男装魔法師団団長は第三王子に脅され「惚れ薬」を作らされる

コーヒーブレイク

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猛特訓 3

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 なんだろう、この流れ。どこかで同じようなことを言われたような……。

「あ、諦めるっていうか、やっぱり私では盛り下げてしまうので、代わりに他の団員にとどめの技を……」

 フェリクスは必死に弁解した。だがリステアードは鼻で笑った。

「諦めるんだろ? 出来ないからって。もしかして、女性だからって出来なくても大目に見てもらえるとか思ってない? ちゃん?」

 そう言いながらにやつくリステアードに、フェリクスはかっとなった。

「そ、それは関係ありません! そんなこと、思ってません!」

「どーだかなあ~。いつぞやも、俺に対して嘘泣きしようとしてたしなあ~。今回も泣き落としでなんとかしようとしてるんじゃない?」

「あ、あのときは確かに嘘泣きで何とかしようとしましたけど……こ、今回は違います。私よりとどめの必殺技に適している団員がいるので、合理的に考えてそっちの方がいいと思って」

「うんうん、分かった分かった。フェリシアちゃんは男装してても貴族の女の子なんだから、無理だったよね。ごめん、俺も配慮が足りなかったよ」

「お、女の子? そこまで言うならやってやりますよ、やればいいんでしょ、やれば……って、あ」

 フェリクスはしまったと思った。私ってば、また……。

「よし、決意が固まったところで、練習再開だ! 俺がもう一度手本を見せるから、よく見てるんだよ、フェリクス君!」

「え? ちょっと待っ……」 

「みんな、団長の俺に魔法の力を集めてくれ! とどめだ! フェリクストライク・ジ・エンド・ミラクルキューティー・ラ……うわあっ」

 さっきと違うじゃないかと思ったのもつかの間、張り切りすぎたリステアードは足を滑らせ、真後ろにすってんと転んだ。
 ゴン、という嫌な感じの音が練習場に響き渡る。
 そのままリステアードは仰向けに倒れて、動かなくなった。

「リステアード殿下!」

 フェリクスは急いでリステアードに駆け寄った。
 頭を打ったんだ……すごい音がしたけど、大丈夫なの?
 リステアードは目を覚まさない。フェリクスは倒れるリステアードにかがみこんで、考えた。

 どうしよう。死んじゃった? 頭を打ったってことは、動かさないほうがいいよね。それよりも、勝手に転んだんだから、私のせいじゃないよね、私に責任はないよね? けど、このままじゃ私のせいにされてしまうかも。どうやって誤魔化そう……。

 と、そのときリステアードが目を覚まし、がばっと起き上がった。

 ゴッ!!

 二人は額を思いっきりぶつけ合った。
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