《完結》天使ちゃん

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 止める間もなく中に入って行ったイーサン。

 え、なに、あいつ馬鹿なの?
 何一つ戦略を練らずに入っていったよね。ガブリエルの情報を集めたりもしないってどういうこと?
 ガブリエルは隠してるけど魔王ばりのドSだぞ。
 あ、今まさに魔王だったね。
 えーーー!なのに行くってどんだけ命知らずなの!



☆☆☆

 「やぁミカエル、おかえり。おつかれさま。どこも怪我なんてしてないだろうね?」

 人界での視察を終え、本部へ報告をしに来たら、中央の廊下でガブリエルにばったり会った。ミルクティー色のウエーブのかかった髪をなびかせ、相変わらず優しげな姿だ。

 「怪我なんてしてないさ。今回の任務は視察だけだ」

 人界で起きている紛争は介入するまでもなく、そろそろ終わりそうだった。とはいえ、人々の苦しむ様を見るのは堪える。これも天使の性だろうか。

 「そう、良かった。いいワインがあるんだけど、今夜うちに飲みに来ないか?」

 「・・・そうだな、行くよ」

 「つまみを準備して待ってるよ」

 じゃあ後ほど、と踵を返して離れていくガブリエルを複雑な思いで見送る。
 素直に再会を喜べないのは遠征前のちょっとしたナゾのせいだ。

 遠征前夜、軽く飲もうとガブリエルに誘われ、行きつけのつまみの美味い酒場で飲んだ。
 そこで飲み過ぎてガブリエルに連れ帰ってもらったらしいのだが。

 ───朝起きたらベッドに裸で寝ていた。
 しかも、重だるい股間?股関節?と、あらぬ場所の疼痛。
 記憶はないが、まさかナニをしてしまったのか。しかも自分が受け入れる側で。
 ガブリエルといえば、もうすでに仕度を終え、それはもう汚れのない爽やかな笑顔で朝食を用意してくれていた。
 訊きたいけど訊けず、逆にこんなにも清らかなガブリエルを疑った自分を猛省した。
 そしてバランスの取れた見た目も美しい朝食を頂き遠征に出発したのだが。
 じゃあ、下半身のあれこれは何だったのか、とナゾが出来てしまったのだ。

 だが、あの朝もそうだったが、先程のガブリエルの無垢な笑顔からは、後ろ暗さは全く感じなかった。ナニに関することとは全く無縁そうだ。
 そもそも天使というのは欲が薄い生き物なのだ。

 まあ、聞いてしまえば、裸だったのは私が酔って吐いてしまったから服を脱がせた。というのもありそうだし、下半身に関しては酔ってどこかにぶつけた。という理由だったのだろう。

 「ふむ。なんだ、思い過ごしだったか」
 
 一気にナゾが解決して晴れやかな気分になった。
 とりあえず、今夜は酒に飲まれることのないようにしようと決意し、まずは報告に向かった。

 
 ──結果。現在、目をギラギラさせたガブリエルにソファに押し倒されてる。

 「今日は素面で楽しみましょうね」

 ワインは一杯飲んだところでグラスを取り上げられた。その後耳たぶを甘咬みされ、ナニかが始まってしまった。

 「前回は・・・」

 「ええ。酩酊状態の素直に感じるあなたは可愛らしかった」

 ──ナニをされていた!

 「ガ、ガブリエル!合意のない性行為はいけないっ!」

 必死に抵抗するが、背中に回され二人分の体重をかけられた右腕のせいか、身動きが取れない。
 なんでこんなに手慣れてるんだ。

 「合意はありましたよ?口付けたら、もっと、とねだるように舌を絡めてきました。
 ですが、前回は指を挿入したところまでで終わりましたので、今夜は最後までがんばってくださいね」

 色々突っ込みたいところだが、あまりのことに理解が追いつかない。ぱくぱくと口を開いては閉じを繰り返しながら、意地悪く攻めてくるガブリエルにピタリとくる言葉が人界にあったことを思い出した。
 確か、サドとかSとか。

 「わ、私は帰る」

 「ここまで来てそんな事を言うなんて、あなたは本当に冷たいですね。全てを欲しいなどと欲張りは言いません。この美しい肉体だけ、もらいます」

 どういう理屈だ!
 長方形の布を身体に添わせて巻いただけのいつもの服装は、あっという間にはだけて、胸元を優しく手のひらで撫でられた。そうされながら、首元を吸われる。

 「っ、やめろガブリエル!」

 私の抵抗にいっそう愛撫を仕掛けてくる。
 文官なのに武官の私を組み敷く程の膂力。有事の際には文官も戦いに出る。ガブリエルはその剣の一振りで悪魔の一群を屠るのだ。優しげな面でみんながまさかと思うが、戦力の上でも天界きっての実力者なのだ。

 尖る乳首をかりかりと掻かれ、舐めしゃぶられる。体中がビリビリと疼き、何度も背中を反らせた。

 「私の愛撫が気持ちいいみたいですね」

 すっかり起ち上がり透明な雫を零す私自身に手を添え、嬉しそうに笑う。
 その頃にはもうすっかり力が抜けてしまい、ガブリエルにされるがまま、大きく足を開いていた。

 「ああ、可愛い。イきたいんですね?───でも、まだダメですよ」

 「えっ・・・」

 「もっともっと、泣くほど気持ち良くなってからイきましょうね」

 尖端の小さな穴を拡げるように親指でぐりぐりと苛めていた手を放し、柔らかい紐できゅっと根元を縛られた。

 「あ・・・、いやだ、ガブリエル、お願いだ、取ってくれ」

 「ええ、もちろん。──満足したら、ね」

 「っ、満足?・・したからっ・・、満足っ、も、したぁ・・や、やめっ・・」

 誰の満足かは冷静に考えればわかっただろうが。
 後ろに香油を塗られ、縁をふにふにと解され、感じたことのないなんともいえない感覚に私は跳ねる声で懸命に止めてくれと懇願した。
 やがて入ってきたガブリエルの指は、後孔の内部の至るところを擦り上げた。
 
 「ミカエル、あなたの泣き声はなんて甘美なんだ・・」

 その晩は、後孔でつながることがものすごい快楽を生むことを何度も教え込まされた。
 もちろん泣いてもその行為が止まることはなかった。

 そして、そのままなし崩し的に、会えば体をつなげる関係になってしまったのだ。



☆☆☆

 黒歴史だ。
 できることなら思い出したくなかった・・・。
 
 いや、今はイーサンだ。
 イーサン、早まるな!あいつはドSだぞ!謝っても泣いても許してくれないやつだから!

 


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