8 / 11
8
しおりを挟む
「大天使ガブリエル!」
「なんだ、貴様は。──悪魔か!」
何やらすでに戦闘態勢に入った模様。
「悪魔は全て排除する!」
ガブリエルが問答無用で腰に佩いた剣を抜きざま、イーサンに向けて一閃させた。
「イーサン!!」
閃光が収まり、炭化したイーサンが!!と思ったら、イーサンは普通にひょうひょうとその場に立っていた。
ガブリエルに向けた手には、羽根ペンが握られている。
悪魔仕様なのか黒い羽根ペンだ。そこから結界が放たれ、盾のようにイーサンを守っていた。と同時に後ろにいる僕も守られ無事だった。ふう。
しかしガブリエルの攻撃を躱すとは、すごい武器だな羽根ペン。
ん?なぜに羽根ペン?
「全く。天使というのはいつでも攻撃的なんだな」
イーサンの表情は穏やかだが、長くたなびく漆黒の髪と、大きく広げられた漆黒の6枚羽根がイーサンをまるで魔王のように見せている。
魔王対魔王。
「私の攻撃を避けたか。──その6枚羽根、貴様、もしや高位の悪魔か?」
「いいや。ただの平民だ。大天使ガブリエル、私は不要な争いをするつもりはない。
お前が虐げていた魔獣を手放すというならこの場は引こう。そして、欲と野望の渦巻くこの城は私の気に入りの狩り場であったが、望むならここにももう来ないと約束しよう」
「私が虐げていた魔獣・・?」
それって僕のこと?
あ、もしかして今が出て行くタイミングかも。
僕は一生懸命素早く羽根を動かした。
なんとかこの場を平和的に収めなければ。
「なんのことだ?」
「お前が”天使ちゃん”と呼んでいる者のことだ」
ピシリ、とその場の空気が凍り、ガブリエルが再び戦闘態勢に!
待って待って~。
ふよふよふよ。
「なぜ貴様が天使ちゃんを知っている?もしや天使ちゃんを拐ったのか?
だとしたら万死に値する!!」
「ガブリエル!・・さまぁ」
おっと、何も思い出していない頃の自分の言動はどうだったっけ。
とにかく、大声でガブリエルの名を呼んだ。
距離的にはようやくイーサンの辺りまでたどり着いたところだ。
「天使ちゃん!!」
気付いたガブリエルが両手を広げる。その胸に飛び込もうとふよふよ進んでいたら、がしりと捕まった。
「・・・イーサン」
「テン、待っていろと言っただろう?」
「あ、僕、ガブリエル、様にただいまを言おうと・・」
「そんな必要はないよ。もうテンはうちの子なんだから」
にっこり微笑むイーサン。
背筋が凍えるほど怖い。
「貴様、何をふざけたことを言ってる。天使ちゃんを離せ!さもなくば死だ!」
再び剣を構えるガブリエル。
ちなみに、抱っこされてた子豚ちゃんはイーサンと対峙した時点で床に降ろされ、今は兵士に抱えられ部屋の隅に避難している。ピスピスと鼻を鳴らし怯えてる姿はとても可愛い。
「どうやら話し合いは決裂したようだ。ならばこちらも命を取りに行く!」
イーサンは僕を左腕で立て抱っこしたまま羽根ペンを構えた。
やっぱり武器は羽根ペンなのか。
「ま、待って、待って!えーと、僕の意見は聞かないの?」
はた、と二人の動きが止まる。
「「・・意見?」」
どうやら二人には僕が思考する生き物だという認識がないらしい。
ふよー、とイーサンの腕から抜け出すとイーサンが慌てた。
「もちろんテンの意見もちゃんと聞くつもりだったよ?なのにあいつが短気で」
「な!何を言うか!天使ちゃん!私は、いつだって天使ちゃんを尊重している!」
二人の真ん中あたりをふよふよと漂い交互に二人に視線を送る。
「ここで二人が戦えば無関係の人々が傷ついてしまう。僕は、そんなことも考えられない自分勝手な奴は嫌いだ!」
「「ぐ!」」
二人ともダメージを耐えるように胸を押さえた。
僕はふよふよとガブリエルの元へ行き、ミスリルの鎧を纏った胸元に抱きついた。
「ガブリエル、様。昨夜は帰れなくて、いっぱい心配かけて、ごめんなさい」
「天使ちゃん!本当に、本当に心配したよ!神に、天使ちゃんを捜すように嘆願したら一晩待てと言われたのだ!信じられるか!?一晩だと!その時私は、いつか策を練り、私に吐いたその言葉を後悔させてやるとこの胸に誓ったのだ!」
怖っ!!執念深っ!!
大天使が神にそんなこと誓うな!
「ぼ、僕、ちゃんと神様が言ったとおりに一晩で戻ってきたよ?わ、わあ、神様すごいね!神様になにかしちゃヤダよ?」
「そうだな。しかし天使ちゃんを拐ったあいつは許せん。二度とそんなことのできないように塵にする」
「っガブリエル!、様、怖い!いやっ!!」
秘技、駄々っ子だ。
「僕はいつもの優しいガブリエル様が大好きなの」
胸元から見上げると、ガブリエルの顔面がでろんと崩れた。
「わかったよ、天使ちゃん。あの悪魔は捨て置こう。さ、一緒に天界に帰ろう」
「うん」
こっちはこれでオッケーだ。
「待て、テン。騙されるな。そいつに付いていけばまた虐げられる日々が始まるんだぞ」
「や、」
次はイーサンに魔界へお引き取り頂こうと思っていたら、痺れを切らしたイーサンの口撃が始まってしまった。
「誰が虐げているというんだ。人聞きの悪いことを言うのはやめてもらおうか」
「テンにきのこ摘みを命じただろうが!」
「きのこ摘みの何が虐げているというのだ。しかも天使ちゃんをテンなどと呼ぶのはやめろ!」
──くそう、私も呼びたい。
ガブリエルの小さなうめき声が耳に届いた。
いやいや、テンってダサいから!
「なんだ、貴様は。──悪魔か!」
何やらすでに戦闘態勢に入った模様。
「悪魔は全て排除する!」
ガブリエルが問答無用で腰に佩いた剣を抜きざま、イーサンに向けて一閃させた。
「イーサン!!」
閃光が収まり、炭化したイーサンが!!と思ったら、イーサンは普通にひょうひょうとその場に立っていた。
ガブリエルに向けた手には、羽根ペンが握られている。
悪魔仕様なのか黒い羽根ペンだ。そこから結界が放たれ、盾のようにイーサンを守っていた。と同時に後ろにいる僕も守られ無事だった。ふう。
しかしガブリエルの攻撃を躱すとは、すごい武器だな羽根ペン。
ん?なぜに羽根ペン?
「全く。天使というのはいつでも攻撃的なんだな」
イーサンの表情は穏やかだが、長くたなびく漆黒の髪と、大きく広げられた漆黒の6枚羽根がイーサンをまるで魔王のように見せている。
魔王対魔王。
「私の攻撃を避けたか。──その6枚羽根、貴様、もしや高位の悪魔か?」
「いいや。ただの平民だ。大天使ガブリエル、私は不要な争いをするつもりはない。
お前が虐げていた魔獣を手放すというならこの場は引こう。そして、欲と野望の渦巻くこの城は私の気に入りの狩り場であったが、望むならここにももう来ないと約束しよう」
「私が虐げていた魔獣・・?」
それって僕のこと?
あ、もしかして今が出て行くタイミングかも。
僕は一生懸命素早く羽根を動かした。
なんとかこの場を平和的に収めなければ。
「なんのことだ?」
「お前が”天使ちゃん”と呼んでいる者のことだ」
ピシリ、とその場の空気が凍り、ガブリエルが再び戦闘態勢に!
待って待って~。
ふよふよふよ。
「なぜ貴様が天使ちゃんを知っている?もしや天使ちゃんを拐ったのか?
だとしたら万死に値する!!」
「ガブリエル!・・さまぁ」
おっと、何も思い出していない頃の自分の言動はどうだったっけ。
とにかく、大声でガブリエルの名を呼んだ。
距離的にはようやくイーサンの辺りまでたどり着いたところだ。
「天使ちゃん!!」
気付いたガブリエルが両手を広げる。その胸に飛び込もうとふよふよ進んでいたら、がしりと捕まった。
「・・・イーサン」
「テン、待っていろと言っただろう?」
「あ、僕、ガブリエル、様にただいまを言おうと・・」
「そんな必要はないよ。もうテンはうちの子なんだから」
にっこり微笑むイーサン。
背筋が凍えるほど怖い。
「貴様、何をふざけたことを言ってる。天使ちゃんを離せ!さもなくば死だ!」
再び剣を構えるガブリエル。
ちなみに、抱っこされてた子豚ちゃんはイーサンと対峙した時点で床に降ろされ、今は兵士に抱えられ部屋の隅に避難している。ピスピスと鼻を鳴らし怯えてる姿はとても可愛い。
「どうやら話し合いは決裂したようだ。ならばこちらも命を取りに行く!」
イーサンは僕を左腕で立て抱っこしたまま羽根ペンを構えた。
やっぱり武器は羽根ペンなのか。
「ま、待って、待って!えーと、僕の意見は聞かないの?」
はた、と二人の動きが止まる。
「「・・意見?」」
どうやら二人には僕が思考する生き物だという認識がないらしい。
ふよー、とイーサンの腕から抜け出すとイーサンが慌てた。
「もちろんテンの意見もちゃんと聞くつもりだったよ?なのにあいつが短気で」
「な!何を言うか!天使ちゃん!私は、いつだって天使ちゃんを尊重している!」
二人の真ん中あたりをふよふよと漂い交互に二人に視線を送る。
「ここで二人が戦えば無関係の人々が傷ついてしまう。僕は、そんなことも考えられない自分勝手な奴は嫌いだ!」
「「ぐ!」」
二人ともダメージを耐えるように胸を押さえた。
僕はふよふよとガブリエルの元へ行き、ミスリルの鎧を纏った胸元に抱きついた。
「ガブリエル、様。昨夜は帰れなくて、いっぱい心配かけて、ごめんなさい」
「天使ちゃん!本当に、本当に心配したよ!神に、天使ちゃんを捜すように嘆願したら一晩待てと言われたのだ!信じられるか!?一晩だと!その時私は、いつか策を練り、私に吐いたその言葉を後悔させてやるとこの胸に誓ったのだ!」
怖っ!!執念深っ!!
大天使が神にそんなこと誓うな!
「ぼ、僕、ちゃんと神様が言ったとおりに一晩で戻ってきたよ?わ、わあ、神様すごいね!神様になにかしちゃヤダよ?」
「そうだな。しかし天使ちゃんを拐ったあいつは許せん。二度とそんなことのできないように塵にする」
「っガブリエル!、様、怖い!いやっ!!」
秘技、駄々っ子だ。
「僕はいつもの優しいガブリエル様が大好きなの」
胸元から見上げると、ガブリエルの顔面がでろんと崩れた。
「わかったよ、天使ちゃん。あの悪魔は捨て置こう。さ、一緒に天界に帰ろう」
「うん」
こっちはこれでオッケーだ。
「待て、テン。騙されるな。そいつに付いていけばまた虐げられる日々が始まるんだぞ」
「や、」
次はイーサンに魔界へお引き取り頂こうと思っていたら、痺れを切らしたイーサンの口撃が始まってしまった。
「誰が虐げているというんだ。人聞きの悪いことを言うのはやめてもらおうか」
「テンにきのこ摘みを命じただろうが!」
「きのこ摘みの何が虐げているというのだ。しかも天使ちゃんをテンなどと呼ぶのはやめろ!」
──くそう、私も呼びたい。
ガブリエルの小さなうめき声が耳に届いた。
いやいや、テンってダサいから!
1
あなたにおすすめの小説
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
サレ妻の娘なので、母の敵にざまぁします
二階堂まりい
大衆娯楽
大衆娯楽部門最高記録1位!
※この物語はフィクションです
流行のサレ妻ものを眺めていて、私ならどうする? と思ったので、短編でしたためてみました。
当方未婚なので、妻目線ではなく娘目線で失礼します。
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
触手エイリアンの交配実験〜研究者、被験体になる〜
桜井ベアトリクス
恋愛
異星で触手エイリアンを研究する科学者アヴァ。 唯一観察できていなかったのは、彼らの交配儀式。
上司の制止を振り切り、禁断の儀式を覗き見たアヴァは―― 交わる触手に、抑えきれない欲望を覚える。
「私も……私も交配したい」
太く長い触手が、体の奥深くまで侵入してくる。 研究者が、快楽の実験体になる夜。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる