座敷童子様って成長するんでしたっけ?

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 「僕は自分がいちごを食べるより、繭が食べて幸せ~、ってなってるのを見るのが好き」

 そして、もぐもぐといちごを食べる私に「おいし?」って本当に幸せそうな表情で聞いてくる。もう、ヒモを通り越してホスト?ホストですよね?女をだめにするヤツですよね?ってなる。顔が熱い。
 美緒ちゃんはそんな私達を見て「きゃっ」と喜んでる。

 「美緒ちゃんもいちご食べてね~」

 「いえそんな、」

 「ううん、美緒ちゃん!ぜひ食べて」

 「・・っ、は、はい。すいません」

 涙目で赤い顔をした私に思うところがあったのか、美緒ちゃんは素直にフォークを持ってくれた。羞恥心しか勝たん。

 ようやく私達はお茶の時間となったのだけど、潰れてはいてもやはり有名店のケーキは美味しくて。

 「「「ほーーーっ」」」

 一気に場が和んだ。

 「ところで、さっきの男って何者なの?繭の知ってる人?」

 すっかりどうでもよ、と思っていたのに掘り返された。

 「・・・あの人は元カレ」

 「あいつが?繭、男を見る目がないねー」

 貴文くんは社内ではとっても人気のある男性だったのだけど。でも、さっきの貴文くんだけを見たら、そう思われるのも仕方ないかもしれない。

 「あの男性の上半身が、黒いもやもやしたもので覆われていました。何かに取り憑かれているのかもしれません」

 「み、美緒ちゃん、そっち系ムリっぽいの、私」

 「──は、すいませんすいません」

 「取り憑かれていることを抜きにしてもいけ好かないヤツ。繭を振るなんてさ。──で、あいつは何しに来たわけ?」

 「と、取り憑かれているの?貴文くん。──確かにいつもと様子が違っていたけど・・・。うーん、特に用があったような感じではなかった、かな?なんか、私が元気にしているのがおもしろくないみたいだった」

 「ひどい!そんなのおかしくないですか!?」

 美緒ちゃんがぷんぷん怒ってくれて気持ちが和んだ。

 「・・・ふふふ、繭、あいつを呪い殺してやろうか」

 だけど、綺麗な顔を歪ませて恐ろしいことを言う櫂に一気に心が凍る。

 「毎日どこか怪我をして、百日後には死ぬ、ってどうかな」

 「「ヒイィィィ!!」」

 美緒ちゃんと一緒になって震えた。

 「お、お、お、お鎮まり下さい、座敷童子様」

 「な、何怖いこと言ってんの」
 
 「人間は増えすぎだよね。僕が間引いてあげるよ。ふふっ」

 怖い顔で笑う。器用か。

 「い、いいから!間引くのいいから!」

 「警察に任せましょう~、座敷童子様~」

 何が見えたのか目を覆い隠す美緒ちゃん。
 あれ?なんか部屋のあちこちからパチパチ、とか、バチバチ、とか音がする。窓を開けてないのにカーテンがバタバタはためいて・・・。これって櫂が関係してるの?

 「ちょ、ちょっと!櫂!怖い櫂なんて嫌いになるんだから!!綺麗で優しい櫂に戻って!!」

 「うん!戻ったよ!」

 早っ!
 さっきまで魔王か、ってぐらいおどろおどろしい雰囲気を纏っていた櫂が、一瞬でにこにこしたのん気な櫂に戻っていた。

 「お助け頂きありがとうございます~」

 「美緒ちゃん、拝むのやめて」

 「繭、綺麗で優しい櫂だよー」

 「うん、うん、大好きよ!いい子、いい子」

 芸の出来た犬のように褒めて褒めてと頭を向けて催促され、私は櫂の頭を何度も撫でた。
 美緒ちゃんは「ありがたや~」と何度も手を合わせて頭を下げてる。
 カ、カオス!

 「んじゃ、サクッとやってくるね」

 「待ったー!!」

 立ち上がって、笑顔で玄関に向かおうとする櫂を止めた。
 何をサクッとやってくるというのか。

 「私は裏表のない櫂が好き」

 「えー、でもー。それじゃあ、あいつがまた繭に近付いて来るかもしれないじゃない」

 やっぱり貴文くんをサクッとやる気だったらしい。

 「そもそも貴文くんとは同じ職場だから、ほぼ毎日近くには、いるのよ」

 「・・・そうだったんだ。決まりだね」

 何が?

 「貴文くんに何かしたら、櫂とはもう口きかない」

 つーん、とそっぽを向いてみる。バカっぽい会話をしている自覚はある。できるならしたくはない、こんな会話。だけど、ここで諦めたら貴文くんは消されちゃうかもしれない。こんな苦労は誰にもわかるまい。

 「ま、繭!僕、あんなやつのこともう忘れたよ!」

 早っ!
 でも良かった。これから櫂にはしていいこと、悪いことをしっかり教えていこう。

 「櫂、約束だよ?貴文くんに近付いてもダメだからね」

 「・・・わかった」

 一瞬、不服そうな顔をしたが、小指を出すと嬉しそうに自分の小指を出して、絡めてくれた。子供の頃もこんなふうにした覚えがある。懐かしい。
 おばあちゃん家で過ごしたあの夏が蘇る。庭で、畑で、小川で、縁側で、色々な場所で櫂と一緒だった。

 「繭は、僕が守る」

 きりっ、と決めた櫂に美緒ちゃんが「きゃっ」と喜んだ。

 
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