異世界勇者召喚失敗か？

第6章 日本防衛戦開始

第153話 基本方針を決めるしか無くなる。

第153話　基本方針を決めるしか無くなる。

　時には、歓迎されたりされなかったりする。
　そして、それは場合にもよる。
　では、魔王襲撃によって魔王討伐の場合はどうだろうか？

　すぐに、受け入れてくれた県もあった。
　だが、早くしろ！とまるでゴミを見る目で対応する、ものすごく腹の立つバショも出てきたのは、やはり想定されていた事だ。

　
帰還6日目　異世界344日目 　午前8時

 テレビで内閣官房副長官が、兵庫県庁の魔王討伐の拒否の姿勢に遺憾の意を示し、自力での魔王討伐の命令を出したと朝早くから発表していたのを見ながら、俺達は高知県にいた。

　高知県は、カニの襲来が来ていた！！！
　日本海ではないのだが、なぜかカニ！！
　しかも、火を吹くのだ！
　なぜ日本海に行かなかった？
　そして、びっくりするなかれ！この魔王カニは四国と同じくらいの大きさなのだ！

　衛星からの画像だと、アメリカ空母並みの大きさのカニがわんさか写っていた。
　もちろん、黒潮に乗ってやってくる魚は全滅！
　マグロ、さんまとか全滅！

　戦闘がはじまった。すでにカニ達は紀伊水道から大阪を狙っている。
　そして、九州の宮崎県の一部は占領していた。
　しかもジェネラルランクだと謂われていた空母級カニは、なんと部隊長クラスだと判明。
　特に海水に入っている状態だと、こちらから攻撃のほとんどが無効化されてしまう。

　海水ごと凍らせるか？
　氷の柱で囲み出したらなんとか魔王の動きを止める目処がついた。


帰還7日目　異世界345日目 　午前9時

　苦戦中だと見られていた魔王カニ討伐戦！
　だが、こちらも実はそんなに苦戦していない。
　カニづくしで、異世界の者たちの栄養不足が解消されていく。
　カニの甲羅成分とかかな？まぁ深いことはわからないが、関節の動きが良くなったらしい。
　へ～、なるほど！
　あ！まさか！あのグルコサミンとかなのか？

　しかし、何故か気になるな。

　魔境魔法鑑定！プラス鑑定！

　名前不明
　魔王の魔力によりアスタキサンチンが変質したもの。
　効能アスタキサンチンの301.5倍の抗酸化作用と細胞復元力を持つ。
　
　は？魔王級アスタキサンチンか？
　魔王アスタキサンチンじゃないか！

［魔王アスタキサンチンが、鑑定登録されました。］

　まじかよ～！
　そうなると、目の前のモンスターカニの大軍は資源に見えてくるのだ。

　
　だが、そのころ高知県の県庁や、自衛隊にある電話が入ってきていたのだ。
　「早くこちらに派遣しろ！何様のつもりだ！」
　こんな内容の電話が来ていたらしい。
　
シズミ（元お嬢様組）
「あ～、あの自称・実業家のですか～。」
　自称・実業家？なにそれ？

　シズネ（元お嬢様組）
「平たく言うと、詐欺師です。」

　レミ（元お嬢様組）
「国会議員当選を狙っていますね。」
と、念話での話をしていたら兵庫県のことなんて知った事かと、目上目線で言ってくるヤツが増殖する可能性も言ってきた。

　うるさいから［裏切り者］組だったら焼くか？と思っていたら、兵庫県と大阪府の副知事が高知県にやってきたらしい。
　そして、彼らいわくいつまで待っても来ないので、迎えに来たという。

　イヤイヤ、オレ達はこの魔王討伐中なのと、そちらに行くとは一切、了解もしていないからね。
　そちらに呼ぶとか言っているけど、それってそちら持ちの旅費だからな！クエスト料も魔王１体最低一兆円からだぞ？　出せるのか？
　まぁ今やっている討伐は、オレの私怨だ！
　私怨と、クエストは全く違うからな！というと、総理官邸に訴えるぞ！とか、かなり間違った事を言い出した。

　「指名クエストは、小型魔王２兆円から～」

　操華（ハナ）（元お嬢様組）　
「ハイ、国からも言っておきます！」

　文句を言い出したらしいが、オレ達はこの魔王カニの甲羅とかも、資源として回収するからやっているだけ！

　御乎幤（おおべ）としては、もう政府からの命令は終了したのと、報酬はたとえ500兆円もらっても利息にすらならないから、報酬不履行で新たな命令は拒否できる。
　だが、そんな論理というか、恥すらもが無いヤツが世の中にはいる。
　
　しかし、オレは黙っている事にした。
　考えて見ろよ～、タクシーだって電車だって乗るのに運賃払うのだぜ～。ただではない。
　そして、戦うのタダだ！なんて言っているか、こちらはまずハラも減る。
　しばらく黙っている事にした。
　は？お前なぜ黙るの？というが、コレは師匠ならそうするから、オレも真似てみた。

　
帰還17日目　異世界355日目 　午前10時

 　あれから10日。今日は休日。
　奮闘して、魔王カニの甲羅も沢山集まったのと、カニを食べていたことによって、栄養不足の一部改善と、レベルが全体的に上がった。

　そして、他の罵詈雑言なども冒険者達はしっかりと聞いた。
　そして、あの異世界で勇者国王や、スカカバ王国や旧ブリントン王国の国王などが、いかに理不尽な事を言っているのかが、よくわかったらしい。

　黙って、待つしか無い時があるのだ。

　そう、先輩達や兄弟子達が言っているのを見た事があったが、そういう事か…。
　
　そして、会議で決まった。オレ達の行動の否定をする者やオレ達に命令をしてくる県や地方自治体には、かかわらない。
　政府発表も、魔王討伐補助の拒否の表面であり、自力討伐の表明とみなさせる事にした。

　そして、今も［裏切り者］達が沢山いる地域もかかわらない事にした。
　え～、なぜかっていうと、そいつ等と戦闘になれば内乱になりかねないからな。
　え？復讐しないのかって？
　う～ん、今はナツ達と安全に過ごせるようにタウリーンとかの都市の再興と、そして、地球との自由往来ができるようにすることだな。
　　
　復讐は、用意がしっかりと出来た後だ。