男装魔法師団団長は第三王子に脅され「惚れ薬」を作らされる 両思い編

コーヒーブレイク

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魔物たちの会話 2

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 ポン助の言葉に、パタパタは憤慨した。

「殺すつもりなんてなかったんだ。急に成長期が来てパニックになって、魔物の本能が出ちまったんだ」

 一年前。
 フェリクスの団長就任式が行われたとき、パタパタはまだ幼体……子供の姿だった。その姿はまるで大きなトカゲのようで、長い尻尾を持っている。
 重要な式である就任式のパフォーマンスに抜擢されたことを知ったパタパタは、その長い尻尾をパタパタさせて喜んだものだ。彼の「パタパタ」という名前はここから訓練係が名付けた。
 そう、当初はパタパタがいずれ変態することを、訓練係は知らなかったのだ。
 パタパタ自身も知らなかった。魔物管理舎の中には、他に自分と同じ種の魔物はいなかった。
 ただ、就任式当日、なんだか体がおかしい……とはパタパタ自身、感じていた。

「体の調子がおかしいと俺は分かっていたが、せっかくのパフォーマンス出演のチャンスを、俺は逃したくなかった。リハも問題なかったし、大丈夫だ、やれる、と俺は思った」

 気づけばパタパタはポン助とグルグル姉に向かって一年前のことを長々と語っていた。

「まさかこの姿が俺の本当の姿だったとは! パニックになった俺はわけが分からなくなり、暴れ、フェリクスを糸でぐるぐる巻きにしちまった。挙句魔力まで吸い取っちまって」

「だからさ、キミはフェリシアを殺しかけたんでしょ」

 ポン助は話が長いよとばかりに、欠伸しながら言った。グルグル姉は「またその話か……」と呆れてとぐろをまいてしまった。

「ちゃんと最後まで聞け、新入り! リステアードに鎖でぐるぐる巻かれ、フェリクスに攻撃魔法をくらって気絶した俺は、そのあと謹慎となって、最近までパフォーマンスに出られなかった。俺はその間に訓練を重ね、反省し、フェリクスにだってちゃんと謝ったんだ。フェリクスは笑って許してくれた」

「フェリシアは僕ら魔物にも優しいからね」

 どこか得意げなポン助の物言いに、パタパタはカチンときたようで、一気に畳みかける。

「久々にパフォーマンス復帰してみれば、お前だ。隣の国からやってきたらしいが、魔物のくせになんで魔法師団側についてんだよ! 俺たち魔物は魔法師団の適役だろう? それなのにお前と来たら、フェリクスの肩に乗って、挙句魔法師団のマスコットとか言って女性陣に可愛がられ……」

「僕には得意な変身魔法があるから、みんなに重宝がられてるのさ」

 そう言って、ポン助はポンっとフェリクス・ブライトナーに変身した。

「本当にそっくりね。はじめはあんまりうまくなかったけど……最近はミラン殿下にも完璧に変身できるのよね」

 とぐろから顔を出したグルグル姉が感心の声を上げる。
 フェリクスの完璧な変身を目の当たりにしたパタパタは面白くなさそうに床へ糸をペッと吐き、グルグル姉に「汚い」と叱られた。

「と、とにかく、どんなに魔法が上手かろうが、新入りは新入りだ。新入りの試験ってものを受けてもらうぜ」

 床を羽で拭きながらパタパタは言う。

「試験?」

 ポン助はフェリクスの顔で首を傾げる。

「まったく、パタパタさんだってまだ若いのに、先輩ぶっちゃって。貴方がこの魔物管理舎に入って来たとき、試験なんてなかったじゃない」

 グルグル姉は呆れた……とでもいうようにパタパタを見やり、ポン助にこう言った。

「相手にしちゃだめよ、ポン助ちゃん」

「大丈夫だよ、グルグルさん。で? パタパタ先輩、試験の内容は?」

 先輩、と呼ばれたパタパタは気をよくしたようで「そうだな……難しいのは可哀想だから簡単なのにしてやろう」と言った。単純な性格のようだ。

「よし、王宮の調理場から、なにかうまそうなものを取って来るんだ。人間に化ければ簡単だろう」

 パタパタがそう言うと、呆れていたグルグル姉も小さな目を輝かせた。

「あら、いいわね。たまには人間の食べ物も食べたいわ」

 グルグル姉は食べるのが好きらしい。
 その言葉を聞いたポン助はフェリクスの顔で、にやりと笑った。

「分かった、いいよ。調理場から適当においしそうなものを持ってくるよ」
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