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第3章 爆闘!魔王の墳墓と呼ばれたダンジョン

第41話 カザト…また…やらかす…。

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 ゴーーーーーーー!

 水蒸気が、噴出するお掃除エリア。

カザトは、ようやくこの瘴気汚染された空間が、何かの制御室だと改めて確認出来るほど、真っ黒な状態から浄化が進んでいた。

 しかし、まだまだヘドロはたまっている。

 際限なく使い続ける海水の量なんて、もうカザトは無視しているのだが…

□□□□□□□□□□□□□
精霊の館(城)エリアの近海

 ゴーーーーーーー!

こちらも、恐ろしい音を立てて大きな渦が発生していた。

カザトが、無限回牢ダンジョンを踏破したことにより、実はフェイク世界のレベル評価基準の、カンスト9999を遥かに超えたことにより、莫大な魔力を持った自覚が、まったく!無いので、カザトの魔力により海の聖水領域が少しずつ広がるっているのと同時に、大量の海水を飲み込んで、浄化に使われているために…

ついに…

ついに…

起こってしまったのだ…

そう!
海水位低下である。

それは、唯一フェイク世界の国で海軍を維持していたポベー帝国の海兵が、確認した。

ポベー帝国3等海兵
「上官!報告します!
海水位が下って来ております。
後、2センチ下がりますと、戦艦を移動させないと座礁する可能性があります!」


すぐに提督から、皇帝に許可申請が出された。

皇帝
「あ…!
そうか!?
提督よ!昔の海水位の記録はあるか?」

提督
「ハイ。海面上昇する前の記録だと後3メートル位下が、昔の標準海水位です。

まさか!戻って来ている?」

皇帝
「このことは、しばらく伏せよ!
恐らく、カザト殿がダンジョンを攻略している影響だろう。

港を整備する。
そして、あーーーーーーー!
ま!まさか!
神殿!

あの孤島の!
行方不明になるという神殿!
まさか!」

提督
「陛下!昔、海面上昇のせいで謎の神殿の島の消失がありましたな。

陛下!どうします?
父親を、叩き起こして連れて来ましょうか?」

皇帝
「うむ!悪いが、前提督にもうひと頑張り頼もう!
港を、整備せよ!
そうだ!塩!
塩の贈り物がドワーフ王国から来たから、あの半分を売って予算にしよう!」

子供の頃、海面上昇で沈んだ、入った人間がよく行方不明になったり、伝説ではある日突然、別の世界からの人間が2~3日だけだが、出現する不思議な神殿のあった島を思い出した。

まさか?
本当の勇者召喚の神殿か?

皇帝は、
帰還を約束すると、魔王達を倒したあとすぐにカザトに逃げられると、心配するガス王国貴族の考え方と違い、カザトに帰ることができると保証することで、逆に協力を求める事ができると思っていた。

カザトの心の力強さを、確信している皇帝である。

それに、塩不足に陥っていたときに、お詫びとしての大量の塩が、かなり嬉しかったのもある。

大臣たちからも、反対意見は無かった。

カザトが、雲は水が蒸発して水蒸気の塊だと言って事を思い出していた。

つまり!!
海面上昇した分が、雨として循環していた水の分量という事になる。

そして、なぜ雨をフェイクが降らさなかったかが、わかる報告が来た。

皇太子
「父上!あの~。変な報告があって至急確認に行って来たのですが、よろしいですか?」

宰相
「皇太子陛下!政務が溜まってますぞ!
まったく!(プンプン!)」

皇帝
「どういう報告だ?」

皇太子
「その、雨が降り出した時にゴブリンと戦っていた冒険者の報告なのですが、逃げ出したというのです。 

聖水の雨のせいなのかと、考えていたのですが、桶に井戸水を汲んでゴブリンにぶっかけると逃げ出しました。

濡れたゴブリンは斬りにくかったのですが、戦意が明らかに落ちていました。

恐らく、ゴブリンの苦手なものは水だと思われます。」

皇帝
「う~む。
なるほど!
今な、その事につながるかもしれない、報告を受けていたのだ!

恐らくだが…、管理者神フェイクの部下天使はゴブリンの増殖のために、雨を降らさないようにした疑惑がある。

カザト殿が言っていた推測の、補強になるな。

よし!
冒険者ギルド再興の問題もあるから、皇太子よ!第2皇子を連れて新生ガス王国に行ってこい!

このナタリー殿が届けてきた、カザト殿からの密書だと、エルフの最長老すらどうも怪しいらしい。各国の皇太子達が後ろ盾になって、別の冒険者ギルドのバックアップを作るのだ。」



こうして、冒険者ギルド再興計画が静かに進行する。

エルフ達の思惑を外れて、進行していく。


□□□□□□□□□□


ここは、精霊の館(城)

バチッ!

入ろうとして、結界に阻まれて吹き飛ばされたエルフの最長老フィーリアと、元最強エルフ王女レイダーは、尻もちをついて大精霊達に抗議していた。

エルフ最長老フィーリア
「大精霊様!私は大精霊様達につかえる巫女長です!なぜ?精霊の館に入れないのですか!」

しかし、大精霊達は答えない。

正確に言うと、大精霊達の結界の前に、カザトの泥棒よけの結界があって、それがフィーリア達を泥棒と判断して作動したのだが…

その側の復活した湖の側に何故か、地面に阻まれて根を下ろせない世界樹の側で、世界樹の大精霊と他の大精霊達が、争っていた。

世界樹の大精霊
「なぁ?
もう、前勇者達の事は済んだのだ!
それを、今更どうしろと言うのだ!」


光焔の大精霊 プロミネンス
「これ以上、主様を侮辱すると燃やすぞ!」

水の大精霊 アクア
「約束を実行すらしていないのに、済んだ?
ボケてしまったの?世界樹の(仮)大精霊?」

闇の大精霊 ダーク
「貴様は、エルフの種族保存だとか言って、やりすぎたのだよ!

もう、清算しよう!
やれることから、やるしかない。」

光の大精霊 ライト
「頭すら下げないエルフの最長老様か?
えらくなったよね?
だけど、約束を実行しない奴をもはや長老として、巫女長として扱うのはいかがなものかな?」

空間の大精霊 フレーム
「おい!主様が、コスモ様の要請で掃除をしている今の期間しか実行する時は無いぞ?
言っておくが、前勇者達が死んだから無理とか、済んだ事とかの言い訳は通じないぞ!」

土の大精霊・ランド
「主様は、とんでもなく力をつけられました。
もう、言い訳なんて通じませんよ?
世界樹の(仮)大精霊よ!
そろそろ、実行する時よ?
フェイクは、あれ以来あの黒魔導師が出てきてから動いていない。 
早く実行しろ!」

風の大精霊 ウェンディ
「エルシーと、エルファーの怒りは凄い。
もうすぐ、ハイエルフを完全卒業する彼女達が、作業をしている間に、最長老達にも処分を下して世界樹の(仮)大精霊として、しっかりと運営している事も、示せよ!」

火の大精霊 フレイム
「お前、我らの主様であるカザト様を舐めすぎだよな?

そうか、お前の主である管理者神?フェイクの指示で、前勇者達との約束すら反故にするなら、覚悟しろ!」

世界樹の(仮)大精霊
「なんだよ!(仮)って!
俺は、正式な世界樹の大精霊だぞ!

それに…俺は独立化した存在だ!
舐めるなよ!
冒険者ギルド機能も、オレがいてこそ機能するのだ!

前勇者達を裏切ったというが、仕方ないのだ!
エルフ達の存続や、他民族の存続のために必要だったのだから!

カザトって言うやつが怒っているからと言って過去から覆す事は、時間すら改変することになるのだぞ!

神の領域だ!

エルフの最長老達に処分をくだせ?
謝らすしかないだろが!
他に、どうしろと?
え?
選択の間違いを認めて、カザトについている、エルシーとエルファー二人の両親や、親戚達を生き返らせろって言うのかよ!

ふざけんな!
あの当時は、仕方なかった!
それだけ!」

闇の大精霊 ダーク 
「生き返られせるのも、世界樹の仕事。
お前は、アホか!」

光の大精霊 ライト
「そういえば、雨を降らさないようにフェイクの部下天使がこの世界を歪めたときに、エルシーとエルファーの両親の村長の抗議に対して、
散々罵声を浴びせたみたいよね?」

水の大精霊 アクアが無言で、カザトが発生させた水蒸気の柱と雨雲を指差す!

風の大精霊 ウェンディが、海に出来た大渦巻を指差す。
ちょうど、デカいクジラサイズの大ナマズのモンスターが、悲鳴を上げて大渦に吸い込まれようとしていた!

すでに、言い争っている間に大渦の大きさが、3倍になっていたのだ。

超高濃度聖水に浄化されて、白の灰になってしまったモンスター!

大精霊(火) フレイム
「やるなら、今のうちだぞ!」


実は、世界樹の大精霊とは、世界樹の本体から出た分身を制御・お世話する為に、普通の精霊達から任命された精霊であって、世界樹(分身)そのものの[分体の精霊]ではない。


世界樹の(仮)大精霊は、海の大渦巻や、雨雲が積乱雲に急に変化しているのを見て、顔を歪めていた。




そして、精霊の館(城)に一旦帰ってきた、マーベルが、エルフの最長老達の前ですんなりと扉を開けて、手荷物を持って入って行くの見て、レイダーはものすごい不安に駆られる。

レイダーは、側近の鑑定スキル持ちを見た。

レイダーの側近
「あの…、あの(仮)ギルドマスター・マーベルは、ハイヒューマンです。

しかも、ステータスメッセージに卒業準備中だと書いてありました。

つまり、すでにハイエルフの同等のハイヒューマンから、進化する存在です。」


レイダー
「は?ハイヒューマン!
あの情報は、嘘では無かったのか!
アレは!ハウスの妖精?
つまり、精霊の館(城)の守りか!

会話している?
見えるのか?
そんな…。」

いきなり、昼なのに暗くなる!

カザトが、無自覚に海を占領した無数のモンスター達を聖水にしてしまった海水で討伐・浄化していっていたので、いつの間にかレベルアップをしていたのだ…。

そして、そんな事に気が付かずに同じ感覚で魔力を使っていたので、ついに!ついに!
水蒸気の過剰放出による、積乱雲の発生どころか、またレベルアップをしたことによって、
積乱雲どころかスーパー積乱雲を作ってしまっていた!

エルフ達が、いきなり来た寒さに身を震わせる!

ダウンバースト現象とよく似たものが起こり始めていた。

成層圏の冷たい空気が、強制的に地上に降りて来始めたのだ!

カン!
カン!
カン!

雹が降ってきた!
ゴルフボールサイズの雹が降る!

そして、カミナリの発生!

ドカーン!
バリバリバリバリバリバリバリバリ!

世界樹の(仮)大精霊の結界を破って落雷する!

世界樹の(仮)大精霊
「ギャーーーーーー!」

光焔の大精霊 プロミネンス
「まぁ、頑張れ!」

と、呆れた状態で言って世界樹の(仮)大精霊以外、大精霊達は精霊の館(城)に帰宅した。

そして、聖水の集中ゲリラ豪雨が降り出したのだ。


苦しむエルフ達…。

レイダーの側近が、聖水の雨だと鑑定する。

聖水で苦しむのエルフ達と、自身を見て、悪に染まってしまった事を自覚し始めた最長老。

すぐに、最長老用の(仮)家に集って会議が始まった。



□□□□□□□□

その頃、カザトは動く意志を持ってしまったヘドロのモンスターと、対峙していた。

瘴気ヘドロモンスター
「きざま!
フェイク様の下僕の魔王である、ヘッドローに楯突くとは、命知らずな!

(クソ!なぜダンジョン経営をサボって代理に任せてここで、瘴気だけ集めてパワーアップしながら寝ていた所がバレた?

フェイク様に、バレたらヤバい!
逃さないで消すか!)」

鑑定を駆使して、このヘッドローのかんがえを解析していたカザトは、フェイクそっくりな考え方だと気がつく。

トワイライト達も同意見だった。

カザト
「ホー!これはコレは、管理者神フェイクの分身か!

封印して、告発の証拠として捕まえるか!」

瘴気ヘドロモンスター
ヘッドロー
「な!
なぜ!
その最高機密を、知っている!
貴様ら!何者だ!」

いや、バレバレよ!
なんて、エルファーの心のツッコミが入る。

カザト達の、生あたたかい目で見られてキレたヘッドローが、カザトに襲いかかった!


つづく
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