魔法も得意ではない主人公は、
最強のメイドたちに守られながら生きている。
だが彼自身は、
「守られるだけの存在」でいることを良しとしなかった。
自分にできることは何か。
この世界で、どう生きていくべきか。
最強の力を持つ者たちと、
何者でもない一人の青年。
その主従関係は、やがて世界の歪みと過去へと繋がっていく。
本作は、
圧倒的な安心感のある日常パートと、
必要なときには本格的に描かれる戦い、
そして「守られる側の成長」を軸にした
完結済み長編ファンタジーです。
シリーズ作品の一編ですが、本作単体でもお楽しみいただけます。
最後まで安心して、一気読みしていただければ幸いです。
なお、シリーズ第二作目が、現在なろう様、カクヨム様で連載しています。
2月13日完結予定。
その後、アルファポリス様にも投稿する予定でいます。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる