男装魔法師団団長は第三王子に脅され「惚れ薬」を作らされる 両思い編

コーヒーブレイク

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団長就任式の思い出 3 (完)

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 ミランが意地の悪い言い方をするので、フェリシアは反撃した。
 それでもミランは怯まない。

「それは結果だ。僕が登場したとき、君は僕をヒーローだと思ったはずだ」

「ずいぶん自信があるんですね」

「危険を顧みず、魔物に臆することなく剣を振りかざし飛び込む王子……。絵になるじゃないか」

 ミランは在りし日の自分に酔い、饒舌だ。やっぱり、酔っぱらっているな、とフェリシアは思った。

 魔法スクリーンは、魔物から逃れ、抱き合う形で、地面に落下するフェリクスとミランを映し出していた。完璧なアングルだ。どこから撮っていたんだろう。
 そのあと、フェリクスがなけなしの魔力をかき集めて、攻撃魔法を魔物に放ち、倒れる。それをミランが受け止める姿が映し出されていた。ここからは、フェリシアの記憶にない部分だ。

「あれ? ミラン殿下、私の顔何度も叩いてますね」

 ミランは気を失ったフェリクスに対し、何かを叫びながら顔を雑にぺしぺし叩いていた。

「いや、君が気絶したから、しっかりしろ、という意味で活を入れたんだ。君は起きなかったけど。仕方ないだろう? あのときはまだ君を男だと思っていたんだから。多少、扱いが雑になるのはしょうがない」

「まあそれはそうですね」

 フェリシアは微笑した。ほんの一年ちょっと前の出来事……。本当、色々あったなあ。

 そんなふうに思っていると、突然視界がぐるんとまわった。気がつくと、フェリシアはミランにベッドに押し倒されていた。すぐに唇を塞がれる。酒の味がした。

「もう、雑になんか、扱わないけどね」

 射貫くようなミランの視線にフェリシアはドキリとした。いつもは可愛い系第三王子のくせに。
 可愛い顔を封印したミランが再びフェリシアにキスをしようと、フェリシアに覆いかぶさった姿勢て、顔を近づけた。
 だが、ミランの顔はフェリシアの顔を逸れ、フェリシアの胸の中に沈んだ。

「ミラン殿下……?」

「うう……気持ち悪い……」

「殿下、お酒飲みすぎですよ。あんまり飲めないのに」

「ごめん」

「いいですよ。飲ませてしまった私も悪かったから」

 フェリシアはミランの背を撫でながらゆっくり起き上がると、ベッドにミランを寝かせたまま、水を用意した。

「今日は私の部屋に泊って行って。そんなふらふらじゃ、自分の部屋に戻れないでしょう」

「でも君のベッドを取っちゃうよ」

「一緒に寝るから大丈夫」

 フェリシアは魔法スクリーンを消し、団長室の酒やお菓子を手早く片付けると、ミランの隣にそっと横になった。
 ミランは寝息を立てて、すでに眠っていた。

「おやすみなさい、ミラン殿下」

 フェリシアはミランにそっとキスをすると、自らも目を閉じた。

 就任式の、夢を見た。
 魔物に捕らえられ、絶体絶命のフェリクス。
 さっそうとあらわれるミラン。

 嬉しかったよ。たとえ、そのときは私のことを男だと思っていたとしても。私のために、魔物に立ち向かってくれて。
 私のヒーローだったよ。ミラン殿下。
 あのとき、とっくに私は貴方のことを好きになってた。

 フェリシアは、愛しい恋人を優しく抱きしめながら、眠りについた。



 団長就任式の思い出    終わり。
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