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ミランの災難 3
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魔法師団としての仕事が終われば、フェリクスはミランと二人きりのとき「フェリシア」に戻っていた。
フェリクスは立場上、国の王子であるミランの私室においそれと入れないので、ミランの方が毎日魔法師団団長室を訪れ、マネージャーとして魔法師団の仕事の確認をさっさと済ませ、フェリクスの自室で二人きりのひとときを過ごすのが常だった。
「毎日キスしてりゅけど、今日は出来ないからっ」
ミランはすでに膨らんでいる頬をもっと膨らませてそっぽを向いた。可愛い系第三王子じゃなくて、あざとい系に路線変更したようだ。
「ちょ、ちょっとミラン殿下」
突然何を言いだすんだと、フェリクスはあたふたした。そんなこと、誰かに聞かれたらどうする。いい加減、他の団員がもうすぐやってくる時間だ。
その一方で「今日のキスはなしか」と心の中でがっかりしている自分に気がつき、情けなさで泣けてくる。
結局、私はミラン殿下が好きで好きでしょうがないんだ……。
「あーあ、ざんねんだにゃあ、君が、まひょうで、僕の虫歯をなおしれくれたりゃ、ひょうもずっといちゃいちゃできりゅのに」
最早何を言っているのか分からない第三王子は、追い風が自分に吹いていることに気がつき、勝ち誇った顔でフェリクスをちらりと見る。顔が歪んでいてあまり様になっていない。
「わ、私はただミラン殿下のために言ってるんです。いざぎよく、虫歯治療してきてください」
「ふぇりしあは、僕と、いちゃいちゃしたくなひのか」
「い、いちゃいちゃんなんて、私はそんな」
「したくなひ!?」
「し、したい……って、君たち! 遅いぞ! い、今から訓練を始める! 各自準備しろ!」
心を鬼にする決心がぐらついたフェリクスだが、すんでで「魔法師団団長、フェリクス・ブライトナー」を取り戻した。
他の団員数名が、やっと訓練場に現われ、欠伸しながらこっちに向かってきたのだ。公私混同、ダメ、絶対!
「くそう、もうしゅこしだったのひ(もう少しだったのに)」
ミランは悔しそうにうっかり歯ぎしりして「いたたたた!」と頬を抑えた。
「ミラン殿下、今日は貴族学校をお休みして、今から歯の治療に向かって下さい」
自分のペースを取り戻したフェリクスは、元のクールな態度に戻っていた。その顔は、キリリと凛々しい、魔法師団団長。こうなってしまっては、ミランは観念するしかなかった。
「どうしたんスか、団長。今日は気合入ってますね」
「もうウォーミングアップしたんですか? 顔が赤いですよ」
「ま、まさかミラン殿下と秘密の話を? 俺ら邪魔でしたか」
フェリクスとミランのやり取りを知っているはずないのだが、フェリクスとミランの関係を知っている団員は、あからさまににやにやして、からかった。
「な、なににやにやしてるんだ! いくら国が平和だからって、魔法師団として、最近たるんでるよ! 気合い入れて魔法の訓練を怠らないで! いいね!」
フェリクスが活を入れると、団員は「はーい」とやっぱりにやにやしながら、各自ウォーミングアップアップに入っていった。
フェリクスは立場上、国の王子であるミランの私室においそれと入れないので、ミランの方が毎日魔法師団団長室を訪れ、マネージャーとして魔法師団の仕事の確認をさっさと済ませ、フェリクスの自室で二人きりのひとときを過ごすのが常だった。
「毎日キスしてりゅけど、今日は出来ないからっ」
ミランはすでに膨らんでいる頬をもっと膨らませてそっぽを向いた。可愛い系第三王子じゃなくて、あざとい系に路線変更したようだ。
「ちょ、ちょっとミラン殿下」
突然何を言いだすんだと、フェリクスはあたふたした。そんなこと、誰かに聞かれたらどうする。いい加減、他の団員がもうすぐやってくる時間だ。
その一方で「今日のキスはなしか」と心の中でがっかりしている自分に気がつき、情けなさで泣けてくる。
結局、私はミラン殿下が好きで好きでしょうがないんだ……。
「あーあ、ざんねんだにゃあ、君が、まひょうで、僕の虫歯をなおしれくれたりゃ、ひょうもずっといちゃいちゃできりゅのに」
最早何を言っているのか分からない第三王子は、追い風が自分に吹いていることに気がつき、勝ち誇った顔でフェリクスをちらりと見る。顔が歪んでいてあまり様になっていない。
「わ、私はただミラン殿下のために言ってるんです。いざぎよく、虫歯治療してきてください」
「ふぇりしあは、僕と、いちゃいちゃしたくなひのか」
「い、いちゃいちゃんなんて、私はそんな」
「したくなひ!?」
「し、したい……って、君たち! 遅いぞ! い、今から訓練を始める! 各自準備しろ!」
心を鬼にする決心がぐらついたフェリクスだが、すんでで「魔法師団団長、フェリクス・ブライトナー」を取り戻した。
他の団員数名が、やっと訓練場に現われ、欠伸しながらこっちに向かってきたのだ。公私混同、ダメ、絶対!
「くそう、もうしゅこしだったのひ(もう少しだったのに)」
ミランは悔しそうにうっかり歯ぎしりして「いたたたた!」と頬を抑えた。
「ミラン殿下、今日は貴族学校をお休みして、今から歯の治療に向かって下さい」
自分のペースを取り戻したフェリクスは、元のクールな態度に戻っていた。その顔は、キリリと凛々しい、魔法師団団長。こうなってしまっては、ミランは観念するしかなかった。
「どうしたんスか、団長。今日は気合入ってますね」
「もうウォーミングアップしたんですか? 顔が赤いですよ」
「ま、まさかミラン殿下と秘密の話を? 俺ら邪魔でしたか」
フェリクスとミランのやり取りを知っているはずないのだが、フェリクスとミランの関係を知っている団員は、あからさまににやにやして、からかった。
「な、なににやにやしてるんだ! いくら国が平和だからって、魔法師団として、最近たるんでるよ! 気合い入れて魔法の訓練を怠らないで! いいね!」
フェリクスが活を入れると、団員は「はーい」とやっぱりにやにやしながら、各自ウォーミングアップアップに入っていった。
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