(完結)死刑執行人は私の味方、婚約破棄の恨み晴らします

コーヒーブレイク

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救世主

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 どうしてこんなことになったの。

 目の前の断頭台……ギロチンを見上げて私は思った。
 ギロチンのさらに向こうに、寄り添うように二人の男女が立っている。

 私が何をしたというの。寄り添う二人を虚ろな目で見つめる。

 二人のうち男性の方は、先週まで私の婚約者だった、アルベール様。この国の第二王子だ。
 そして女性の方はアルベール様の今の婚約者、ジュリア伯爵令嬢。

 私はジュリア伯爵令嬢殺人未遂という罪で、公開処刑広場今ここに立たされている。

 一昨日私がジュリア伯爵令嬢の飲み物に毒を入れたというのだ。王子に婚約破棄された逆恨みから。
 婚約破棄は悲しかったけれど、毒なんて断じて入れていない。私は無実だ。そんなの私が一番よく知っている。
 しかし私の話など誰も聞いてはくれず、私は捕らえられ、すぐに死刑が言い渡された。

 邪魔な私を消すために、アルベールとジュリアが私を嵌めたに違いなかった。婚約破棄だけではなくここまでするとは正直思わなかった。目の前が真っ暗になった。
 準男爵令嬢、しかも四女の私は家から全く重要視されていない。
 無実の罪で私が処刑されることになっても両親は守ってくれるどころか、家の取り潰しを恐れて喜んで私を差し出した。
 絶対王政国家の国では仕方のないことなのかもしれないけれど、私は絶望した。

 涙もとうに枯れ果てた。牢屋の中で散々泣いて、もう一滴の涙も出ない。
 どうせ泣いたって誰も助けてはくれないのだ。
 まわりは公開処刑を見物に来た一般人がぐるりと取り囲んでいる。
 涎を垂らした猛禽類のような大勢の市民たち。娯楽に飢えて、私の処刑を今か今かと待っている。
 私に味方なんて一人もいない。
 今ここで泣こうが喚こうが無駄なことなんだ。それならもう、みっともないことはしないで、断頭台に上るのみ。

 髪を短く切られ、手を後ろに縛られた私は覚悟を決めて死への階段を昇る。

 ギロチンは見物客に見えやすいようにやぐらの上に設置されていた。
 私は心を閉ざし、一段一段階段を昇っていく。

 櫓の上に立つと目の前にギロチンがあった。
 窪みにうつ伏せに頭を入れ、上から落ちてくる刃で頭を切り落とす仕様だ。罪人を苦しめることなく処刑することができる人道的な処刑道具とされている。

 私はこれにこれから殺されるのね。

 遠くにアルベールとジュリアが見えた。

 アルベールと一瞬、目が合った。彼は私を見ながらせせら笑った。

 ギロチンに一歩一歩と近づき、首を乗せる際、私は傍らに立つ死刑執行人の足を踏んでしまった。

「ごめんなさいね、わざとじゃないのよ」

 私は彼……多分男性だと思うがフードを被っているので分からない……に軽く頭を下げた。

 私は膝を折り、首を窪みに乗せた。
 下を向いている状態なので、落ちてくる刃は見えない。ありがたいことだ。


「それが最後の言葉でいいんですか?」


 頭の上から声がした。誰?

「このまま終わっていいんですか?」

 責めているような口調ではない。淡々とした、感情のない言葉。

 だから余計に。答えやすかった。


「いいわけないでしょ」


「わかりました」


 刹那、私の体は軽くなったかと思うと、その場から消えていた。
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