この世界が終わるまで 勇者の僕は恋をする

すなぎ もりこ

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魔聖対戦のこと①

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「魔聖対戦の始まりはおよそ二千年前といわれている。大陸の西端にある魔の森に悪しき民族が巣食っていることが判明し、大陸の平和を守るために我が国バーゼリアが手を挙げ、討伐へと向かった」

 神父は歴史書にしてはやけに薄っぺらい本を片手に説明する。さして興味もないけれど、僕はノートを取る。講義の後に出題される質問を間違えれば、折檻されるからだ。

「魔族とのし烈な戦いの末、その当時まだ王子であった十三代国王ジルダが魔王を討ち取った。魔王は死の直前、こう言ったという。『我を葬り去ったところで魔は失われぬ。我は必ず蘇る。我を介した魔は再び人間国を蝕むであろう』」

 僕は首を傾げる。そして、神父に訊ねた。

「なぜ魔王はわざわざそんなことを言ったのですか?」

 神父は本から顔を上げ、僕を見た。

「僕なら黙っているけどな。復讐するなら油断しているところを狙った方がいいに決まっていますよね」
「……わざと不穏な予言をして我々の不安を誘ったのだ。魔族は人の心を操り生じた負の気を餌にする。悪しき生き物だ」

 ……そうかなあ。

 少なくともセルジュはそんなことをしないと思う。
 だいいち負の気なんてどうやって食べるんだ?
 セルジュは獣の肉が好きだと言っていたし、甘いお菓子もよく食べるらしい。
 魔族の食事は僕らとそう変わらないんじゃないかな。

 僕は釈然としないまま、ノートに『まずそう』と記録した。

「くだらない質問をして中断するな」

 神父は舌打ちした後、再び本を読み始めた。

「魔王の復活に頭を悩ませるジルダ王の下に、神の啓示が降りた。『我が魔を打ち破る力を持った使者を遣わそう。その者を見つけ魔国へ差し向けよ。使者は必ずや魔王を討ち取るであろう』神はこうも言った。『魔王の印を持ち帰り封印せよ。さすれば魔の侵食を食い止めることが叶うだろう』」

「でも、その次の百年後にはまた魔王が復活したんですよね?」
「神の力により百年もの間魔を食い止め、魔王の再生をも引き延ばしたのだ」

 それって、神の力でもっても魔王は滅ぼせないってことだよね。
 セルジュってば、やっぱり凄い奴なんだな。

 僕はノートに『魔王最強』と書いた。

そして、ふと湧いた疑問を神父に投げかけた。
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