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そ、そういえば、名前をつける時、櫂がやたらと真面目な顔してたよね。付ける?付けてみる?とか念を押されたような。
それって契約?
今さらって何?
ヒイィィィ、ってなる私に大丈夫だよ、怖くないよ、と笑いかけてくる櫂。それがもう怖い。
「ほら、僕あやかしだから、お願い事されたら契約しないと叶えてあげれないんだ。僕、繭が可愛くって、なんでも叶えてあげたくなっちゃって。けっこう、大きな力も使ったなあ」
「・・・繭さん、いったいどんな願い事を」
絶句する美緒ちゃん。
「・・し、してない。覚えありません」
「虹がみたいなあ、とか。で、がんばって雨を降らせたら、今度は晴れてほしいなあ、って。可愛くない?可愛すぎでしょ!?──天候を操るのはなかなか大変なんだよ、虎皮のパンツを履いたヤツに睨まれるし」
「「・・・・・」」
それはお願いしたというのか?七歳とか八歳の子供だよ?ただの無邪気な心からの言葉でしょうが。そして虎皮のパンツを履いてる方って、雷様でしょうか。
「・・・美緒ちゃん、契約っていうことは、私、なんか取られちゃうのかな、い、命とか。ハハ」
「繭さん・・・」
今や美緒ちゃんの顔色は蒼白なのですが!
「繭、僕がいるのになんで美緒ちゃんに聞くの?もちろん命はもらうよ。だって大好きな繭の命だもん。でももっといいこと思いついたんだ!」
あ、これ、すごくイヤな予感。美緒ちゃんも、がたん、と箸を置き、帰ろうとしてる。いや、腰抜けてる?立てていないけど。
「それはね、婚姻でーす!」
なんか、そんな気はした!
「妻の願いを叶えるのは夫の役目。婚姻したら何度も契約する必要もなくなるしね。そして繭が天に召されるときに魂をいただくね」
僕、かしこい!みたいに満面の笑みを見せられても。
「ご、ご結婚、おめでとうございます・・・っ」
「エヘ、ありがとう~」
「美緒ちゃんッ!」
長いものに巻かれた美緒ちゃんをキッ、と睨むが、涙目の美緒ちゃんが可哀想になった。見えるばかりにこんな場面に出くわしちゃうんだものね。
「──ところで、婚姻ってもう済んでいるの?」
「ううん、ごめんね。実はまだなんだあ。子供の頃に婚姻しちゃおうと思ったけど、友達に強制わいせつ罪で捕まるって言われて」
それを聞いて、あやかしの婚姻は肉体的なものも含むのかと暗い気持ちになった。
「でも、何度も約束したよね。指切りげんまーん、って」
確かに指切りを何度もした覚えはある。けど、約束の内容は覚えていない。
「えーと、そういう大事なことって書面に残しておいたりとかしないの?人間の世界ではね書面がないと無効になる場合もあったりするんだよ」
なんとかこっちのペースに持ち込まねばとあまり詳しくない方面の話をしてみるが、
「・・・そうなんだ。でも、繭、心配しないで。僕、いくらでも出せるから」
その言葉と共に、ひらり、はらり、とどこからともなく1枚の紙が落ちてきた。
「こんな感じ?」
見せてきた紙には、“僕と繭は将来結婚します”と書かれていた。
絶対法的に通用しないやつだ。だけど問題はそこじゃなくて、櫂が自分で言ったように、いくらでも作り出せるところだ。
「櫂は本当にあやかしなんだね・・・」
無から有を生み出した瞬間を見せられ、ようやく櫂が本物だと腑に落ちた。
「でも、なんで今になって?私、とっくに成人してるし、何ならもうすぐ結婚する予定だったのよ?」
ダメになっちゃったけどさ。
「時間が進むの早くてびっくりだよね~。まだ繭は、小さいままだと思っていたよ。でもちゃんと繭に何か起きたらわかるようにしていたから、悲しむ繭を一人にしないですんだよ」
長生きしすぎて、もはや時間を超越しているのか・・・。
「・・・・・」
そういえば、日曜日に貴文くんに振られて、まだ一週間も経ってないけど、全然、悲しくも辛くもないな。
それって、貴文くんのことを本当に好きじゃなかったのかも、と思っていたけど、いや、それも十分あるけど、櫂が来てくれたお陰、だったんだな。
櫂の存在が、櫂の作るごはんが、私を大事に癒してくれていたんだ。
「・・・ま、いいか」
思わずそんな言葉が口をついた。私は、今、とても元気だ。
うふふ、と綺麗に笑う櫂が向かいで頷いている。
パクリ、としいたけのシューマイを一口で食べた。とっても美味しい。
「美緒ちゃんも温かいうちにいっぱい食べて!」
「・・・は、はい!」
美緒ちゃんが指をもつれさせながら箸を再び握った。
「ところで、美緒ちゃんはさっきから指を組んでいたけど、なんか意味あるの?」
不思議そうに櫂が聞く。
私は全然気付かなかった。
「──す、すいませんすいません。結界を張ってました。すいません」
「「結界~??」」
「は、はいYouTubeで見たのを真似してみたのですが・・・」
「全然できてなかったね」
ばっさりと櫂が言い切った。
それって契約?
今さらって何?
ヒイィィィ、ってなる私に大丈夫だよ、怖くないよ、と笑いかけてくる櫂。それがもう怖い。
「ほら、僕あやかしだから、お願い事されたら契約しないと叶えてあげれないんだ。僕、繭が可愛くって、なんでも叶えてあげたくなっちゃって。けっこう、大きな力も使ったなあ」
「・・・繭さん、いったいどんな願い事を」
絶句する美緒ちゃん。
「・・し、してない。覚えありません」
「虹がみたいなあ、とか。で、がんばって雨を降らせたら、今度は晴れてほしいなあ、って。可愛くない?可愛すぎでしょ!?──天候を操るのはなかなか大変なんだよ、虎皮のパンツを履いたヤツに睨まれるし」
「「・・・・・」」
それはお願いしたというのか?七歳とか八歳の子供だよ?ただの無邪気な心からの言葉でしょうが。そして虎皮のパンツを履いてる方って、雷様でしょうか。
「・・・美緒ちゃん、契約っていうことは、私、なんか取られちゃうのかな、い、命とか。ハハ」
「繭さん・・・」
今や美緒ちゃんの顔色は蒼白なのですが!
「繭、僕がいるのになんで美緒ちゃんに聞くの?もちろん命はもらうよ。だって大好きな繭の命だもん。でももっといいこと思いついたんだ!」
あ、これ、すごくイヤな予感。美緒ちゃんも、がたん、と箸を置き、帰ろうとしてる。いや、腰抜けてる?立てていないけど。
「それはね、婚姻でーす!」
なんか、そんな気はした!
「妻の願いを叶えるのは夫の役目。婚姻したら何度も契約する必要もなくなるしね。そして繭が天に召されるときに魂をいただくね」
僕、かしこい!みたいに満面の笑みを見せられても。
「ご、ご結婚、おめでとうございます・・・っ」
「エヘ、ありがとう~」
「美緒ちゃんッ!」
長いものに巻かれた美緒ちゃんをキッ、と睨むが、涙目の美緒ちゃんが可哀想になった。見えるばかりにこんな場面に出くわしちゃうんだものね。
「──ところで、婚姻ってもう済んでいるの?」
「ううん、ごめんね。実はまだなんだあ。子供の頃に婚姻しちゃおうと思ったけど、友達に強制わいせつ罪で捕まるって言われて」
それを聞いて、あやかしの婚姻は肉体的なものも含むのかと暗い気持ちになった。
「でも、何度も約束したよね。指切りげんまーん、って」
確かに指切りを何度もした覚えはある。けど、約束の内容は覚えていない。
「えーと、そういう大事なことって書面に残しておいたりとかしないの?人間の世界ではね書面がないと無効になる場合もあったりするんだよ」
なんとかこっちのペースに持ち込まねばとあまり詳しくない方面の話をしてみるが、
「・・・そうなんだ。でも、繭、心配しないで。僕、いくらでも出せるから」
その言葉と共に、ひらり、はらり、とどこからともなく1枚の紙が落ちてきた。
「こんな感じ?」
見せてきた紙には、“僕と繭は将来結婚します”と書かれていた。
絶対法的に通用しないやつだ。だけど問題はそこじゃなくて、櫂が自分で言ったように、いくらでも作り出せるところだ。
「櫂は本当にあやかしなんだね・・・」
無から有を生み出した瞬間を見せられ、ようやく櫂が本物だと腑に落ちた。
「でも、なんで今になって?私、とっくに成人してるし、何ならもうすぐ結婚する予定だったのよ?」
ダメになっちゃったけどさ。
「時間が進むの早くてびっくりだよね~。まだ繭は、小さいままだと思っていたよ。でもちゃんと繭に何か起きたらわかるようにしていたから、悲しむ繭を一人にしないですんだよ」
長生きしすぎて、もはや時間を超越しているのか・・・。
「・・・・・」
そういえば、日曜日に貴文くんに振られて、まだ一週間も経ってないけど、全然、悲しくも辛くもないな。
それって、貴文くんのことを本当に好きじゃなかったのかも、と思っていたけど、いや、それも十分あるけど、櫂が来てくれたお陰、だったんだな。
櫂の存在が、櫂の作るごはんが、私を大事に癒してくれていたんだ。
「・・・ま、いいか」
思わずそんな言葉が口をついた。私は、今、とても元気だ。
うふふ、と綺麗に笑う櫂が向かいで頷いている。
パクリ、としいたけのシューマイを一口で食べた。とっても美味しい。
「美緒ちゃんも温かいうちにいっぱい食べて!」
「・・・は、はい!」
美緒ちゃんが指をもつれさせながら箸を再び握った。
「ところで、美緒ちゃんはさっきから指を組んでいたけど、なんか意味あるの?」
不思議そうに櫂が聞く。
私は全然気付かなかった。
「──す、すいませんすいません。結界を張ってました。すいません」
「「結界~??」」
「は、はいYouTubeで見たのを真似してみたのですが・・・」
「全然できてなかったね」
ばっさりと櫂が言い切った。
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