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偽りの国 3
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その港は人口わずか10人の小さな村だ
主に、宿場としての意味合いが強い港で漁業などは行われていない
およそ、20人程度が宿泊できる宿がある以外は小さな土産物屋兼食堂が一軒あるだけだった
「なぁおっちゃん、ここなんで宿場だけなんだ?海が近いのに漁業はしないのか?」
カンザキは当たり前の疑問を土産物屋の店主にぶつけてみる
まだ老人というには早いその男は、濃いめの髭をさすりながら煙草をふかしている
「あー・・・なんだったかなぁ。昔からなんだ、うちの爺さんの時代だったかに大きな魔魚がよぉー、このへんの海に住み着いちまったらしいんだ」
魔魚というのは、この世界にいる魚で魔力を持っている
当然、魔法も使う生物が存在する
水をまるで弾丸の様に飛ばして獲物を狙う魚だったり
また、空を飛んだり
それは生まれ持った魔法である
なぜ魔法と分かったか・・・それは昔の研究成果だ
まだ魔法文明が発達しきっていたころ、マジックキャンセラーのアイテムを使用して観察をした結果、その魚は使っていた魔法が使えなかったという。その事から魚であろうが、動物であろうが魔法を使っているという認識が一般的になった。
それが今日まで伝わっているのだ
「退治できなかったのか?」
「ああそうだ、その魔魚は人の言葉をしゃべったらしい。んで、この海域はもう自分の物だから人間は手を出すなと言ったらしい」
「そりゃまた、すげぇ話だなぁ。喋る魔魚ね。」
「んで、漁をしていたところを襲われるようになっちまった。ただ、船を出して乗る分には襲ってこねぇからな、いまじゃただの船着き場さ。人もどんどん居なくなっちまって今じゃ宿屋と俺の店だけよ」
どうやら、数十年の間に人が居なくなり今の規模になってしまったらしい
船着き場ならば、もう少しにぎやかでもいいと思ったのだが船はひと月に一便くる程度で主に食料品や布などを積んで帰るということだった
その商品の流通のため、この土産物屋はあるということだった
「20年前くらいかなぁ・・そいつらが来たのは。確かに船着き場だったからよ、ここは。当時はもう船はなく、村の連中も畑を持って暮らしている奴らばかりだったんだよ、でもー」
そう、そいつらが宿屋と店を用意し、働いてくれと言われたそうだ
積み荷の中に、好きに売りさばいてくれていいと言われたものがあってそれを売るとそれなりのお金になった。
今では物珍しさに見物客までくるらしい
その理由は至極ありきたりなものであるのだが、この世界の住人からしてみれば異様な物だった
「船なんだがどうも鉄でできているみたいでなぁ。珍しいんだよ、なんで浮いてるんだとかな。それと沖合に小さく見える島なんだが、どうも連中そこからきているみたいでなーああそうだ、そういや連中、あんたと同じ黒髪黒目の奴が多かったな」
そうか・・・
カンザキもこの世界にきてそれなりの年数は経過している
その中で、日本人は何人かと出会って・・いや、見てきている
出会ってないにしてもうわさ話や遠目にみたときにそれだと気づくこともあった
普通ならば同郷は懐かしく、嬉しくなるものだとおもう。
だけれど声をかけて仲良くなろうとまでは思わなかったのも事実だ
「鉄で出来た船ってそんなに珍しいものなのー?」
ナートがふと、疑問に思って聞いていた
「そうさなぁ・・鉄といやぁ、一般的に剣や盾にも使われている珍しいもんじゃないさ。車輪の補強なんかにも使われているしな。だが、船に使われているのは珍しいの一言につきる。なんせ精霊の加護が使えない鉄を、船底にあしらって沈まねぇってのが意味わかんねぇ」
「へぇ、そうなんだ。精霊の加護が付与できないんだ?」
「まぁな、魔鉄じゃなきゃ加護付きなんてできねぇさ。だが逆に船にするほど豊富に取れる金属でもねぇしなぁ・・だからこそ、鉄なんだろうが・・・」
腕を組んで、考えるようにうなる主人
だがカンザキにはそれが何なのか当たり前のように分かっている
この世界では異質なものだろうそれは、その技術を持っているか識っている人間にとってはさも当たり前の事だった。
色々と親切に教えてもらって、御礼を言ってカンザキとナートはその村を一旦離れた
有益だと思える情報は手に入れた
「カンザキさーん。さっきの鉄船っての怪しいと思いません?なんかね、こービビーっと来たんですよ。ビビーっと」
ナートが両手を広げて説明する
当初あった、ショウヘイを探すことへの焦りの様なものは、すっかり落ち着いているのだがその目の奥には諦めていない強い意志の炎が見て取れる
「おお、よく気付いたな。実は俺もだ」
カンザキは話を合わせるように、相槌を打つ
ほんとうは黒髪、黒目のところで気づいていたのだが
「ですよね!?じゃぁその船が来たらちょーっとだけ行ってみましょうよ」
「それはもっともだ。だけどおっちゃんが言ってたろ?次の船は10日も先だ」
そうでしたーと項垂れるナート
「なんか手段ないんですかねー」
「あるさ。船を探すよりも、要はあの島に渡ればいいんだろ?」
そう言ってカンザキはさきほどの店で購入していた地図を広げる
その地図には当然、ウルグインは載ってなどいない。
ガラニカが中心の地図で、北には先ほどの島が最後に描かれている。そこから先は空白で、何もないことになっている
「今俺らがいるのがこの辺な」
指をさして、ナートに言う
「んでもってあの島がこれだ」
うんうんと頷くナート
「つまり、あの島までの距離はざっとこんくらい」
それはkmに当てはめればおよそ40km
「思ったよりもデカい島ってことになる。今日みたいに晴れた日じゃなきゃ見えないらしいが、地図にのるほどには確実に昔からあったってこと」
そしてその島にはー
「転送陣がある。間違いなくな」
それは、月へと続く塔ーバベルで見つけた古代の転送陣地図と合致する位置に、あの島があるからだ。
その地図は壁画だったため、カンザキ手書きの手帳にメモをとっていた。
カンザキの移動手段の秘密である
「転送陣は何処にでも行ける万能性がある。だが、通常長い時間それを維持し続ける為にはある条件がある」
「え?そんなのがあるの?」
ナートは不可思議な顔をする。納得できないというより、理解できないという具合だ
「ま、条件ってか当たり前のように使ってたから気づいてないかもしれないが、行先の指定だな。転送先を1か所に固定することだ」
「え?普通じゃないのそれ?」
「普通だ。実際は何処にでも指定した場所に行ける転送陣もある。というか、作れるが、その場合は消えたり壊れてしまうからそう何度も使えないんだ。ただ、指定してある陣であればほぼ消えることがないからな」
そういってカンザキは地図をしまって歩き始める
「この先に、その島に向かう転送陣があるはずだ、行ってみよう」
「はー何でも知ってますねぇ・・・カンザキさんは」
「知らないことはまだまだあるさ・・・」
港からおおよそ5kmほど離れた場所にそれはあった
あたりは巨大な、大きな木が幾つか立ち、影が辺りを暗く染めている
そしてその中心には石で覆われた祠のようなものがあり、その前にはお供え物を置くための台のような岩があった
日本人ならば神聖な雰囲気を感じるところではあるが・・・
「うわっ・・不気味ですねーここ」
ナートの反応はこうだ。
どうしてか聞いてみたところ、ナートの元居た世界では昼間に闇の多いところには魔が集まると言っていた。それ故に、不気味だと言うことだった
カンザキにもそれには少し、同意できる
子供のころ近所の神社で遊んできたとき、周りはすごく明るいのに一か所だけ、影の多い場所に狐像があった。それがどうにも厭な雰囲気だったのを覚えている
カンザキのその祠の中に入っていく
「やっぱり、あったぞ転送陣だ。」
その祠の天井を見上げるとそこには転送陣が描かれている
地面に描かれていないのは土やほこりなどで埋もれないことと、見つけにくくしてあることがあげられる
カンザキとナートはその低い天井に手を触れて、魔力を流した
◇
「タナカさん、それじゃぁ行きましょうか」
ミナリはそうタナカに告げる
「こんなことをしてただじゃ済みませんよ・・・・」
タナカは後ろ手に縛られて、ボロボロにされている
「いや、だってタナカさんが襲い掛かってきたんじゃないですか・・日本人じゃなかったら息の根止めてますよ」
ミナリはケラケラと笑う
タナカはゾっとする
そして心の中でつぶやいた
カトー、私は嘘を言ってしまったみたいです。この方にはあなたでも敵いそうにないです・・
スキルを過信していたわけではない
ただ単純に見誤ったのだ
ミナリの強さそのものを
主に、宿場としての意味合いが強い港で漁業などは行われていない
およそ、20人程度が宿泊できる宿がある以外は小さな土産物屋兼食堂が一軒あるだけだった
「なぁおっちゃん、ここなんで宿場だけなんだ?海が近いのに漁業はしないのか?」
カンザキは当たり前の疑問を土産物屋の店主にぶつけてみる
まだ老人というには早いその男は、濃いめの髭をさすりながら煙草をふかしている
「あー・・・なんだったかなぁ。昔からなんだ、うちの爺さんの時代だったかに大きな魔魚がよぉー、このへんの海に住み着いちまったらしいんだ」
魔魚というのは、この世界にいる魚で魔力を持っている
当然、魔法も使う生物が存在する
水をまるで弾丸の様に飛ばして獲物を狙う魚だったり
また、空を飛んだり
それは生まれ持った魔法である
なぜ魔法と分かったか・・・それは昔の研究成果だ
まだ魔法文明が発達しきっていたころ、マジックキャンセラーのアイテムを使用して観察をした結果、その魚は使っていた魔法が使えなかったという。その事から魚であろうが、動物であろうが魔法を使っているという認識が一般的になった。
それが今日まで伝わっているのだ
「退治できなかったのか?」
「ああそうだ、その魔魚は人の言葉をしゃべったらしい。んで、この海域はもう自分の物だから人間は手を出すなと言ったらしい」
「そりゃまた、すげぇ話だなぁ。喋る魔魚ね。」
「んで、漁をしていたところを襲われるようになっちまった。ただ、船を出して乗る分には襲ってこねぇからな、いまじゃただの船着き場さ。人もどんどん居なくなっちまって今じゃ宿屋と俺の店だけよ」
どうやら、数十年の間に人が居なくなり今の規模になってしまったらしい
船着き場ならば、もう少しにぎやかでもいいと思ったのだが船はひと月に一便くる程度で主に食料品や布などを積んで帰るということだった
その商品の流通のため、この土産物屋はあるということだった
「20年前くらいかなぁ・・そいつらが来たのは。確かに船着き場だったからよ、ここは。当時はもう船はなく、村の連中も畑を持って暮らしている奴らばかりだったんだよ、でもー」
そう、そいつらが宿屋と店を用意し、働いてくれと言われたそうだ
積み荷の中に、好きに売りさばいてくれていいと言われたものがあってそれを売るとそれなりのお金になった。
今では物珍しさに見物客までくるらしい
その理由は至極ありきたりなものであるのだが、この世界の住人からしてみれば異様な物だった
「船なんだがどうも鉄でできているみたいでなぁ。珍しいんだよ、なんで浮いてるんだとかな。それと沖合に小さく見える島なんだが、どうも連中そこからきているみたいでなーああそうだ、そういや連中、あんたと同じ黒髪黒目の奴が多かったな」
そうか・・・
カンザキもこの世界にきてそれなりの年数は経過している
その中で、日本人は何人かと出会って・・いや、見てきている
出会ってないにしてもうわさ話や遠目にみたときにそれだと気づくこともあった
普通ならば同郷は懐かしく、嬉しくなるものだとおもう。
だけれど声をかけて仲良くなろうとまでは思わなかったのも事実だ
「鉄で出来た船ってそんなに珍しいものなのー?」
ナートがふと、疑問に思って聞いていた
「そうさなぁ・・鉄といやぁ、一般的に剣や盾にも使われている珍しいもんじゃないさ。車輪の補強なんかにも使われているしな。だが、船に使われているのは珍しいの一言につきる。なんせ精霊の加護が使えない鉄を、船底にあしらって沈まねぇってのが意味わかんねぇ」
「へぇ、そうなんだ。精霊の加護が付与できないんだ?」
「まぁな、魔鉄じゃなきゃ加護付きなんてできねぇさ。だが逆に船にするほど豊富に取れる金属でもねぇしなぁ・・だからこそ、鉄なんだろうが・・・」
腕を組んで、考えるようにうなる主人
だがカンザキにはそれが何なのか当たり前のように分かっている
この世界では異質なものだろうそれは、その技術を持っているか識っている人間にとってはさも当たり前の事だった。
色々と親切に教えてもらって、御礼を言ってカンザキとナートはその村を一旦離れた
有益だと思える情報は手に入れた
「カンザキさーん。さっきの鉄船っての怪しいと思いません?なんかね、こービビーっと来たんですよ。ビビーっと」
ナートが両手を広げて説明する
当初あった、ショウヘイを探すことへの焦りの様なものは、すっかり落ち着いているのだがその目の奥には諦めていない強い意志の炎が見て取れる
「おお、よく気付いたな。実は俺もだ」
カンザキは話を合わせるように、相槌を打つ
ほんとうは黒髪、黒目のところで気づいていたのだが
「ですよね!?じゃぁその船が来たらちょーっとだけ行ってみましょうよ」
「それはもっともだ。だけどおっちゃんが言ってたろ?次の船は10日も先だ」
そうでしたーと項垂れるナート
「なんか手段ないんですかねー」
「あるさ。船を探すよりも、要はあの島に渡ればいいんだろ?」
そう言ってカンザキはさきほどの店で購入していた地図を広げる
その地図には当然、ウルグインは載ってなどいない。
ガラニカが中心の地図で、北には先ほどの島が最後に描かれている。そこから先は空白で、何もないことになっている
「今俺らがいるのがこの辺な」
指をさして、ナートに言う
「んでもってあの島がこれだ」
うんうんと頷くナート
「つまり、あの島までの距離はざっとこんくらい」
それはkmに当てはめればおよそ40km
「思ったよりもデカい島ってことになる。今日みたいに晴れた日じゃなきゃ見えないらしいが、地図にのるほどには確実に昔からあったってこと」
そしてその島にはー
「転送陣がある。間違いなくな」
それは、月へと続く塔ーバベルで見つけた古代の転送陣地図と合致する位置に、あの島があるからだ。
その地図は壁画だったため、カンザキ手書きの手帳にメモをとっていた。
カンザキの移動手段の秘密である
「転送陣は何処にでも行ける万能性がある。だが、通常長い時間それを維持し続ける為にはある条件がある」
「え?そんなのがあるの?」
ナートは不可思議な顔をする。納得できないというより、理解できないという具合だ
「ま、条件ってか当たり前のように使ってたから気づいてないかもしれないが、行先の指定だな。転送先を1か所に固定することだ」
「え?普通じゃないのそれ?」
「普通だ。実際は何処にでも指定した場所に行ける転送陣もある。というか、作れるが、その場合は消えたり壊れてしまうからそう何度も使えないんだ。ただ、指定してある陣であればほぼ消えることがないからな」
そういってカンザキは地図をしまって歩き始める
「この先に、その島に向かう転送陣があるはずだ、行ってみよう」
「はー何でも知ってますねぇ・・・カンザキさんは」
「知らないことはまだまだあるさ・・・」
港からおおよそ5kmほど離れた場所にそれはあった
あたりは巨大な、大きな木が幾つか立ち、影が辺りを暗く染めている
そしてその中心には石で覆われた祠のようなものがあり、その前にはお供え物を置くための台のような岩があった
日本人ならば神聖な雰囲気を感じるところではあるが・・・
「うわっ・・不気味ですねーここ」
ナートの反応はこうだ。
どうしてか聞いてみたところ、ナートの元居た世界では昼間に闇の多いところには魔が集まると言っていた。それ故に、不気味だと言うことだった
カンザキにもそれには少し、同意できる
子供のころ近所の神社で遊んできたとき、周りはすごく明るいのに一か所だけ、影の多い場所に狐像があった。それがどうにも厭な雰囲気だったのを覚えている
カンザキのその祠の中に入っていく
「やっぱり、あったぞ転送陣だ。」
その祠の天井を見上げるとそこには転送陣が描かれている
地面に描かれていないのは土やほこりなどで埋もれないことと、見つけにくくしてあることがあげられる
カンザキとナートはその低い天井に手を触れて、魔力を流した
◇
「タナカさん、それじゃぁ行きましょうか」
ミナリはそうタナカに告げる
「こんなことをしてただじゃ済みませんよ・・・・」
タナカは後ろ手に縛られて、ボロボロにされている
「いや、だってタナカさんが襲い掛かってきたんじゃないですか・・日本人じゃなかったら息の根止めてますよ」
ミナリはケラケラと笑う
タナカはゾっとする
そして心の中でつぶやいた
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