リーフクエスト 

どら焼き

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37.地獄の戦闘の後の復興計画

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37.地獄の戦闘の後の復興計画


 リーフは、流石に疲れたので、地下30階相当の深さまでシェルターを沈めて、中で眠りについた。
 その頃、地上に出た魔法使いボヘとヒーラートトは目を覚まして、かつての華やかなバルセル王国の王都だった焼け野原を見た。

 リーフは、どこだ?探す2人。
 あのとんでもない、魔力を放出する魔族と戦えるかつてのメンバーを連れて帰ることができたら、晴れて無罪放免で魔王軍との戦闘もおまかせできるとの打算もある。

 が!見当たらない。
 探すと、ガリやゲリと司教が真黒になって焼かれ転がっていた。

ガリ
「た、助けくれ~。死にたくない。」
 生きている。そして、ホベの鑑定では人間に戻っていた。

 トトが、ヒールをかけていると人の魂が空に昇って行き出した。
 魔神に占領されて、天に登れずモンスターに転生するサイクルになっていた地獄から開放されたのだ。

 そして、羽根が生えた小人が地中から出てきた。
 精霊だ。もう最近見かけなくなった精霊が復活を始めたのだ。
 そう、このバルセル王国のバルセルとは、日本語に訳すと[精霊の森]。
 まぁ、その森を破壊して王都なんて作ったせいで精霊の力が弱まり、国力が落ちたのだから魔王軍に負けたのも農業の不作も、バルセル王国の自己失策なのだが。

 精霊は、ホベとトトを見てどうしようかという顔になった。
 どうしよう。リーフは地下深くで就寝中。
 こいつらとは、関わりたくない!と行動で表明している。
 だが、精霊達は女神ハシュリーター様の部下から、リーフをなんとかして魔王と戦わせろと命令を受けていた。
 しかも、その部下はリーフに無理矢理チートスキルと魔王討伐を押し付けようとしたことがバレて、逮捕されていたのでバレないように誘導しろと命令されていた。
 
 精霊達にとって、早めに魔王を討伐できないと自分達の死活問題になるために、魔王を討伐して欲しいが、どうもリーフはすぐに地球に帰れるなら帰るだろうと判断。

 どうしよう?

 どうする?

 何かいい案はない?

 こまったな~。この2人はリーフさんの認識だと[人]という、枠から外れて[モンスター]の枠との間に設定された[裏切り者]って枠だよ?

 こいつらを助けたら、僕たちも魔王側だと認識されないか?

 だけど、魔王軍と戦うためなら人数が必要だよね。

魔法使いホベ
「せ、精霊だ!まだ生きていたのね。さぁ精霊よ!我が声を聞いて魔導の契約を結ぶべし!」

 お断りだよ!
 バン!

魔法使いボヘ
「キャッ! ウソ、契約を拒否された。どうして!どうしてよ! 教会から聞いたわよ!魔王と戦っていたのでしょ!力を貸しなさいよ!」

 お前は、リーフさんを裏切った。

 まだ、人の姿だけどいずれモンスターになる。
 ハンターの掟すら破った。

 それを聞いたトトが怒鳴った!

ヒーラートト
「仕方ないでしょ! 人間扱いしないベラボー辺境伯領から逃げ出すために、ああするしかなかったのよ!
 あの、クソ辺境伯に対しで女神ハシュリーター様は罰を与えなかった。 
 どういう事か、あんた達はわかる?
 女神ハシュリーター様は黙認したってこと!
 あのクエストだって、女神ハシュリーター様の意思が宿っていたということは、ハシュリーター様の命令ってことよ!
 命令は絶対!だから本来なら私達は無罪なのよ!」

 ウゥ、だけど平気で人の道は外れたよね?

 命令で、人の道を外す?

 困ったな~、リーフさんはコイツラをもうすぐモンスターとして認識するぞ?

 ぶっ殺して…、だけどコイツラを使えって。

 あ!!これだ!オイ! 不真面目なヒーラートト!お前は、リーフさんに「なんでもします!」って言っていたよな?
 許されるような、「なんでもします。」って事をしたら精霊が協力するって事でどうだ?

 あ!それいいかもな。

 あんな事~とかして、この世界の為に戦ってやるか~って思ってもらった分だけ、精霊の補助をするか~。

魔法使いボヘ
「は?? なぜ、リーフ主体で物事が回っている考え方なのよ!」

 ボヘはキレていたが、トトは精霊達の話に物凄く違和感を感じた。

ヒーラートト
「まるで、リーフがこの世界を救う義務がないみたいな言葉じゃない!」

 当たり前だろ!だって…。

 なんていう精霊に、ボヘも違和感を抱いた。
 そして、精霊達はトト達の言葉を無視して、会議をはじめた。

 そこに、教会のワイバーンの騎士がやってきたのだが、持ってきた魔導水晶玉での通信で言われたのは、リーフを見つけて説得しろという神託だということ。

 できなければ、罪人として処刑だという。
 既に、ホベとトトの親族が人質に取られていた。

ヒーラートト
「なら、祖父の大神官も牢屋に入れろや!
 なぜ女神ハシュリーター様は、理不尽を押し付ける教会を罰しない!」

司祭
「うるさい!命令はくだされた!やれ!」

 ワイバーンはガリとゲリと司祭を回収して、2人を残しで飛び立った。

 困った~。
 ホベとトトはぐ~と、お腹が鳴ったと同時に頭を抱えて座り込んだ。

 

 だが少し地面が浮いていたのに、精霊もホベもトトも気がついていなかった。
 その地面の隙間から、起きていたリーフが見ていたのだ。

リーフ
「うわ、教会は強制労働をさせるつもりかよ。
 精霊か。精霊と契約して魔法の威力を上げるのが、少し前までの魔法使いなどの魔法職では当たり前のことだったとは聞いていたけど。

 ホベのやつ女神様の命令だから、いくら悪人でもできる精霊契約を拒否されてやがる。

 精霊と契約したら、契約だからってブラック職場に縛られる事は、確実だから逃げるか。」


 リーフは、地下に潜ってトンネルを掘り出した。
 なぜ、そんな面倒な事をするのか?
 いや、リーフの本ジョブは掘削士だから!
 [超級]土魔法で、このトンネルの使用者をリーフ限定にして、掘り進める。

 レーダースキルで、だいたいどの辺りに居るのかわかるから迷わない。
 
 元バルセル王国領に、旧ベラボー辺境伯領から復興命令をくだされた者達がやってきたが、誰とも精霊と契約できなかった。

 元ベラボー辺境伯の家来は、リーフ達に圧政をしていた連座の罪状で精霊契約拒否。
 そして、精霊契約ができると喜んでやってきた元レオーバ王国の王族たちも、ベラボー辺境伯の圧政の原因として、精霊契約拒否。
 
 それを聞いたワッタ新国王は、頭を抱えた。
 精霊契約ありでの旧バルセル王国(現在バルセル領)復興計画と、魔王軍との戦闘計画だったのに、早くも失敗の可能性が出てきた。


 レオーバ王都の教会に直接行って、神託を仰ぐように司祭達に命令を下すワッタ。
 できないと、教会公認での魔王軍との戦闘拒否だというと、やっと司祭達は動き出した。

 結果。
 バルセル王国では、この世界で精霊契約が再開させるが、それはリーフの仲間だと認定されたものだけだとされた。

 あ、だめだこれは…。
 ワッタは、別の復興計画を立案するように命令を下した。
 
 その頃、リーフは別の国に入っていた。
 カンデルシュー王国。
 魔王軍と戦い、防衛が成功している王国だ。

 ブハッ!
 宿屋でハンター新聞を読んでいたが、一面は自分の特集だった。
 新バルセル領となった所で精霊契約を、成功させたら、魔王軍と戦闘すらための準備金として、精霊契約成功懸賞金大金貨三〇枚?

 しかも、その精霊契約内容だと確実にリーフを探し出して拉致コースだな。

 はっ!
 なんだ?なんだ?
 向こうから、何か大きな魔力が近づいてきた!

 レーダーだと、危害を加えそうな存在としての人間の反応が、こちらに多數近づいてきている。
 レーダーに映る魔力の波が見える。
 あれが魔力探知か!
 く!
 すぐに、宿屋の裏に回って地下トンネルにリーフは退散した。

 そして、その日憑いていたモンスターの親分が討伐された事で、ただの人となった勇者あいうえお が密かに発見されていた。

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