リーフクエスト 

どら焼き

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20.全て計算外です!(主人公お休み)

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20.全て計算外です。(主人公お休み)


 領民大移動が起こる少し前。
 Cランクパーティー ガリズ視点

 ガリとゲリは、憤慨していた。

(ガリ視点)
 なぜ、正式なクエスト票なのに、逮捕されないといけない!
 役立たずを殺せというが、ハンターの世界の常識であり貴族の常識ではないのか!
 ガリとゲリは、あれから王都に移送されて、ムチ打ちの拷問をかけられて、殺されそうになったが途中でギルドマスターがいなくなって、その後に、いきなりずっと椅子に縛られてパーティー全員集められて「どこにやった? 言え!」としか言われなくなった。

 はじめは、さっぱりなにの事かわからない。
 村長である父親や副村長のゲリの父親も金に汚かった。
 金貨は腐らない!だから貯めるのだ!
 それが、村長達の口癖だった。

 それが、ある手紙が来てから様子が変わった。
 暗号で、(武器を送れ!成功すれば侯爵様になれるぞ!)

 隣国と組むらしい。
 たが、すぐにバレたらしく捕まったとか、ハンターギルドで聞くと、リーフ達にバレる前に嫌だった、ランクアップに必要な長期出張クエストを受けて、遠くの田舎に向かった。

 あれさえなかったら…。
 まさか、村長達が貯めていたという埋蔵金か?
 それか、武器の行方か?
 ゲリが勝手に、知らないとか言い出してボヘと、トトに村が謀反を起こして無くなった事がバレた!

 ボヘとトトに睨まれる俺達。
 クソ!俺とゲリ父親達のせいで、このランクアップクエストがだめになったと、解釈されてしまったじゃないか!
 このバカゲリが!

 だが、取り調べ官はわらった。
 は?Sランクダンジョン[死出のダンジョン]が攻略された!
 コイツら、まさか俺達が[死出のダンジョン]を攻略したと思っている。

 ギャハハハハハハハ!
 と笑っている取り調べ官。本気で攻略したとは思っていないな。
 俺達相手に、遊んでやがる。

 だが、ボヘは目配せしてきた。クエスト主と交渉する時に、私に任せろという時の合図だ!

 何か、この死刑まっしぐらの状態から抜け出せるがあるのかよ??

ボヘ視点

 もうコレしか無い!
 私は掛けに出た。
 [死出のダンジョン]!
 なぜそう呼ばれるのかというと、一度入ると帰ろうとしても足が出口に動かないと言う、呪われたダンジョンだからだ。
 SSランクへの、ランクアップ試験でSランクパーティー10組が入って、ギルドの元Sランクハンターの試験官が、命がらがらで一人帰って来た時にわかった、帰ることが出来ない呪いのダンジョン!
 なぜ、試験官が帰ることができたかというと理由は、元Sランクで強かったということと、現役の時に持っていた歴代Sランクと言われた[呪い避け]のドロップ品を身に着けていた事と、最上級の帰還石というドロップ品を惜使ったという事だった。

 最上級の帰還石と呪い避けのマジックアイテムが、帰ることが出来た鍵だ!
 つまり、その2つを持っていないリーフは、[死出のダンジョン]のあの穴からはいでて、道を引き返してダンジョンから出るなんて出来ないはずだ。

 あの理由のわからない使えないスキルが、覚醒して解呪の効果か無い限りだ!

 だが、あのダンジョンには毎日巡回警備が入る。
 つまり有名な強力なハンターが来れば、すぐに阻止するはずだ!
 なら、やはり攻略できるのはリーフのみ!
 それに賭ける!
 それに、私の家に伝わるあの事を使おう。
 
ボヘ
「ふ~、やっとクエストが完了したと確認したの?
 遅すぎるのよ! わかったのなら早く縄を解きなさいよ!
 全く!たしかにあんた達から見たら、所詮Cランク下級ハンターよ!
 だけどね、すでに私達の素性を徹底的に調べた後だったらわかっていると思うけど、禁呪を使ったわ!
 例えSランクダンジョンでも、一撃よ!
 でっかいでっかい、近づく琴すら出来ないほどのクモのモンスターでも、灰になって消えたわよ!」

 ハァ?とか言っている取り調べ官。
 だが、私は魔法系のジョブの先輩ハンターから聞いていた。
 禁呪という言葉すら使うな!支部の魔法系ジョブの派閥のトップハンターが、昔、禁呪を使った王都の魔法使いが、敵軍を全滅させたのに嫉妬した国王に捕まって、子供を産んだ魔法使いではない娘まで追放されたと。
 故郷の村の方角に追放されたのを見たと、派閥のトップが言っていた。

 間違いない。うちの家の事だ!
 その赤ん坊が、私の母親だ。なぜか祖母は子供を15人以上産まないといけない義務が無かった。間違いない。
 あの時は、バレないように平静を装ったけどね。

 ついに、この事を使う時がきた!
 あのギルドマスターの紋章メダルから魔力が出て来ていたから、アレは本物。
 ダンジョンからの脱出用に渡されたアイテムも本物。
 ギルドマスターが王族だっとしたら、たしかに用意出来る。
 なぜリーフを殺そうとしたのか?なぜリーフをあの穴に落としたのかの理由はわからないけど、なにか知ってはいけない理由があって、口封じで殺されそうになっているのなら、何としても逃げ出してやる!
 こんな事で殺されてたまるか!
 リーフが生きて本当に攻略したのなら、ドロップ品を巻き上げてやる!


 そして、まず第1の賭けに勝った。
 部屋に、別の取り調べ官がやってきたのだ。
 紋章から、教会の禁呪取り調べ官だ。
 
ボヘ
「コウシャクサマからのクエストは、完了しましたよ。
 忌々しい[死出のダンジョン]は消えた。
 あぁ、ダンジョンを消す事が第1目標だとされていたので、下層ごと禁呪で消してしまったから、ドロップ品はないわよ!」

 ガリとゲリは黙っている。
 トトは、この禁呪取り調べ官を見て任せろという合図をしてきた。


トト視点

 あの紋章は!
 ええ!よく家に来ていた者がつけている紋章だった。

 私の母が、大神官の婚外子だと祖母と母からも聞いていたけど、今の状況から考えると私も何かハメられて村ごと消されそうになっているのね!

 なら、生きるために何でもやってやる。

トト
「第1の合言葉は、バリクト。」

教会の禁呪取り調べ官
「ハァーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!」

 うるさ! あ、顎が外れているわね。
 相当びっくりした? 効きすぎた?
 何でもいくつか合言葉があって、その一つ。
 神官の達の上部しか知らない合言葉。

教会の禁呪取り調べ官
「次は、ス」

 あ~、スね。なら、その次はドゲ。

教会の禁呪取り調べ官
「なぜ?なぜ?」

トト
「全ては、真心のままの指令クエストを遂行したまで。
 さぁ、女神様に敵対する魔神の作りし[死出のダンジョン]が消えたとわかった今、大神官の婚外子の娘ですが、神官の義務も終えました。
 縄を解くように、言ってください。」

教会の禁呪取り調べ官
「は。はい。すぐに教会に伝えます。
 おい!取り調べ官!このまますこし待てよ!
 明日この中の一人を処刑するとか言っていたが、ニセクエストどころか本物の可能性が出てきた。
 今から、ギルドマスター ワッタのクエストが本物なのかを、神託にてお伺いすることになるだろう!」

取り調べ官
「へ? 」
 
 
ガリ視点
 そう言えば、村長はそんな事を言っていたな。
 本当だったのかよ。助かるかもしれないぞ。
 おい、ゲリ!乗れよ!

ゲリ視点
 あ~、村長達は確かに言っていたな。
 リーフを生贄に禁呪で、あのダンジョンをふっとばした?
 よくそんなウソを信じたな~。
 待てよ、魔法使いでもない娘すら、あんな村に追放されたとか言っていたよな??

 まさか、禁呪ってヤツはそんなにすごかったのか!
 やれるぜ!これを使って、公爵にでもなってやるぜ!!

 それぞれの過去のやらかしが絡み合う中、その当時では予想できなかった計算外の事が、発生していた。

 そして、第3王子にも計算外の炎が迫って来ていた。

第3王子ルテケザフ・ド・ニャチム
「は? 今から兵隊を連れてフルポーションを取りに行け?」

 他の王族の満場一致で決まった指令。
 [死出のダンジョン]は、禁呪で攻略された可能性がある。

 神託も、「ギルドマスター ワッタの!クエストは、偽造ではなくワッタがある意思の命令によって出したのは本当であり、ハンタークエストは、本物。
 どんな意思なのかは、今はきくな!」
 という、神託だった。

 ベラボー辺境伯が、かつてのガリ達と付き合いがあったらしいハンター達に、ずっと聞き込みをしているとスパイからの報告があった後で、ガリ達を牢屋ではなく宿に監禁する事になって、しばらくした後だった。

 特急のハト便がきた。
 ベラボー辺境伯領都のスパイからだ!
 
 なに! 辺境伯がガリに近かったハンターを見つけて、フルポーションのありかを吐かせた可能性がある?

 そのハンターは、その後殺された?
 確認したが、栄養も取っておらずすぐに身体が冷たくなって死亡していたから、回収不可能だっただと!
 名は?リーフ??
 生贄にされたリーフだと!
 
 そして、ボヘの大祖父が残した当時の筆記記録を出すが、禁呪によって禁呪の魔法発動体となった人間の死亡率は50%。
 た、だ、し!ボヘの大祖父の師匠の持っていた過去の大魔導書によると、ダンジョンで使うとしばらく行方不明になって記憶喪失状態で3ヶ月後に現れたって、事例がたくさんあったと書いてあったと、かいてある?!

 これだ!!

 王族達によって、[死出のダンジョン]禁呪での攻略説が採用されたのだ。

 そして、第3王子に指令を出した。

王妃イポテセガツミ・ド・二チャム
「フルポーションがあると言うなら、奪ってこい!
 ぶっ殺しても、奪ってこい!国王と私達にベラボー辺境伯が復讐するための道具にされたら、私達の負けが確定するぞ!
 わかっているわよね!あなた達のいま贅沢している資金の出どころは、昔、私と国王様が組んで奴に貢がせた宝石類よ!
 ヤツは、私に貢がされて当たり前なのに、貢がされたとか言って、逆恨みをしていると聞く。反撃なんてさせてはいけないのよ!
 だからこそ行け!」

第3王子ルテケザフ・ド・ニャチム
「は。はい。野戦部隊第3軍を連れて行きます。」

 その後、他の貴族を牽制するためにと、王女や王子に王弟も騎士団を周囲の貴族領に派遣した。
 日頃無駄遣いしすぎで、軍事予算なんて無いので、騎士団長達は、予算を求めた。
 すでに第3王子が軍を出動させた時点で、片道分の食料と予算での出動だったのだ!
 すでに、軍事予算は無い!

王妃イポテセガツミ・ド・二チャム
「うるさ~い! 愚民どもから、王国への直接納税をさせるのだ!
 拒否すれば、強制徴収しろ!」

 コレが、街の焼き討ちの発端となった。
 だが、それが民族大移動規模の王都への移民になるとは、王族達にとっては大誤算だった。
 愚民たちは、黙って泣き寝入りすると思っていたのだ。

 
 
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