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音を出す団員 (後編)
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「☆§××▲★※□△×※▼☆⚡⚡⚡!!!」
「だ、団長やめろ、頭が割れる!」
「えっ」
フェリクスはきょとんとした。気がつけば団員が耳を押さえ、呻き苦しんでいた。
「魔法で音出すのやめろ! ひ、ひどい音だ。全然音楽じゃない……やばい、地割れだ」
魔法師団訓練場の地面にひびが入って、広がっていく。フェリクスは慌てて音楽を止めた。
音魔法の団員は、苦しそうに荒い息をついて今にも倒れそうだった。
「だ、大丈夫? 急にどうしたの? 私が魔法で出した音のせい?」
フェリクスは慌てて彼を支える。
団員は「大丈夫、大丈夫」と青い顔でフェリクスを離すと「団長は音魔法禁止だな」ときっぱりと言い放った。
「私の音魔法、そんなにひどかった? 自分でも貴方の音楽とずいぶん違ってるな、と思ったんだけど」
割れた地面を見つめながらフェリクスは悟った。私は魔法を使っても音楽が苦手なのだ。
「おはようございます、団長、先輩。何なんですか、さっきの騒音は? 王宮の方でも魔物が暴れだしたのか、って、大騒ぎになってますよ」
「俺なんて気持ち悪くて吐きそうだ。あんな調子外れの音、初めて聞いた」
「思い出しただけでも気を失いそうだ」
悟ったフェリクスのもとに、他の団員たちがぞろぞろと集まりだした。
フェリクスが出した音魔法だと知らない彼らは、言いたいことを言う。フェリクスは内心ちょっと傷ついたが、そんな表情は一切せずに、キリっとした団長の顔で、
「さあ、朝の訓練をはじめよう。地面がちょっと割れているが、修復魔法をかければ、問題ない」
と、団員たちに指示をだした。
音魔法の団員は気を利かせて陽気な、テンションが上がる音楽を奏でた。
「ああ、さっきまで吐きそうだったのにすっきりした」
「さすが、音魔法先輩ですね」
フェリクスも、どこか気持ちがうきうきしてくるような気がした。
すごいんだな、音楽って。人の気持ちを一瞬で明るくしてしまう。
音魔法の才能が全くない、ということが分かったフェリクスは、尊敬の目で、音魔法の団員を見つめるのだった。
♦♦♦
その日の夕方、団長室にお茶をしに来たミランに、フェリシアは今日の朝の出来事を話した。
ミランは今朝貴族学校に早く行かなければならなかったので、朝の訓練に参加しなかったのだ。
「ちょっとやってみてよ、君の音魔法」
「だめです。ミラン殿下のお体にさわります。なにしろ、地面が割れるくらいですから」
「地面が、割れる音」
ミランはそう言って紅茶を吹き出しそうになったが、慌ててこらえた。「魔力が高くても、魔法に得手不得手はあるんだね。君が得意なのは治癒魔法だったね」
「ええ。こればかりは、個人の資質によるものだと思います。訓練で上達する場合もありますが」
そこでフェリシアは音魔法団員の言っていた言葉を思い出した。
「ミラン殿下、今若い人の間でとても流行っている曲があるらしいですね。貴族学校でも流行っていますか」
「どんな曲?」
「ジャッジャーン、という風な曲です。とてもうるさ……元気のいい曲です」
フェリシアは頑張って、曲を口ずさんでみた。
「??????」
ミランは目を閉じたり開けたりする人形のように目をぱちぱちさせた。「それ曲?」とでも言いたげに。いくら曲を再現して口ずさもうとも、音痴なフェリシアのメロディーは、ミランに伝わることはない。
後日音団員を問い詰めると、その曲は今流行っている曲などではなく、自作の曲だということが彼の口から明かされた。
彼の言葉を信じていたら、婦人たちのお茶会でとんちんかんなことを言ってしまっていたかもしれない。若者の流行りに疎いフェリクスをからかったのだろう。
「本当に信じたのか? あんな曲が流行るわけないだろ」
悪びれる様子もない彼に怒るのも馬鹿らしく、フェリクスは表情は平静を保ったまま、心の中でため息をつくのだった。
(魔法師団って、めんどくさい……いや、癖のある人ばっかり……)
音を出す団員 おわり。
「だ、団長やめろ、頭が割れる!」
「えっ」
フェリクスはきょとんとした。気がつけば団員が耳を押さえ、呻き苦しんでいた。
「魔法で音出すのやめろ! ひ、ひどい音だ。全然音楽じゃない……やばい、地割れだ」
魔法師団訓練場の地面にひびが入って、広がっていく。フェリクスは慌てて音楽を止めた。
音魔法の団員は、苦しそうに荒い息をついて今にも倒れそうだった。
「だ、大丈夫? 急にどうしたの? 私が魔法で出した音のせい?」
フェリクスは慌てて彼を支える。
団員は「大丈夫、大丈夫」と青い顔でフェリクスを離すと「団長は音魔法禁止だな」ときっぱりと言い放った。
「私の音魔法、そんなにひどかった? 自分でも貴方の音楽とずいぶん違ってるな、と思ったんだけど」
割れた地面を見つめながらフェリクスは悟った。私は魔法を使っても音楽が苦手なのだ。
「おはようございます、団長、先輩。何なんですか、さっきの騒音は? 王宮の方でも魔物が暴れだしたのか、って、大騒ぎになってますよ」
「俺なんて気持ち悪くて吐きそうだ。あんな調子外れの音、初めて聞いた」
「思い出しただけでも気を失いそうだ」
悟ったフェリクスのもとに、他の団員たちがぞろぞろと集まりだした。
フェリクスが出した音魔法だと知らない彼らは、言いたいことを言う。フェリクスは内心ちょっと傷ついたが、そんな表情は一切せずに、キリっとした団長の顔で、
「さあ、朝の訓練をはじめよう。地面がちょっと割れているが、修復魔法をかければ、問題ない」
と、団員たちに指示をだした。
音魔法の団員は気を利かせて陽気な、テンションが上がる音楽を奏でた。
「ああ、さっきまで吐きそうだったのにすっきりした」
「さすが、音魔法先輩ですね」
フェリクスも、どこか気持ちがうきうきしてくるような気がした。
すごいんだな、音楽って。人の気持ちを一瞬で明るくしてしまう。
音魔法の才能が全くない、ということが分かったフェリクスは、尊敬の目で、音魔法の団員を見つめるのだった。
♦♦♦
その日の夕方、団長室にお茶をしに来たミランに、フェリシアは今日の朝の出来事を話した。
ミランは今朝貴族学校に早く行かなければならなかったので、朝の訓練に参加しなかったのだ。
「ちょっとやってみてよ、君の音魔法」
「だめです。ミラン殿下のお体にさわります。なにしろ、地面が割れるくらいですから」
「地面が、割れる音」
ミランはそう言って紅茶を吹き出しそうになったが、慌ててこらえた。「魔力が高くても、魔法に得手不得手はあるんだね。君が得意なのは治癒魔法だったね」
「ええ。こればかりは、個人の資質によるものだと思います。訓練で上達する場合もありますが」
そこでフェリシアは音魔法団員の言っていた言葉を思い出した。
「ミラン殿下、今若い人の間でとても流行っている曲があるらしいですね。貴族学校でも流行っていますか」
「どんな曲?」
「ジャッジャーン、という風な曲です。とてもうるさ……元気のいい曲です」
フェリシアは頑張って、曲を口ずさんでみた。
「??????」
ミランは目を閉じたり開けたりする人形のように目をぱちぱちさせた。「それ曲?」とでも言いたげに。いくら曲を再現して口ずさもうとも、音痴なフェリシアのメロディーは、ミランに伝わることはない。
後日音団員を問い詰めると、その曲は今流行っている曲などではなく、自作の曲だということが彼の口から明かされた。
彼の言葉を信じていたら、婦人たちのお茶会でとんちんかんなことを言ってしまっていたかもしれない。若者の流行りに疎いフェリクスをからかったのだろう。
「本当に信じたのか? あんな曲が流行るわけないだろ」
悪びれる様子もない彼に怒るのも馬鹿らしく、フェリクスは表情は平静を保ったまま、心の中でため息をつくのだった。
(魔法師団って、めんどくさい……いや、癖のある人ばっかり……)
音を出す団員 おわり。
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