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その後は、このまま夕食にしようということになり、美緒ちゃんを誘った。「え、そんな、私ごときがお二人とご一緒にだなんて」と美緒ちゃんはしきりに恐縮していたけれど、強引な私達に押され、そのまま居てくれることになった。
「櫂、今夜のメニューは何?」
「しいたけのシューマイだよ。下ごしらえは終わってるから後は蒸すだけ。15分後にはご飯にできます。チーズとツナのチヂミも焼くね」
「うわー、美味しそう!手伝うね」
料理は櫂に任せ、美緒ちゃんと食器を出したり箸を並べたりする。その際に「繭さん、」と呼びかけられ、応えたら「すいませんすいません、お名前を軽々しく呼んでしまってすいません」と高速で謝られた。
「美緒ちゃんたら。そんなことで謝らないで。私だってさっきから美緒ちゃん、っていっぱい呼んでいるんだし」
「そ、それは、とても嬉しくて!ハイ」
「でも、考えてみたら自己紹介もまだだったね、私達。私は浪木 繭(なみき まゆ)です。25歳、会社員です。最近、結婚を考えていた彼氏と別れました。アハ、自虐ネタ」
「あ、あ、私は、端田 美緒(はしだ みお)、20歳です。大学、休学中です。引きこもりで、親に迷惑ばかりかけているんです。さ、さっき、こんな私にもできることがあって、嬉しかったです。櫂さんのお買い物のお手伝いも、私、本当に嬉しいです」
なんていい子なの~。
「さっきも、櫂の手伝いも、本当にありがとう。美緒ちゃんは私達の恩人ね!」
櫂もコンロの前で振り返り、うんうん、と笑顔だ。
「さあ、できたよー」
櫂がチヂミのフライパンとしいたけのシューマイをテーブルに運ぶ。私と美緒ちゃんはご飯とお味噌汁をよそった。
「すごい!美味しそうです!しいたけのシューマイって、こういうことなんですね!」
美緒ちゃんの驚きが新鮮だ。
「うん、変わってるよね。おばあちゃんのシューマイはしいたけが皮代わりなの」
「ほうれん草の時もあったね」
「逆にシューマイの皮だったことは一度もなかった」
櫂と笑い合う。
「そうなんですか。これは繭さんのおばあちゃんのレシピなんですね。──あれ?でも櫂さんも食べたことがあるということなんですね」
「うん、僕たち小さい頃一緒に咲希さんのところで暮らしてたから」
作ったのが櫂だということが不思議だったようだけど、櫂の答えを聞いて、「きゃっ、あやかしと幼馴染」と美緒ちゃんは喜んだ。
よくわからないが楽しそうで何より。
「「「いただきまーす」」」
と、3人、手を合わせた。
「こ、これは美味しいです~!箸が止まりません!」
わかるわ、その気持ち。おばあちゃんのレシピは万人が大好きな味なのよね~。それを再現する櫂の腕前もなかなかで。
「そうなの。毎日美味しいものを食べて、太ってしまうんじゃないかと心配なのよ」
「繭さんでもそんな心配をするんですね~」
「繭、太ったらダイエットメニューを作るから、そんなこと気にしないでいっぱい食べて!」
「櫂ってば、天使ね!」
「「いえ、座敷童子(様)ですから」」
「・・あ、はい」
そこは二人にとって、絶対に譲れないところなのだろうか。
「は、生意気言って、すいませんすいません」
謝り倒してくる美緒ちゃん。
「美緒ちゃんてば。大丈夫よ。そんなに謝らないで」
「そうだよ。美緒ちゃんはなぜそんなに謝るの?人間は短命で、生きてるだけで偉いのに。謝ってないで自分の言いたいこと言って、やりたいことやらないと!あっという間に終わりが来るよ」
「・・・櫂、なんか怖い」
座敷童子目線の意見が。
「は、はい。座敷童子様」
「やだな~、僕のこと、ちゃんと櫂って呼んでよ。せっかく繭がカッコいい名前を付けてくれたんだから」
「は、はい。すいませんすいません。──え、繭さんが名前を付けたんですか?」
「・・・え?何?ダメだった?」
「あ、いえ、ダメというわけでは。ただ、あやかしにとって、名前を付けるということは、深い意味があると聞いたことがあって。契約といったような・・」
「──そ、そうなの?櫂?」
あと、美緒ちゃんはなぜそんなことを知っているのか。
「アハハ、美緒ちゃんは大げさだなぁ。僕と繭にとって契約なんて今さらなんだよ。小さい頃から何度も色んな契約をしてきたんだから」
櫂の言葉に美緒ちゃんの箸を持つ手がピタリと止まる。
──契約という言葉は、なぜだろう、恐ろしい感じがする。約束よりも、もっと強固で破ってはならないもの。
私の手もピタリと止まった。
一気に部屋の空気が重たくなった。
「・・・ちょっと待って。私と櫂がなんの契約を交わしたっていうの?──これって、これって、怖い話!?」
ヒイィィィ、ってなった。
アハハ、って笑う櫂が不気味に見える。心なしか、うつむく美緒ちゃんの顔色が悪くなった。
「櫂、今夜のメニューは何?」
「しいたけのシューマイだよ。下ごしらえは終わってるから後は蒸すだけ。15分後にはご飯にできます。チーズとツナのチヂミも焼くね」
「うわー、美味しそう!手伝うね」
料理は櫂に任せ、美緒ちゃんと食器を出したり箸を並べたりする。その際に「繭さん、」と呼びかけられ、応えたら「すいませんすいません、お名前を軽々しく呼んでしまってすいません」と高速で謝られた。
「美緒ちゃんたら。そんなことで謝らないで。私だってさっきから美緒ちゃん、っていっぱい呼んでいるんだし」
「そ、それは、とても嬉しくて!ハイ」
「でも、考えてみたら自己紹介もまだだったね、私達。私は浪木 繭(なみき まゆ)です。25歳、会社員です。最近、結婚を考えていた彼氏と別れました。アハ、自虐ネタ」
「あ、あ、私は、端田 美緒(はしだ みお)、20歳です。大学、休学中です。引きこもりで、親に迷惑ばかりかけているんです。さ、さっき、こんな私にもできることがあって、嬉しかったです。櫂さんのお買い物のお手伝いも、私、本当に嬉しいです」
なんていい子なの~。
「さっきも、櫂の手伝いも、本当にありがとう。美緒ちゃんは私達の恩人ね!」
櫂もコンロの前で振り返り、うんうん、と笑顔だ。
「さあ、できたよー」
櫂がチヂミのフライパンとしいたけのシューマイをテーブルに運ぶ。私と美緒ちゃんはご飯とお味噌汁をよそった。
「すごい!美味しそうです!しいたけのシューマイって、こういうことなんですね!」
美緒ちゃんの驚きが新鮮だ。
「うん、変わってるよね。おばあちゃんのシューマイはしいたけが皮代わりなの」
「ほうれん草の時もあったね」
「逆にシューマイの皮だったことは一度もなかった」
櫂と笑い合う。
「そうなんですか。これは繭さんのおばあちゃんのレシピなんですね。──あれ?でも櫂さんも食べたことがあるということなんですね」
「うん、僕たち小さい頃一緒に咲希さんのところで暮らしてたから」
作ったのが櫂だということが不思議だったようだけど、櫂の答えを聞いて、「きゃっ、あやかしと幼馴染」と美緒ちゃんは喜んだ。
よくわからないが楽しそうで何より。
「「「いただきまーす」」」
と、3人、手を合わせた。
「こ、これは美味しいです~!箸が止まりません!」
わかるわ、その気持ち。おばあちゃんのレシピは万人が大好きな味なのよね~。それを再現する櫂の腕前もなかなかで。
「そうなの。毎日美味しいものを食べて、太ってしまうんじゃないかと心配なのよ」
「繭さんでもそんな心配をするんですね~」
「繭、太ったらダイエットメニューを作るから、そんなこと気にしないでいっぱい食べて!」
「櫂ってば、天使ね!」
「「いえ、座敷童子(様)ですから」」
「・・あ、はい」
そこは二人にとって、絶対に譲れないところなのだろうか。
「は、生意気言って、すいませんすいません」
謝り倒してくる美緒ちゃん。
「美緒ちゃんてば。大丈夫よ。そんなに謝らないで」
「そうだよ。美緒ちゃんはなぜそんなに謝るの?人間は短命で、生きてるだけで偉いのに。謝ってないで自分の言いたいこと言って、やりたいことやらないと!あっという間に終わりが来るよ」
「・・・櫂、なんか怖い」
座敷童子目線の意見が。
「は、はい。座敷童子様」
「やだな~、僕のこと、ちゃんと櫂って呼んでよ。せっかく繭がカッコいい名前を付けてくれたんだから」
「は、はい。すいませんすいません。──え、繭さんが名前を付けたんですか?」
「・・・え?何?ダメだった?」
「あ、いえ、ダメというわけでは。ただ、あやかしにとって、名前を付けるということは、深い意味があると聞いたことがあって。契約といったような・・」
「──そ、そうなの?櫂?」
あと、美緒ちゃんはなぜそんなことを知っているのか。
「アハハ、美緒ちゃんは大げさだなぁ。僕と繭にとって契約なんて今さらなんだよ。小さい頃から何度も色んな契約をしてきたんだから」
櫂の言葉に美緒ちゃんの箸を持つ手がピタリと止まる。
──契約という言葉は、なぜだろう、恐ろしい感じがする。約束よりも、もっと強固で破ってはならないもの。
私の手もピタリと止まった。
一気に部屋の空気が重たくなった。
「・・・ちょっと待って。私と櫂がなんの契約を交わしたっていうの?──これって、これって、怖い話!?」
ヒイィィィ、ってなった。
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