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第2部      大地の勇者はかく戦えり

第8話

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ひょんなことから空の勇者と大地の勇者は共闘することになった。

そして戦闘が一段落したあと、空の勇者ラベンダーが提案した。

「せっかくですし・・・・・この機会に、食事会をしませんか?」

互いの親交を深めるため、という名目だった。
それぞれの陣営で料理を作り、それを持ち寄って食べようというのである。

空の勇者側の料理係は、提案者であるラベンダーその人だった。

食事会を提案したときから、彼女はずっと笑顔だった。
調理に取りかかると、さらに楽しそうに手を動かし始める。

野外とは思えぬほど手際がよく、仕込みは次々と進んでいく。
ほどなくして、辺りには温かく食欲をそそる香りが漂い始めた。

対する大地の勇者の方はというと、料理をつくるのはもっぱら大地の勇者パウダー以外の3人であった。

まずスレートがシャドウと聖女ケイトに声をかける。

「あーーと、とりあえずだが、ボクたちもなにか料理をつくらなくちゃいけないみたいだから、いまある材料で食べられるものをつくろう」

「ケイトはその籠の野菜を細切れにしてくれるかい。シャドウはこの辺で木の実やキノコなど食べられるものを採ってきてほしい」

「はーい」

「了解した。なるべく頑張るよ」

二人は素直に頷き、すぐに動き始めた。

それを確認したスレートは、今度はパウダーにおそるおそる声をかけた。

「で、えーと、ん、ごほん、パウダー?パウダーは近くの川から水をくんできてくれないか」

その瞬間、パウダーの表情が険しくなった。

「なんで俺がそんなことをしなくちゃいけない!!」

「それに、空の勇者のためだろ? 冗談じゃない」

と拒絶の構えだ。そもそも最初から不貞腐れた態度を崩さないでいる。

スレートは一瞬言葉を詰まらせ、やがて小さく息を吐いた。

「わかったよ・・・」

それ以上声をかけることはなかった。

少し離れたところでラベンダーはその様子をみていた。

(・・・・え)

胸の奥に、小さな違和感が生まれる。

(あの人が・・・・大地の勇者さん、よね?仲間の方に、あんな態度・・・・)

やがて料理が完成し、少し遅めの昼食となった。

ラベンダーはスレートの作った料理を口にし、ぱっと顔を明るくする。

「うん、この料理おいしいですね。味付けも素敵ですが、とくにこれ隠し味の薬味が決め手でしょうかね?」

と、スレートが味付けした料理をほめる。

スレートは繊細な味の変化に気づいてくれたことが嬉しくて

「そう、そうなんだよ。それ、ウェッジの村の秘伝の味付けなんだ。いやーうれしいなあ。その味に気づいてもらえて」

とにこにこ顔だ。

その様子を見て、元第一騎士団団長サンドベージュが自然に会話を繋げた。

「ラベンダーの作ったシチューも旨いぞ。よかったら食べてみてくれないか。遠慮せずどうぞ」

「騎士団では有名でな。彼女の料理の日は、いつも行列だった」

だが、その言葉に応じる者はいなかった。

空気は、どこか重い。

互いに、悪い噂を聞いてきた陣営同士だ。
無理もない。

その空気を感じ取ったサンドベージュはそれ以上口を開くことはしなかった。

やがて食事会もおわり、片付けをしてしばらく自由時間をとることになった。

シャドウはみんなの側を離れ、近くの川べりで涼んでいた。

その背後に、そっと人の気配が近づく。

振り返ると、そこに立っていたのは――空の勇者ラベンダーだった。

彼女は少し迷うように視線を揺らし、やがて意を決したように口を開いた。
「・・・・ホワイト君・・・・だよね?」

シャドウの肩が、びくりと震えた。

「・・・・なぜ、僕だとわかったんだ?」
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