この世界が終わるまで 勇者の僕は恋をする

すなぎ もりこ

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深夜の訪問者

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 ラフラ王女が僕の部屋を訪れたのは、それから三日後の夜だった。
 激しい雨が窓を叩いていた。月は熱い雨雲に覆われて姿を見せず、セルジュの訪れは絶望的だった。僕は深く沈んだ心と暇になった時間を持て余し、ベッドの上で本を読んでいた。
 忌々しい雨音を耳から排除しようと文字に集中していたため、ノックの音に気付くのが遅れた。
 か細く「勇者様……」と呼びかける声を奇跡的に聞き取り、僕は読んでいた本を閉じ、ベッドを降りた。
 薄っぺらい木の扉を開けると、黒いフードを目深に被った人物が二人立っていた。
 僕は一瞬身構える。教会堂は聖騎士により厳重に警備されている。神職者しか立ち入れないはずの場所に、明らかに部外者と思われる人間が入り込んでいる。しかも、自分を訪ねてきたというのだから尋常ではない。
「どなたでしょう? 返答次第では人を呼びますよ」
 後方に少し足をひき、ノブを握っていない方の腕に力を込める。二人ともやけに小柄だが、高を括るほどの図太さは持ち合わせていない。万が一襲い掛かられても対応できるよう神経を研ぎ澄ました。
「私です。ラフラです」
 ローブから華奢な手が伸び、フードを下ろした。長い黒髪と小麦色の小作りな顔が現れ、僕は思わず息を呑む。
「このような夜更けに突然に訪れて申し訳ございません」
 胸元で握られた手が震えている。後方にいた人物が小声で口早に言う。
「殿下がどうしても勇者様にお話ししたいことがあると申されますので、忍んでまいりました。ご容赦ください」
 僕は彼女らの背後を窺い誰もいないことを確かめると、部屋の中に招き入れた。
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