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第1部     ウィスタリア聖教国と伝説の勇者

第1部 おまけ    ある神官の独白

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ウィスタリア聖教国は聖教会の神官が聖教会を離れ遠い地で国を興した。いわば分家のような存在である。

当然、本家の聖教会を尊敬しているし、元が神官であったのでウィスタリア聖教国の最高権力者の肩書きは「国王」ではなく、「大神官」という名称であった。

◇◇◇◇◇◇◇◇◇

わたしはその大神官さまづきの従者を拝命しております。

わたしの身分は上級神官。

ですが、若輩者でまだまだ未熟者といっていいでしょう。

しかしですね。この若さで大神官様づきになるということは大神官さまからも目にかけてもらっているとうぬぼれても仕方ないでしょう。

いわばエリート、と言って差し支えないと思います。

そんなわたしですが、最近とても気になる女性ができました。

・・・・・・え、なに?神職が恋愛していいのかだって?

聖教会にそんな決まりはありません。むしろ大神官様も結婚していらっしゃいますよ。

創造神様は男女の恋愛を禁止するなどという理不尽なことはおっしゃらない心の広いお方なのです。

話をもどしますが、その気になる女性はとても魅力的な女性でして、わたし以外の多くの神官や騎士たちをも虜にしているのです。

え?その女性は多くの男性をたぶらかす悪女じゃないのかって?

とんでもありません。むしろ逆です。つつましい性格で男性とはあまりしゃべらない方なのですよ。

ですが、それがいい。

騎士として訓練に励むお姿を眺めるだけで幸せなきもちになるのです。

私たちはそんな彼女を温かく見守ろうと紳士協定を結んでいるのですよ。


はじめて目にしたのは2年前だっでしょうか。

平民でありながらその身に宿す莫大な魔力を見込まれ第1騎士団に入団を命じられ、この宮殿に登城したときからわたしの目はその女性にくぎ付けになりました。

顔立ちはまだ幼さが残っていましたが、黒く長い髪、女性らしい体つき、そしてその黒い瞳からは確かな意志の強さを感じさせるのです。

まさに理想の女性、女神と言っても過言ではないでしょう。

この女神のような方の名はラベンダーと言います。

ラベンダー嬢は騎士団に入団してすぐ、瘴気のただよう森へ討伐にいき、率先して魔物討伐に加わり魔物を駆逐したらしいのです。

わたしはその報告を聞いて不覚にも恍惚としてしまったことを覚えています。

美しさと気品さ、そして強さを兼ね備えていると言う事実にどうやら興奮してしまったみたいです。

自分の性癖がこんなんだとは知らなかった・・・・・・・

その後も彼女はその膨大な魔力でつぎつぎと魔物を屠り続け功績をつみ、あっという間に第一騎士団の副騎士団長へと駆け上がったのです。

わたしの最近の楽しみはラベンダー嬢のマル秘情報が載せられている情報誌の購読。

なんとラベンダー嬢のあまりの人気ぶりにこのようなものまで作成されるに至ったのである。まさしくみんなのアイドルといえよう。

このラベンダー嬢のマル秘情報誌は第一騎士団団長が中心となって立ち上げたらしく、自らを会長としラベンダー嬢のファンクラブが結成したそうだ。

その騎士団長がラベンダー嬢の情報をみなで共有しようと提唱したことがきっかけで作られたらしい。

そこには魔物討伐をするラベンダー嬢の写真や食事風景、朝礼で話をする光景などのグラビアが載っていたりするのです。

わたしの最近のお気に入りコーナーは、「会員に聞きましたラベンダー様の伴侶に相応しい男性ランキング」。

これは自分以外でラベンダー嬢の隣に立つにふさわしいと思う人、この人ならラベンダー嬢は幸せになれると思う人を投票した結果を載せるコーナーなのです。

神コーナー。まさに神コーナーといえるでしょう。

結果が気になり興奮して眠れませんでした。

かくいうわたしも自分以外に投票しましたが・・・・・・・・

そして、その結果がでました。

この結果はある意味で予想できた結末です。

くやしい、くやしいですが、ラベンダー嬢の容姿や肩書、実力にならぶのはあの男しかあるまいと思える人物。

それは、第三騎士団団長クラレット。

宮殿内の神官のあいだでも評価の高いクラレットが1位を取ったのです。

実際、幼なじみらしくよくしゃべっているところは目撃されているのです。

うおのれええええ。紳士協定を破りおってからに。

しかし、あの男なら文句はいえまい。

わたしはそう思って自分を慰めました。

しかし。

わたしは見た。

あのラベンダー嬢の黒い瞳が熱を帯びて向ける相手がいたことを。

名も知れない平騎士のくせにわたしのラベンダー嬢からあんな熱のある瞳をむけられたことにわたしは激しく嫉妬した。

なんだあの者は!!!

早速手の者に調べさせるとなんとあの薄汚い第二騎士団に所属しているらしい。

第二騎士団だと!!あんなものウィスタリア聖教国の捨て石ではないか!!

そんなとこに所属しているような騎士にラベンダー嬢があんな瞳を向けるだなんて。

認めたくはないが、あれは恋をしている目だった。

くそくそくそ!!

死にさらせえええええ!!!!!!

わたしはなんとかしてその者を葬りたいと考えるようになった。

そんなときだった。

同じゴミクズの第二騎士団にもラベンダー嬢のファンがおり、ラベンダー嬢にたかるハエを駆除したいと考えているヤカラと出会ったのは。

その者もあのホワイトと言う男を憎々しく思っていたらしい。

わたしはその者に自爆用魔道具を渡し、ホワイトと言う騎士にそれを取り付けさせることを思いついたのだ。

もともと宮殿には、戦時の最終手段として開発された禁忌の魔道具が、厳重に封印されていた。
わたしは大神官様づきという立場を利用し、その一つを“拝借”したのだ。

騎士ならば魔物討伐に赴くであろう。

そして魔物の群れに放り込んでやれば自爆して魔物の討伐にも一役を買う。

あのウジムシにはそんな末路がお似合いだ。

わたしは自分の考えにぐふふふふと暗い笑みを浮かべてしまうのだった。
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