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第1部 ウィスタリア聖教国と伝説の勇者
第12話
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僕はメイズと名乗った魔族を見る。
メイズと名乗る魔族は、武人としても戦士としても超一流であることはその気配からでも感じられた。
強い。
ただそれしか感じなかった。
気づけば、自分の力量と相手の力量差をじっくり分析する自分がいる。
相手とどれぐらい差があるのか、現状を認識できないものから戦場では脱落していく。
僕は抜きんでた力を持っているわけではないけど、それだけに自分の力量にうぬぼれはなく冷静に相手との差を感じていた。
圧倒的に強い。
あえてこちらの有利な点をあげるとすれば、相手は僕が初対面なのでこちらの力を知らないでいることだろう。
だけど、僕は命を捨てている。
たとえ、刺し違えても死んだら自爆するのだ。迷う必要はない。
気づけば、僕はメイズに切り掛かっていた。
数回は剣を交えただろうか。
しかし、魔力の差はもちろんのことだがそれ以上に剣の腕前にも圧倒的な差があった。
僕の身体にはたちまち無数の切り傷ができた。
そのうち致命傷となる傷が2か所ほど入ってしまった。
「ここまできたことは感嘆に値するが、私の相手をするには力が足りなかったなぁ。身体に入った傷の一つが致命傷に近いのだろうぅ」
「だがぁ、お主は命を捨てようとしている。腕につけているのは自爆用の魔道具だぁ」
ぴこーんぴこーんぴこーん。
「そらぁ、魔道具が反応しだしたようだ。まもなく大爆発を起こすだろう」
メイズは僕を憐れむような目をしている。
自爆用の魔道具のこともお見通しのようだ。
これではメイズを爆発に巻き込むこともできなさそうだ。
「自らの命を投げ出して国を救うとはぁ。人族にもこのような勇気のある行動をおこす者がいたとはぁ・・・・・・」
メイズは僕を見ながら別のものを見ているような眼差しでつぶやく。
「自分を犠牲にして他者を生かそうとするぅ。まさしく私が命を懸けて守ろうとした、あの方がとった行動ではないかぁ。創造神様、このまま人族と対立していいのですか」
メイズのその言葉は辛そうな表情であった。
その後メイズはいまにも力尽きそうな僕をチラリとみて、転移魔法で消え去った。
僕のほうは今にも命がつきそうだ。
どんどん視界が暗くなっていく。
口から血が出る。
グポッ
僕は目の前の景色を見る余裕もなくなってきた。
心臓がずきずきする。
せめて少しでも多くの魔物をまきこみ国を守りたい。
・・・・・痛みを感じなくなってきた。
目がぼやける。
魔道具の腕輪が大きく光った。
ラベンダー。
・・・・
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
ここはゴールド王国の王宮内。
勇者の認定式も終盤に近く、最後の儀式であるゴールド王国女王陛下から勇者への祝詞も最後の一節が終わりを告げようとしている。
「・・・・・・・・これにてラベンダーを空の勇者に認定する。創造神様より授けられた空の勇者としての使命が果たされることをお祈りいたします」
私の目の前で絶世の美女と言ってもいい女王陛下が静かに口を閉じました。
私はやっと終わった、という本音を見せないように、
「有難く」
と短い返事をしました。
これで私ラベンダーは正式に空の勇者に認定されたと思います。
ふぅ、長かったわ。
教皇さまからの祝福と託宣の巫女様の祝詞、ゴールデア女王陛下からのお言葉などなど合わせて2時間はかかったんじゃないかしら。
しかも目の前にいるからあくびもできないし、中腰でいなきゃいけなかったし。
やれやれと腰を伸ばして思いっきり伸びをする。
うーーーん。ふぅ。少しすっきりしたわ。
私が伸びをして気分転換をしていると向こうのほうから私を呼ぶ声が聞こえてくる。
その声の主は、託宣の巫女と呼ばれる方のものでした。
この方は、聖教会のトップである教皇様の次に権威を持つらしいです。
とっても偉い方なので、呼ばれていると分かるととても緊張しちゃうわ。
託宣の巫女様は薄いベールをかぶっており、表情ははっきりとわからない。
だけどそのベールをとると、託宣の巫女様はやさしい表情で温かい言葉をかけてくださいました。
「勇者様、長時間お疲れ様でございましたな。ふぉっふぉっふぉっ」
まるでお年寄りのような言い方をされるけどお顔がとっても若くて綺麗なの!!
普段から体型もわからないぐらい緩いローブを身にまとってるし、顔もまるで隠すかのように深くかぶっていらっしゃるものだから気付かなかったわ。
声だけ聴けばまるで年をお召しになっているように勘違いするけど、わざとなのかしら?
それに託宣の巫女様ってエルフ族かなにかかしら。
頭がローブで隠れていたけど、話しかけてくれたときにエルフ族の身体的特徴がローブの隙間から見えたの。
エルフ族なら長命だもの。人族より長く生きていても若いままかもしれないわ。
そんなことを考えていると託宣の巫女さまが、
「このババから、あなたさまにさらにお話があるのでございますよ」
「それは何かと言いますと、勇者の真の力についてでございますじゃ」
「勇者の真の力?」
私は初めて聞いた言葉に反応した。
「さよう。勇者の真の力を得ることで空の勇者の本来の力を得ることができるのですじゃ」
私は初めて聞いた内容に驚いていると、従者のイオニーアさんが小声で、
「その力を得ることであなたの本当の力が引き出されるわ。いままで修行をしてきた到達点と言える力よ」
そう教えてくれました。
託宣の巫女様は従者のイオニーアさんの存在に気づいているようでしたが、あえて触れず、
「その話は後日させていただきますです」
そう言って私に一礼をして、ゴールデア女王陛下のほうへ戻っていかれました。
それを見て私もゴールデア女王陛下と教皇様に一礼をしてその場から離れようとしました。
クラレット君も第三騎士団もゴールド王国を辞してウィスタリア聖教国へ戻る準備をはじめていました。
そのとき、突然ゴールデア女王陛下が声をあげたのです。
「な、なんじゃと。それはまことか!!!」
「はい、本当のことですじゃ。いま、創造神様からお言葉が降ってきましたので、託宣をお伝えしました」
「な、な、な、」
「ウィスタリア聖教国第三騎士団団長クラレットどの!!!」
ゴールデア女王陛下が大きな声でその名を告げた。
私はびっくりしましたし、クラレット君もびっくりした表情で女王陛下のほうを向く。
「ウィスタリア聖教国第三騎士団団長クラレットどの。こちらへ来てくれないだろうか」
クラレット君はさきほどの託宣の巫女さまと女王陛下のやりとりをみたあとで自分を招くのだからおそるおそると言った感じで、近づいていきました。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
クラレットです。
突然、ぼくに向かってゴールド王国の女王陛下がこちらへ来てほしいと言ってきました。
何事だろうと思って戸惑っていると、そばに控えている従者のホーネントさんがぼくにだけ聞こえるように言ってきました。
「いまからあなたにとっても、周りにとっても驚く事実が明かされます。どうか気を静めて女王のもとへ行ってください」
一体どんな内容だろうと考えながらおそるおそる側へ行き、
「クラレット、女王陛下の御前へ参上いたしました。ご尊顔を拝謁・・」
挨拶の途中でしたが、それをさえぎるように女王陛下がぼくを慈しむように抱きしめたのです。
「おお、おおお、15年間探したのよ。愛しい我が子よ」
第1部 本編 おわり
メイズと名乗る魔族は、武人としても戦士としても超一流であることはその気配からでも感じられた。
強い。
ただそれしか感じなかった。
気づけば、自分の力量と相手の力量差をじっくり分析する自分がいる。
相手とどれぐらい差があるのか、現状を認識できないものから戦場では脱落していく。
僕は抜きんでた力を持っているわけではないけど、それだけに自分の力量にうぬぼれはなく冷静に相手との差を感じていた。
圧倒的に強い。
あえてこちらの有利な点をあげるとすれば、相手は僕が初対面なのでこちらの力を知らないでいることだろう。
だけど、僕は命を捨てている。
たとえ、刺し違えても死んだら自爆するのだ。迷う必要はない。
気づけば、僕はメイズに切り掛かっていた。
数回は剣を交えただろうか。
しかし、魔力の差はもちろんのことだがそれ以上に剣の腕前にも圧倒的な差があった。
僕の身体にはたちまち無数の切り傷ができた。
そのうち致命傷となる傷が2か所ほど入ってしまった。
「ここまできたことは感嘆に値するが、私の相手をするには力が足りなかったなぁ。身体に入った傷の一つが致命傷に近いのだろうぅ」
「だがぁ、お主は命を捨てようとしている。腕につけているのは自爆用の魔道具だぁ」
ぴこーんぴこーんぴこーん。
「そらぁ、魔道具が反応しだしたようだ。まもなく大爆発を起こすだろう」
メイズは僕を憐れむような目をしている。
自爆用の魔道具のこともお見通しのようだ。
これではメイズを爆発に巻き込むこともできなさそうだ。
「自らの命を投げ出して国を救うとはぁ。人族にもこのような勇気のある行動をおこす者がいたとはぁ・・・・・・」
メイズは僕を見ながら別のものを見ているような眼差しでつぶやく。
「自分を犠牲にして他者を生かそうとするぅ。まさしく私が命を懸けて守ろうとした、あの方がとった行動ではないかぁ。創造神様、このまま人族と対立していいのですか」
メイズのその言葉は辛そうな表情であった。
その後メイズはいまにも力尽きそうな僕をチラリとみて、転移魔法で消え去った。
僕のほうは今にも命がつきそうだ。
どんどん視界が暗くなっていく。
口から血が出る。
グポッ
僕は目の前の景色を見る余裕もなくなってきた。
心臓がずきずきする。
せめて少しでも多くの魔物をまきこみ国を守りたい。
・・・・・痛みを感じなくなってきた。
目がぼやける。
魔道具の腕輪が大きく光った。
ラベンダー。
・・・・
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
ここはゴールド王国の王宮内。
勇者の認定式も終盤に近く、最後の儀式であるゴールド王国女王陛下から勇者への祝詞も最後の一節が終わりを告げようとしている。
「・・・・・・・・これにてラベンダーを空の勇者に認定する。創造神様より授けられた空の勇者としての使命が果たされることをお祈りいたします」
私の目の前で絶世の美女と言ってもいい女王陛下が静かに口を閉じました。
私はやっと終わった、という本音を見せないように、
「有難く」
と短い返事をしました。
これで私ラベンダーは正式に空の勇者に認定されたと思います。
ふぅ、長かったわ。
教皇さまからの祝福と託宣の巫女様の祝詞、ゴールデア女王陛下からのお言葉などなど合わせて2時間はかかったんじゃないかしら。
しかも目の前にいるからあくびもできないし、中腰でいなきゃいけなかったし。
やれやれと腰を伸ばして思いっきり伸びをする。
うーーーん。ふぅ。少しすっきりしたわ。
私が伸びをして気分転換をしていると向こうのほうから私を呼ぶ声が聞こえてくる。
その声の主は、託宣の巫女と呼ばれる方のものでした。
この方は、聖教会のトップである教皇様の次に権威を持つらしいです。
とっても偉い方なので、呼ばれていると分かるととても緊張しちゃうわ。
託宣の巫女様は薄いベールをかぶっており、表情ははっきりとわからない。
だけどそのベールをとると、託宣の巫女様はやさしい表情で温かい言葉をかけてくださいました。
「勇者様、長時間お疲れ様でございましたな。ふぉっふぉっふぉっ」
まるでお年寄りのような言い方をされるけどお顔がとっても若くて綺麗なの!!
普段から体型もわからないぐらい緩いローブを身にまとってるし、顔もまるで隠すかのように深くかぶっていらっしゃるものだから気付かなかったわ。
声だけ聴けばまるで年をお召しになっているように勘違いするけど、わざとなのかしら?
それに託宣の巫女様ってエルフ族かなにかかしら。
頭がローブで隠れていたけど、話しかけてくれたときにエルフ族の身体的特徴がローブの隙間から見えたの。
エルフ族なら長命だもの。人族より長く生きていても若いままかもしれないわ。
そんなことを考えていると託宣の巫女さまが、
「このババから、あなたさまにさらにお話があるのでございますよ」
「それは何かと言いますと、勇者の真の力についてでございますじゃ」
「勇者の真の力?」
私は初めて聞いた言葉に反応した。
「さよう。勇者の真の力を得ることで空の勇者の本来の力を得ることができるのですじゃ」
私は初めて聞いた内容に驚いていると、従者のイオニーアさんが小声で、
「その力を得ることであなたの本当の力が引き出されるわ。いままで修行をしてきた到達点と言える力よ」
そう教えてくれました。
託宣の巫女様は従者のイオニーアさんの存在に気づいているようでしたが、あえて触れず、
「その話は後日させていただきますです」
そう言って私に一礼をして、ゴールデア女王陛下のほうへ戻っていかれました。
それを見て私もゴールデア女王陛下と教皇様に一礼をしてその場から離れようとしました。
クラレット君も第三騎士団もゴールド王国を辞してウィスタリア聖教国へ戻る準備をはじめていました。
そのとき、突然ゴールデア女王陛下が声をあげたのです。
「な、なんじゃと。それはまことか!!!」
「はい、本当のことですじゃ。いま、創造神様からお言葉が降ってきましたので、託宣をお伝えしました」
「な、な、な、」
「ウィスタリア聖教国第三騎士団団長クラレットどの!!!」
ゴールデア女王陛下が大きな声でその名を告げた。
私はびっくりしましたし、クラレット君もびっくりした表情で女王陛下のほうを向く。
「ウィスタリア聖教国第三騎士団団長クラレットどの。こちらへ来てくれないだろうか」
クラレット君はさきほどの託宣の巫女さまと女王陛下のやりとりをみたあとで自分を招くのだからおそるおそると言った感じで、近づいていきました。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
クラレットです。
突然、ぼくに向かってゴールド王国の女王陛下がこちらへ来てほしいと言ってきました。
何事だろうと思って戸惑っていると、そばに控えている従者のホーネントさんがぼくにだけ聞こえるように言ってきました。
「いまからあなたにとっても、周りにとっても驚く事実が明かされます。どうか気を静めて女王のもとへ行ってください」
一体どんな内容だろうと考えながらおそるおそる側へ行き、
「クラレット、女王陛下の御前へ参上いたしました。ご尊顔を拝謁・・」
挨拶の途中でしたが、それをさえぎるように女王陛下がぼくを慈しむように抱きしめたのです。
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第1部 本編 おわり
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