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夜会の誘いと動き出した秘め事
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「んんっ!!」
騒々しい夜会のホールから抜け出し、薔薇の庭園を歩いていると、背後から口を塞がれた。
暴れて抵抗するが、暗い茂みに引きずり込まれる。
本日は満月で月明かりが眩しい位に照らされていたが、暴漢の顔は見えなかった。
顔は布で覆われているが、服装は貴族が着る一級品だった。
今回夜会パーティーは王族主催のパーティーの為、出席者も王族関係や身分がはっきりした人しか招待されていない。
しかも警備も厳重なはずなのに、誰も助けに来てはくれない。
「貴方には傷物になって頂きますよ」
ドレスを引きちぎられアリアは地面に押し倒される。必死に抵抗するが、男の力には敵わなかった。
露になった白い肌を見た男が唾を飲む音が聞こえ、アリアは恐怖に震えた。
今回のパーティーでは何かあるかもしれないと、忠告してくれた執事の言葉が脳裏に過った。
「え?私に夜会の招待状??」
「はい」
ウィルから差し出された招待状を手に取るとアリアは溜め息をついた。封蝋は王家の物だった。一瞬にして断れない誘いだとアリアは頭を抱えた。
ドレスやエスコートの問題など山積みだ。きっとキャシーにも招待状は届いている。
前回のパーティーは体調不良で欠席をしたので今回はこの手が使えない。
となれば、一緒に出席したくないとキャシーの我が儘が炸裂するのは目に見えていた。
一緒に行きたくないなど駄々をこね周りに当たり散らす。
継母も父親もキャシーの言うことは一切咎めず、アリアが悪いと此方を攻めてくる。それが毎回憂鬱で仕方がなかったが今回は違った。
ドレスを用意され夜会の準備は全て本邸が行っていた。こんなことには今までなかった為、ウィルは怪しんでいた。
ドレスに針や刃物などが隠されていないか、馬車に変な細工はされていないかなど入念に調べていたが、おかしい所はなかった。
城に到着すると、エスコートは忙しいのにも関わらずカーティスが行ってくれた。仕事の合間に来てくれた為、会場内に入ると名残惜しそうに陛下の元へ戻っていった。
アリアは壁の華になるように大人しく夜会を見渡した。
華やかでキラキラした所は苦手だった。楽しくお喋りやダンスなど出来ない。基本的なマナーは叩き込まれているが、社交となると別だった。
ふと窓の外を見ると、キャシーとカーティスがバルコニーで談話をしていた。
その姿はお似合いで、二人の姿に気付いた令嬢達がこそこそ話していた。
「やっぱりあの二人はお似合いね」
「二人とも華がありますね。それに比べて……」
チラリとアリアに視線を向ける令嬢達はクスクス笑っていた。悪意ある言葉は言われ慣れている。
その内容にも納得できた。私から見ても二人はお似合いだった。
あれ?これってこのまま婚約破棄できるのでは??
二人の仲睦まじい姿を見て、二人を祝福する。
否、むしろ発狂して向こうから婚約破棄を言われた方が良いのかもしれない。
どうしようかと迷っていると、キャシーがカーティスに抱き付いた。
それを見たアリアは動き出した。バルコニーの扉を開け、抱き合っている二人に近付く。
「カーティス様、キャシー」
「お姉様……私は……カーティス様が好きなんです。お姉様にどんな仕打ちをされても!!この気持ちは止められないの」
泣き顔のキャシーはカーティスの腕を、ぎゅっと握っていた。瞳を潤ませ可愛らしく震える彼女を見れば悪役は一目瞭然だ。
抱き合う二人に一人の少女。周りには騒ぎを嗅ぎ付けた人達が集まってくる。
キャシーは泣きながら屋敷でアリアに苛められた事を言っていたが、それは全てアリアが受けていた嫌がらせだった。
嫌がらせなんて知らんし……
と、心の声を必死で抑えアリアはゆっくりと口を開いた。
「……カーティス様キャシーを幸せにして下さいね……」
アリアは淑女の礼をし踵を返すと人が集まっていたバルコニーを後にした。目撃者は何人もいたので、私から別れを告げた事は直ぐに広がる。
爵位が低い者からの婚約破棄とも取れる発言は基本認められないが、二人の仲睦まじい所を何人もの人が目撃しているので大丈夫なはずだ。キャシーもきっと同情を集め上手くやるだろうし、祝福もされるだろう。
アリアは騒がしくなってきたホールを抜け出した。
馬車を待つよりも歩いて門まで行った方が早いと考えたアリアは薔薇の庭園を抜け門まで歩くことにした。
門番に馬車を頼めばきっと手配してくれるだろうと考え月明かりを頼りに歩きだした。
「はぁ…はぁ……」
荒い息遣いとねっとりした舌が肌を這う。
気持ち悪さと恐怖でアリアの震えは止まらない。
「いっぱい楽しもうね……」
足を抑えられ逃げられない。太股に男の手が伸びてきま瞬間、鈍い音と共に目の前の男が倒れ込んだ。
「アリア様」
「ウ……ウィル……?」
知った声色を聞き、アリアの緊張が一気に解かれた。
ほっとした瞬間に目の前が暗くなりアリアは気を失った。
騒々しい夜会のホールから抜け出し、薔薇の庭園を歩いていると、背後から口を塞がれた。
暴れて抵抗するが、暗い茂みに引きずり込まれる。
本日は満月で月明かりが眩しい位に照らされていたが、暴漢の顔は見えなかった。
顔は布で覆われているが、服装は貴族が着る一級品だった。
今回夜会パーティーは王族主催のパーティーの為、出席者も王族関係や身分がはっきりした人しか招待されていない。
しかも警備も厳重なはずなのに、誰も助けに来てはくれない。
「貴方には傷物になって頂きますよ」
ドレスを引きちぎられアリアは地面に押し倒される。必死に抵抗するが、男の力には敵わなかった。
露になった白い肌を見た男が唾を飲む音が聞こえ、アリアは恐怖に震えた。
今回のパーティーでは何かあるかもしれないと、忠告してくれた執事の言葉が脳裏に過った。
「え?私に夜会の招待状??」
「はい」
ウィルから差し出された招待状を手に取るとアリアは溜め息をついた。封蝋は王家の物だった。一瞬にして断れない誘いだとアリアは頭を抱えた。
ドレスやエスコートの問題など山積みだ。きっとキャシーにも招待状は届いている。
前回のパーティーは体調不良で欠席をしたので今回はこの手が使えない。
となれば、一緒に出席したくないとキャシーの我が儘が炸裂するのは目に見えていた。
一緒に行きたくないなど駄々をこね周りに当たり散らす。
継母も父親もキャシーの言うことは一切咎めず、アリアが悪いと此方を攻めてくる。それが毎回憂鬱で仕方がなかったが今回は違った。
ドレスを用意され夜会の準備は全て本邸が行っていた。こんなことには今までなかった為、ウィルは怪しんでいた。
ドレスに針や刃物などが隠されていないか、馬車に変な細工はされていないかなど入念に調べていたが、おかしい所はなかった。
城に到着すると、エスコートは忙しいのにも関わらずカーティスが行ってくれた。仕事の合間に来てくれた為、会場内に入ると名残惜しそうに陛下の元へ戻っていった。
アリアは壁の華になるように大人しく夜会を見渡した。
華やかでキラキラした所は苦手だった。楽しくお喋りやダンスなど出来ない。基本的なマナーは叩き込まれているが、社交となると別だった。
ふと窓の外を見ると、キャシーとカーティスがバルコニーで談話をしていた。
その姿はお似合いで、二人の姿に気付いた令嬢達がこそこそ話していた。
「やっぱりあの二人はお似合いね」
「二人とも華がありますね。それに比べて……」
チラリとアリアに視線を向ける令嬢達はクスクス笑っていた。悪意ある言葉は言われ慣れている。
その内容にも納得できた。私から見ても二人はお似合いだった。
あれ?これってこのまま婚約破棄できるのでは??
二人の仲睦まじい姿を見て、二人を祝福する。
否、むしろ発狂して向こうから婚約破棄を言われた方が良いのかもしれない。
どうしようかと迷っていると、キャシーがカーティスに抱き付いた。
それを見たアリアは動き出した。バルコニーの扉を開け、抱き合っている二人に近付く。
「カーティス様、キャシー」
「お姉様……私は……カーティス様が好きなんです。お姉様にどんな仕打ちをされても!!この気持ちは止められないの」
泣き顔のキャシーはカーティスの腕を、ぎゅっと握っていた。瞳を潤ませ可愛らしく震える彼女を見れば悪役は一目瞭然だ。
抱き合う二人に一人の少女。周りには騒ぎを嗅ぎ付けた人達が集まってくる。
キャシーは泣きながら屋敷でアリアに苛められた事を言っていたが、それは全てアリアが受けていた嫌がらせだった。
嫌がらせなんて知らんし……
と、心の声を必死で抑えアリアはゆっくりと口を開いた。
「……カーティス様キャシーを幸せにして下さいね……」
アリアは淑女の礼をし踵を返すと人が集まっていたバルコニーを後にした。目撃者は何人もいたので、私から別れを告げた事は直ぐに広がる。
爵位が低い者からの婚約破棄とも取れる発言は基本認められないが、二人の仲睦まじい所を何人もの人が目撃しているので大丈夫なはずだ。キャシーもきっと同情を集め上手くやるだろうし、祝福もされるだろう。
アリアは騒がしくなってきたホールを抜け出した。
馬車を待つよりも歩いて門まで行った方が早いと考えたアリアは薔薇の庭園を抜け門まで歩くことにした。
門番に馬車を頼めばきっと手配してくれるだろうと考え月明かりを頼りに歩きだした。
「はぁ…はぁ……」
荒い息遣いとねっとりした舌が肌を這う。
気持ち悪さと恐怖でアリアの震えは止まらない。
「いっぱい楽しもうね……」
足を抑えられ逃げられない。太股に男の手が伸びてきま瞬間、鈍い音と共に目の前の男が倒れ込んだ。
「アリア様」
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