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第2章 動きだした凶悪な者達

第43話[災害]の二つ名と、称号を襲名する者達。

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 リーンゴ国王の朝がきた!

「国王陛下!大変です!」
 リーンゴ国王は、側近の発狂したような叫び声で目を覚ますことになった。

リーンゴ国王
「なんだ! うるさいぞ! 死刑だ!」

 側近Aは、その場ですぐ処刑された。
 側近Bは、すぐにその場を逃げ出した!
 側近Cも、少し遅れて逃げ出したが他の側近たちから自分の順番になることを、阻止するために退路を絶たれて、リーンゴ国王が、振り上げた剣の鞘に頭を打たれて昏倒した。
 側近Dは、逃げ切れずに抜き身の剣を国王にクビに当てられて、報告することになってしまった。

側近D
「陛下!大変です!」

リーンゴ国王
「本当に、大変なのだろうな!」

側近D
「王太子様が、いません!
 国軍戦士団の9割が、辞表を置いて消えました!
 食料と備蓄兵站へいたんや武器なども、99%ありません!
 退職金がわりに、全て持っていかれました!
 そして、国境の砦が何者かに占領されました!」

リーンゴ国王
「ハァ?
 アホか!
 王太子がいないなら探せ!それだけだ!
 国軍が消えた?
 そんなわけあるか?
 宰相に管理を任せていたはずだ!
 宰相に確認させて、逃亡犯は処刑にしろ!
 わかったな! オレは寝る!」

側近E
「た!大変ですよ!
 側近の皆さん!
 先程、王太子の辞表が陛下の豪華大風呂プールの側にあった事が確認されました!
 陛下との、昨晩の会談の時に置いていったものが辞表でした!
 陛下は、無言で退室を許可されたので、その!つまり!陛下は、王太子の辞意を許可したとみなされます。」

「なんて事だ!」
「陛下の許可がでていたのか!」

リーンゴ国王
「そんなわけがあるか!」

 飛び起きた国王!
 しかし、辞表だった。

リーンゴ国王
「クソ!おい!次男を呼べ!」

側近E
「第2王子は、国王の慈悲にて旅に出られました。
(第2王子は国王命令で処刑されました。)」

リーンゴ国王
「旅?どこに行った?クソ!四男をよべ!」

側近F
「第4王子は、陛下の代理で出張に出かけました。
(第4王子は、陛下にかけられた呪いの身代わりを強制的にさせられて、亡くなられました。)」

リーンゴ国王
「クソ!旅行ばっかり行きやがって!
 五男がいたな!呼んで来い!」

側近E
「昨夜、陛下にお暇を許可されました。
(国王が替りが沢山いると、言ったから辞表を置いて行ったのでしょう。)」

リーンゴ国王
「あ~?!なんだって? あいつ、5男だったか!
 フン!後で追手を出して殺してこい!
 他の奴を連れてこい!
 王太子選考をするぞ!」



30分後…

オギャー!
オギャー!
オギャー!

第35后
「陛下、この子を王太子にしていただき、ありがとうございます!」

リーンゴ国王
「ハァ? なぜ赤子なのだ?
 おい!20人位いたよな? どこに行った?」

側近C
「陛下の矢の訓練の的に5、食あたりが15です。
(国王が直接殺したのが5人で、暗殺されたのが15人です。)」

リーンゴ国王
「え?」

 流石にヤバいと気が付き出したリーンゴ国王。
 そこに、全く無関係だと思っていた事がやってきた。

側近E
「陛下! ガス国王陛下が城下町までやってきており、魔王討伐軍務面会の手続きをされました。
 ワールドルールにより、勇者達の行動の補助の義務により拒否はできません!」

リーンゴ国王
「兵は、出したくない! 追い返せ!」

ウギャーーーーーーー!

 発言の後いきなり感電したリーンゴ国王。
 ワールドルールに違反するとこうなる。
 まだ、軽症の方だ!

 アフロヘアーになってムカついた状態で、ガス国王に面会したリーンゴ国王はその時気がついた。

 あれ?
 うちの国…。
 モンスターどころか魔王に攻め込まれてない? 
 やっと、元王太子が風呂プールで言っていた事を思い出す国王。

 ヤバい!
 攻め込まれている!
 勇者は戦力としてあてに出来ないと、悪評高いよな。

 そして、ガス国王との会話で王太子が軍を連れて、国外に行ってしまったことに気がついた国王。
 側近の方を見ると、首を縦に降っている。
 残りの戦力を、報告させると10師団残っていたが、そいつらは殺人鬼や快楽殺人犯などで作った暗殺部隊であった。
 つまり、正規の戦士はいない。
 こいつらに、城の守備なんてとても無理だ!
 すぐに側近に元息子と、戦士師団達を呼び戻すように命令して、城の大門を閉めさせる!
 そのことによって、リーンゴ王国の王都民は事の顛末を知ることになる。

 
 6時間後、ハト便が来た!
 側近C・D・Eからだった。
 戻ることを王太子や戦士団から拒否されたという。

 そして元王太子からの報告で、女性なのに他の母親違いの兄弟達が全て行方不明なので、面倒くさいから今日から男になれ!なんて王命で王太子にされてしまったが、これからは女性として生きていくから邪魔するな、と言われたと書いてあった。

 外交のときに、極秘お茶会で知り合った伝手で、ブラー王国貴族になった留学中の同級生に再開して、その女性の紹介で軍隊ごとベイントス公国に受け入れてもらったと書いてあり、側近達もこの機会に亡命するとも書いてあった!

 オイ!
 なんてことだよ!

 リーンゴ国王は、滝のような汗を流していたが、気がついた!
 王都の城壁の上が黒い!
 なんだ?あれは?
 雲のように動いている?

 そして、それがガス国王が言っていたモンスターの、ブラックバッタ達だと気がついた時には、轟音と共に砕ける木造の王都大門とバッタ人間達が、なだれ込んで来ていた。
 国王が暗殺部隊にバッタ人間を殺すように指令して、玉座の裏の脱出路に向かったところ、脱出路の向こうからバッタ人間がやってきたところで脱出不可能だと悟り、スキル(特速逃走)を発動させて地下に逃げた。

リーンゴ国王
「ハァハァハァハァハァ
 クソ!こうなったら奥の手を使ってやる!
 さぁ!古代勇者召喚陣よ!
 我が声に答えて下僕なる勇者達をここに召喚しろ!」

 シーン!
 なにも起こらなかった。

 ドカーン!
 バッタ人間が、隠し扉の本棚を破壊する音が聞こえた!

リーンゴ国王
「何でもするから!出てきてくれーーーーーー!」

 メンタルは、弱々だったらしい。
《ほう?何でもするのだな?》
 いきなり虚空から声が聞こえる!

リーンゴ国王
「あぁそうだ!
 何でもする!
 王を維持してくれるなら何でもする!」

《いいだろう!》

 その途端、魔法陣は青く光り、空間が避けて邪神が躍り出てきた。

邪神ラット・リーヴ
「お前の望みをかなえよう!
 今日から、魔王をやるのだ!
 行け!下僕のブラウンラット!
 バッタなぞに負けるな!

 そして、息を吹きかけられてリーンゴ国王は、魔王リーンゴ・ラットとなってしまった。

魔王リーンゴ・ラット
「ああ!なんて清々しい!」

 そして、王城は一気にラットだらけになり、リーンゴ国王は陥落した。



 その頃、リーンゴ国王から離脱する5つの馬車があった。
 そのうち3つが、ガス国王達の馬車であった。

勇者ゴン太
「クッソー! まだ6時間すら寝てないぞ! どうしてくれる!」

ガス先王
「どうした事だ! どうすればいいのだ! なぜ、思い通りにならない!」

宰相
「クソ! 部下天使が力を貸さないから簡単に陥落しただろうが!」

ブレーダー王女
「どうするのよ!」

 その後、商人達の馬車が途中から外れてガス公国に向かっていったが、ガス国王達にはひつこくバッタが追跡してきたのでそちらの方面に
逃げる事が出来なかった。



 新生ガス王国

ラッド国王
「なに? リーンゴ国王の商人が、リーンゴ王国が陥落したと報告してきた?」
 真夜中である!
 しかし、緊急事態でもあった。
 冒険者ギルドにすぐに報告される。
 陥落原因が、ガス国王達がリーンゴ王国に逃げ込んだ事が発端となったと報告されて、ついに、ガス国王達の勇者軍の全員に[災害]の二つ名が、冒険者ギルドによってつけられる事となった。

 これは、その時に戦わずにリーンゴ王国から逃亡したことに対しての、罰を与える姿勢を取るとの冒険者ギルドの
決定の現れであった。


 その頃、旧ガス貴族の某子爵の廃城に逃げ込んだガス国王達は、なんとか大門を閉めて座り込んでいた。

勇者ゴン太
「ハァハァハァハァ、流石に眠れないのは身体にキツイぜ」

 睡眠不足耐久の限界がやって来ていた。

 デーン!
 頭に響くような音が頭に直接入ってきた。
[あなた達に、[災害]の称号が付与されました!]
 
 ゴン太達が、ブチギレでカス国王達に詰め寄った!
 睡眠不足が、ムカつきにさらに拍車をかける!

勇者ゴン太
「[災害]だと! テメー! 舐めているのか! ふざけんなよ! 今すぐ消せ!」

 しかし、ブレーダー王女が無言で、自分のステータスウインドウを見せてきた。

 そこには、[災害]の称号が!
 そして国王や宰相にもついていた。
 従者にも、もれなく付いていたのである。

 あ然とする勇者達。瀕死の部下天使達は、沈黙を続ける。
 先王にも[災害]がついていたのだが、疲れていたのか眠っていた。
 それを見て勇者達も疲れていたので、眠る事になった。

[災害]!

 単なる、ステータスシステムの悪口なのか?
 または、冒険者ギルドの決定に沿って作っただけなのか?
 それとも、災害級の魔法攻撃を、使えるようになる称号なのか??

 その称号が何を引き起こすのかはまだ、誰も知らない。


□□

 元リーンゴ王城では!

邪神ラット
「よし、今日からここはラット城とする!  
 さぁ、ラット人間を沢山作るぞ!」

 逃げ遅れた王都民は全てラット人間という、二足歩行のネズミ科の怪人に改造されてしまった。
 そのことは、業務停止中の誰もいない冒険者ギルド王都支部の、無人魔導観測機カメラで映し出されて、各国に情報共有されたという。
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