[鑑定]スキルしかない俺を追放したのはいいが、貴様らにはもう関わるのはイヤだから、さがさないでくれ!

どら焼き

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第5章 ついに始まった本当の戦い。

第6話 ラッド国王のお怒りで行われる、妙な儀式

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 ハトが飛んで、マトの街の郊外の公開牢屋にに文官が馬に乗ってやってきた。

ガス宰相
「ふ~。あの慌てよう。
 やっと、長男のやつが説き伏せたか。
 やれやれ。
 まぁ、あの娘は無理矢理政略結婚をさせなくて正解だったな。
 で、どうしようか。
 ラッドの兄貴に命令なんてできない。
  部下天使様がまだ、帰って来ていなくていないからな。
 どうやって、説得するかだよな~。
 もう、あのバカ(現ガス国王)処刑を確約して、他のガス貴族の助命をするか。」
 
 なんて、ものすごく気楽な考えをするガス宰相殿。

文官
「ガス宰相殿は、教育が疎からしいな。」

 開口一番が、この言葉だ。
文官
「侵攻して敗退したのに、ベイントス公国の国境で歓待しろだとか、カザト殿を散々こき下ろす言葉を吐いていたそうだぞ、あなたの嫡男殿は。」

ガス宰相
「ハァ?そ!そんなはずは、大体冒険者カザトの側にいるのは、わしの娘だぞ!
 そろそろここから出せ!」

文官
「そんな馬鹿な発言しか出ないあなたは、本当に宰相か?
 実は影武者で違うかもしれんな。
 まぁいいか、聖騎士メリー殿がベイントス公国建国の頃に要望書を出していてな、自身を蹴り出して暗殺者を送り込んだ元実家の者が、権力をふるえると勝手に思い込んで、やりたい放題をしたなら、処刑場に送ってほしいと書いてあるのだよ。
 家紋・紋章は、紋章官が確認して処刑場に送られたらしいよ。」

ガス宰相
「なに!」

 黙ってしまったガス宰相。
 それを聞いていたガス貴族やニャントゥ王国の偽女王達は、やはりあの建物は処刑場なのではと、震えだした。

 では、その建物は何だろうか?
 カザトがブチギレると、同じくブチギレていた者達がいた。
 トワイライト達とラッド国王。
 特に、ラッド国王のガス宰相に対する怒りはひどかった。
 
 ガス宰相の事を聞いたカザトが出した感想はコウモリである。
 暗い闇に潜み獲物を狙い、立場が悪くなったら手のひらを返すように裏切る。
 そして、生き血が大好き。
 特に、処女の血が好き。
 うん、吸血鬼のイメージも入っているがこんなものだと、ラッド国王の使者にいった。

 悪魔消滅の儀式でもやらないと、死なないのかな?なんて、使者と話していたのを聞いてラッド国王は、思いついた。

 むか~し、むか~し読んだ絵本にある、牢屋に入れた悪魔に憑かれた人を、油の風呂に入れて徹底的に加熱して、悪魔退散をしたと言うお話である。

 そう!公開牢屋ごと、油の風呂に入れて煮ろうというわけだ。
 それに、今回はそうする理由がある。
 あの元聖女統括フェルべーや、ブレーダー王女の例がある。
 結局乗り移られたあの女性2人がやったことは、大邪魔神の召喚だ!
 そして邪神ゴベール。
 冒険者カザトが、なんとかしたと言っても、やはりあの恐怖はなかなか拭えない。

 悪魔退散の儀式を、その大邪魔神の手下となって動いたガス宰相やガス貴族にするのは、当たり前だろうと考えたのだ。

 その事をカザトや皇主に皇帝にも相談した。
 使い魔などが潜んでいるかもしれないので、拡散する前に煮ろう!

 皇主や、皇帝も考えたらしいが、大邪魔神のインパクトは強すぎた。
 そして、その後のガス国王の行動が酷い。
 何か悪魔が憑いているかもしれない。
 それだけのインパクトがあったのだ。
 そして、恐怖も。

 カザト達は、その日にマトの街に向かった。
 ある木箱をゴーレムに運ばせていたのだ。
 ガタゴトと、箱の内部から音がする。
 その度に、聖騎士メリーが木槌を棺桶みたいな木箱に打ち付ける。

 しばらくすると、またガタゴト音がすると木槌で打つの繰り返しである。

カザト
「ハァ~。なるようにしか、ならないのか?」
 と言うと聖騎士メリーが、
「小麦が多く収穫されましたから、よくまぶしてカラッと揚げましょう!この人でなしめ!」
 と、また木槌で木箱を叩く。

 あまりのメリーの怒りの形相にナタリーも、トワイライト達もタジタジだ。

 その頃、ラッド国王のマトの街に向けたお知らせが発表された。

 お知らせ

 朕(私という意味)は、先程の大邪魔神がこの新生ガス王国を滅ぼそうと、悪魔の手先を連れて侵攻してきた事に対して、憤りをおぼえた。

 と、同時にこれまでのガス王国の政治とは真反対の施策を邪神共が、危惧して広がらないように潰しに来たとも判断出来る事に、間違ではない施策をやってきたのだと言う自信をもった。
 そして、今、朕(私という意味)は必要な決断をしないといけない。
 大邪魔神の手先になって攻めてきた、ホビット族軍に、ガス貴族軍、ガス宰相達は、もはや人なのだろうか?
 ここで、朕(私の意味)は少しだけ可能性をかけて、悪魔祓いの儀式をすることにした。
 悪魔の如く活動するガス貴族の8割が牢に入っている今!たとえ、肉親が叫ぼうとも人間に戻って欲しいと思い、涙を飲んでここに悪魔祓いを実行する。


 なんて、お知らせが出たのだ。
 そのお知らせが書かれた板が、公開牢屋前にも立つ。

 ちょうどカザト達がマトの街についた時だった。

 嫌だー!
 オレは、殺したけど貴族だから無実だー。
 オレは無実だ!人殺しをしない貴様らが、悪魔だー!
 俺は宰相だ!娘よ!俺の言いなりになって助けろー!
 死にたくない死にたくない!
 
 など、聞くと気分が悪くなる悲鳴しかない。
 メリーの顔が既に怒りに染まっている。
 カザトは、メリーを見て真っ青になる。

カザト
「油に煮るとは、まるで五右衛門だな。
 だけどガス貴族の奴らって、なぜ反省しないのだろな。
 仕方ない。
 あれだけの事をやっちまったんだ。
 見届けよう。」
 なんて、言っている頃。
 

 ガス王都の城では、ブレーダー王女が久しぶりに奇声を発していた。

ブレーダー王女
「なんですって!悪魔祓い?!
 ガス宰相もその儀式を受けさせられるですって!
 儀式って何よ!よくわからないの?」

 そんな、怒鳴り声を聞いてやってきたのはガス国王である。そして、ガス先王も部屋に閉じこもっていたが、出てきた。

ガス先王
「悪魔祓いだと。
 これが、出されたお知らせか。
 邪神の下僕だと!
 おい!どうするつもりだ!
 黙って見ているのか!
 なんとか言え!」

 ガス先王が、ガス国王を締め上げる。

ガス国王
「ゲホゲホゲホゲホ。
 兄貴に、ラッド兄貴にそんな事が出きる根性なんてあるか!」

ブレーダー王女
「では、ラッド叔父が直接しなければいいだけですよ。」

ガス先王
「確かにそうじゃ。
 早く、魔導珠を出して通信の用意をしろ。
 今から、ラッドに繋いでやめさせるのだ!
 貴様が、誠心誠意謝れ!
 それしか、もう回避の方法は無い!
 ワンダフル王国の侵攻失敗は、かなり痛かった。
 ガス防衛隊500万の内、今の戦力稼働率は30%で、全軍ですら20%も使えない。
 兵数では、奴らの連合軍の同じだが戦力ではもう勝てないのだぞ!
 わかっているのか!
 それとも、ガス貴族達を見殺しにして貴様も攻められて処刑させるつもりなのか?!」

 ここまで言われて、やっと動いたガス国王は、全土魔導珠放送を始めた。
 公開放送にして、ラッド国王をなじり倒して、悪魔祓いという処刑をやめさせるつもりだが、なぜか答えるように出てきた映像は、公開牢屋に入れられたガス貴族達とガス宰相であった。

 ラッド国王は、全く返答すらしないのである。
 なぜって?
 ガス衝突暗黒地獄戦争は、戦闘は終わったが、終戦条約なんて締結していない。
 つまり、まだ戦闘中。

 ガス宰相達の「早く助けろ!」の大合唱に対して、ガス国王の「早くラッドの兄貴を出せ!」との大合唱にラッド国王たちは、沈黙を貫く。
 
 3時間後、疲れ果てたガス国王は放送を止めた。
 ラッド国王側の官房長官クラスの文官が魔導通信で放送を始める。
 「ラッド国王は、冒険者カザト様と共に今から始める悪魔祓いの為に、食事は菜食を取られ身を清めるために、冷水行(水を被って身を清める)を始められました。
 先程の放送を見ましたが、国王、宰相ともあろうものが、ラッド国王陛下に生かされているとの感謝の言葉の1つもでずに、己が上だと言う邪念(理念では無い、妄想よりも上の格付け)によって、話すら噛み合わない場面がありました。
 
 これは、悪魔祓いをしても手遅れかもしれないが、人に戻るよう前管理者神様に祈祷して、おられるのです。
 皆様も、悪魔の思考と悪魔の行動にでる、ガス国王と宰相が、人間に戻るように祈って下さい。
 もし人間に戻るのが嫌で死を選ぶなら、またこの世界に生まれ変わらないように、他の異世界に迷惑に、不幸をばら撒かないように、封印することにします。」

 
その模様を魔導珠で見ていたブレーダー王女は。
「はぁ?
 生まれ変わらないように封印?
 な、なんですって!
 それって、本格的に悪魔に対応するつもりですか。
 確かに、大邪魔神を召喚しましたけどね。」

 ガス国王は、ホビット族の参謀を呼んで今の戦力の確認をするが、結果は変わらない。
 いくら、ポーションを作ろうがエリクシールみたいな、部位欠損すら治すポーションではないのだ。
 すぐに治る訳では無い。
 だが、直接会談に行くと捕まって、悪魔封印の儀式の対象にされてしまう。
 
 なんとかしろー!
 なんて叫ぶガス国王の声が響くが、どうしようも無いのだ。

 勇者ゴン太は、ヘロヘロの状態でやってきた。

勇者ゴン太
「何かネタは無いのか?
 勇者帰還魔法陣を渡すから、兵を返してくれ~とか言って、交渉の場に向こうが応じるようにしないと、とても無理だぞ!」

 勇者ゴン太は、そう言って自分も帰りたいので、帰る方法を1番知っているはずのブレーダー王女達を焚き付ける。

だが…。

ブレーダー王女 
「無理よ!出来たら交渉の材料にしているわ。
 それにね、カンターレ様に聞いたのよ。
 帰還する方法があるのではないのかと。
 あるのだけど、今は地球とフェイクランドの間の時空がねじまがっていて、フェイク様よりも強い管理者神クラスの存在でも、気を抜けばどこかの次元に飛ばされる位、危険な状態らしいのよ。
 どっちみち、無理なのよね。」

 勇者ゴン太は、無理ならととんでもない事を言い出した。
 
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