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第4章 お姫様達と黒の宮廷魔術師と、そいつらが使役したモノ達。 第2部 復讐の邪神vs フェイクROUND1

第9話 え?誰だ?あの人????? その2か?

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 神聖皇国の大聖堂に響く神託を映す壁画に、文字ではなくて映像が映し出された。
 こんなことは、大聖堂建築以来初めてである。
 朝7時に皇主は祈祷をあげる。最近は管理者神フェイクにではなく、前管理者神に向かって祈祷をあげている最中なのだが。


「カザト!カザトちゃん!
お母さんよ!
何をしているのよ!
そんなことはやめて、すぐに出頭しなさい!」


 言葉だけきくと…………、
 昔のテレビドラマでよくある、銀行強盗に入って、立て籠もった犯人に対して、警察が連れてきた母親がメガホンで呼びかけて来ているシチュエーションだよな…

 朝の7時から、なにこれ?

 前に、第3部第26話の冒頭と同じセリフが繰り返される。
 何故かというと、セバスチャン7(執事長)が書いた台本をそのまま使いまわしだからだ。

 登場人物は、前の人物とはかなり違う。
 自称・父親とかも出てきたのだ。
 自称・親戚から、自称・生き別れの兄弟50人に自称・祖父母だと言う者達が出てきたのだ。
 流石に、皇主から幹部連中に聖女見習い達ですら、呆れかえる。

 全くカザトに似ていない。勇者ゴン太のスケベモード時そっくりの顔が総出演のとんでも劇である。

 すぐにウソだとバレた。
 だが、この下手な芝居は全ての城、教会、村長や町役場の中に、強制的に通信魔導珠からとかから、映し出されて全土放映された。
 ある酒場では、荒くれ者の冒険者達の目が点になる。

ある邪神の城では?

ケース1 邪神バッタの城

 バッタ人間1号は、あ然として魔導珠から壁に映し出された映像を見ていた。
 人間を一応やっていた時の自分の姉が、なんとカザトの生き別れの婚約者だなんて言い出したのである。

 そんなアホな!
 仮にそうだとしても、会おうとすれば俺が通っている高校に一緒に来れば会えるのだから、生き別れというのは、全く嘘である。
 そして、両親はカザトの裏の貢献者の会社経営をしているグローバルビジネスマンだと言うのだ。
 おっかしいな~?!
 バッタ人間1号の記憶では、カザト家に悪さをして月に500万もらって夫婦でパチンコや、時々[組織の上役]とラスベガスに行って接待旅行で賭博三昧してくるような生活しかしていないのだが?
 早く、邪神を討伐して自分達を助けろだって?
 おい!俺はどうした!
 ムカつくバッタ人間1号に、邪神バッタの長男バッタショットは聞くのだ。
「あれは、お前の両親だったやつらか?」

 バッタ人間1号は、登場人物達の本当の名前や、やって来た所業など知っている限り話す。

 長男は、三男の邪神バッタ・ウィードカッターに、暫くの間フェイク執務室への直接攻撃を停止して、様子を見るように指令を出す。

 呆れ返る邪神バッタの兄弟と直参の眷属達の軍団は、いきなり始まった下手な寸劇を見ることにした。



ケース2  邪神ゴキブリの城では。

 邪神ゴキブリ軍は、地球のゴキブリからデーターを集めていた。

 邪神ゴキブリ・長男スープラーラ
「相変わらず、フロンターレ諸国連合の王女共の考える事は酷いね~。」
 
 邪神ゴキブリ・次男 マルルー
「わかったぞ兄貴!コンピューター・ゴキブリに国民基本台帳と、その変更点を調べさせた結果だけど、コイツラは冒険者カザトの親でもなければ、親戚ですら無い。
 それどころか、親の敵というよりも先祖の敵だな。」

 なんと!邪神ゴキブリ軍団にはすでに次世代なモンスターゴキブリがいた!

 コンピューター・ウイルスならぬコンピューター・ゴキブリである!
 え?ファイヤーウォール?
 火なんてへっちゃらで越えてしまうのが、コンピューター・ゴキブリである。
 ゴキブリというだけあって、ステルス性能は抜群でしかも拡散増殖するのとネットの海を泳げる!Wi-Fi電波の波の中を飛べる!から、調べ物なんて簡単なのである。

 恐ろしき独自スキル(電子ゴキブリ化)を持ったゴキブリ軍団は、すでにフェイクの執務室の捜索に入っていた。

 部下ゴキブリ
「頭領!すいません。まだメインコンピューターが見つかりません。はっきりというとフェイクの私室ってゴキブリすら逃げたいほど、汚いつす!これが、送られて来た映像です。」

 邪神ゴキブリ・長男スープラーラ
「汚部屋レベルマックスだな。」

 邪神ゴキブリ・次男 マルルー
「なるほど、で?奴の顔は確認できたか?」

部下ゴキブリ
「恐らくですが、これではないかと?」

邪神ゴキブリ・長男スープラーラ
「違うな…。あ!こいつ!」

邪神ゴキブリ・次男 マルルー
「間違いない。俺を使い魔にしやがった奴だ!
だが、フロントのヤツのひとつ上の姉ではないな。とりあえず探せ!確認するまで総攻撃は禁止だ!」

 邪神ゴキブリは、フェイクの姉妹の誰かを探しているみたいですね。


ケース3 ガス王国 平原

[時間軸は、第4章第3部第1~2位のカンターレ達が移動している時である。カザトは研究に没頭した為に、この茶番劇はまだ知らない。]

カンターレ (ブレーダー王女)
「おい!ゴン太!なにボケっとしている。」

ガス国王
「冒険者カザト達の親に親戚を、根こそぎ人質にしたのか!これなら冒険者カザトは動くだろう!」  

宰相
「おい!国王!顔が悪になってるぞ。どうした?ゴン太?」

勇者ゴン太
「少し、休憩しませんか?コイツラはカザトのヤツの親兄弟ではありません。」

ブレーダー王女
「ハァ?おいゴン太!じゃあ部下天使様達が、マチガッて連れてきたとか、お前よりもポンコツだといいたいの?」

勇者ゴン太
「あんまり、やりたくないけどな~。これもミスリードされて破滅になるよりかマシだな。笑わないでくださいよ!」
と、少し変顔をするゴン太。

カンターレ(ブレーダー王女)
「ぶ!ブハハハハハ!ハァーーーーーー?」

 ついつい、大声を出してしまい馬が気絶してしまったから、休憩に入る一行。

 宰相は、なぜカンターレがびっくりしたのか少し時間が経った後で理解して顔面蒼白となり中の部下天使から説明を求められて、その後部下天使共々真っ青になった。

 ガス国王は、未だにゴン太の変顔に笑っている。
 ブレーダー王女は、カンターレがなぜ驚いたのか解らなかったが、カンターレは性格が酷く真面目なので黙って何かあると思って黙ることにした。

 お付きの貴族令嬢達が、お茶を入れる。

 カンターレが、ゆっくりと飲んでもう一度ゴン太に変顔を頼んだ。
 ガス国王は、笑っているが側付きの貴族達の公爵達は気がついた。
 ブレーダー王女がカンターレに聞いたら、見比べるように言われる。

あ!
 ブレーダー王女も気がついた。

勇者ゴン太
「昔から、この変顔したときとそっくりだって言われていたからな。
 ハァ~。整形して顔を変えているけど、間違いなくうちの親です。
 そう!この自称・カザトの親だと名乗っているのは俺の親だよ。
 そして、その後ろにいるのは全員他の勇者達の親兄弟だな。
 こんなの見せたら、カザトのヤツはブチギレて殺しにくるだろうな。
 なんせ、悪をした奴らが親兄弟だなんて、嘘をついてテレビに出演するようなものだ。
 煽っている以外ない行為だからな。」

 ゴン太は、ゲスの外道だが危機回避に関する能力はまだ腐っていなかった。
 通常、腐ったヤツらはここで、
「そんなことないでしょ!」とか、「煽るなんてことではない!」とか、「カザトは、ダダで命をかけて邪神を討伐するべき!]とか言って全く無関係の善人を装うのだが、それをこの状況で本気で言ってしまうと、いよいよ人間失格になるとゴン太の危機回避能力が警報を鳴らしていたので、ここは言わなかった。

 カンターレは、そんなゴン太を冷静に見る。
 そして、まだ笑っているガス国王を見てため息を吐くのだった。
 そして、宰相に「殴ってこい」とだけ言った。

 殴られたガス国王が、1番心に痛かったのはその日は、死んだような目でゴン太にずっと見られていたことらしい。

 
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