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第一章 はじめまして
第3話 魔法は使えないんです
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サンはマーサに「いい感じ」とはなんなのかを説明すると「それってホントに大丈夫なの?」とサンに確認するが、サンも「分からない」と正直に言うしかない。
「そうなのね。まあ、それでもあなたが私達の息子であるのは確かなのよね」
「うん、それは大丈夫」
「分かったわ。でも、今日は大人しくしていなさい」
「え……でも」
サンはマーサに大人しくしているように言われてから、父親の方を見る。
「ん? どうした?」
「いや、ほら。水汲みを頼まれていたでしょ」
「ああ、そ「そんなのこの人がやるからいいわよ」……うだな」
サンは少し父親が気の毒になるが、ちょっと気になっていたことを聞いてみる。
「ねえ、なんでポンプを使わないの?」
「「ポンプ?」」
「そう、ポンプだよ」
「サン、ホントに大丈夫なんだよね?」
「うん、僕は大丈夫だよ。だから、なんでポンプを使わないの?」
「サン、その前にだけど、ポンプってなんだ?」
「え? あ!」
サンは両親に対しなんで井戸にポンプを設置していないのかが不思議になり、聞いてみるが両親二人はそもそもポンプ自体がどういう物なのかが分かっていなかった。
「あれ? もしかしてないの?」
「サン、もしかしてそれはニホンに関係あるものなのか?」
「うん、日本と言うか普通にあるものだと思っていたんだけど、ないの?」
「ないな。少なくとも俺は聞いたことも見たこともない。マーサは?」
「あんたが知らないのに私が知っている訳ないでしょ。で、それはどういう物なの?」
「えっとね……」
サンは両親に説明する為に絵を描いて説明しようと思ったが、まず紙がない。ついでに言えば、筆記具もない。
「困ったな」
「どうした?」
「あのね、絵を描いて説明したいんだけど、書くものがないなと思って」
「そうか。じゃあ、ちょっと待ってろ」
父親はそう言うと部屋から出ると、手には三十センチメートル四方くらいの板と木炭を持って戻って来た。
「ちと、手は汚れるが書くには十分だろ。ほれ」
「うん、ありがと」
サンは父親から板と木炭を渡されると汲み上げ式ポンプの断面図を書いて父親に見せる。
「ほう、なるほど」
「あんた、分かるのかい?」
「いや、サッパリだ。サン、説明してもらえるか」
「……うん」
サンは父親が何に対しなるほどと言ったのか気にはなったが、先ずは簡単に汲み上げ式ポンプの説明をすると、今度は理解出来たらしくしきりに頷いている。
「ねえ、作れる?」
「作れるだ? 誰に向かって言ってるんだ。俺だぞ」
『フン!』と胸を張る父親だが、サンには少しだけ不安が残る。
「お母さん、お父さんはこう言っているけど大丈夫なのかな?」
「ふふふ、サン。お父さんはこれでも鍛冶屋よ。忘れちゃった?」
「忘れてはないよ。でもさ……」
「まあ、お父さんだからね。サンが不安に思うのは分かるけど……そんなに心配なら側で見ていればいいじゃない」
「え、いいの?」
「私も一緒に見ているから危なくはないでしょ。ね、あんたいいでしょ」
「ああ、いいぞ。じゃあ、作ってみるか」
「うん!」
その後は、家族で父親の仕事場でもある鍛冶場へと足を踏み入れ、父親が作業するのをジッと見詰める。
「サン、お前がこの先、俺の仕事を継ぐかどうかは分からないが俺の仕事を見ておくのも悪くはないだろ」
「うん、僕とっても楽しみだよ」
「そうかそうか、ふふふ」
父親は機嫌良さそうにサンが書いた図面を元に鋳型を作っていく。
「まずは試作だからな。寸法は適当だけどなんとかなるだろ。サンも何か気付いたら言ってくれ」
「うん、分かった」
父親が作った鋳型に溶けた鉛を流し込む。
「ねえ、鉄じゃないの?」
「先ずは試作だからな。何かあっても加工がしやすい鉛で試すんだ」
「へぇ~」
「よっと……これで後は冷えて固まるのを待てばいい」
冷えるのをジッと待っているのかと父親に聞けば、急激に冷やすと壊れるからと説明され、それもそうかと納得するサンだが、もう一つ気になっていることを聞いてみる。
「魔法は使わないの?」
「ん? そうか、まだお前には言ってなかったな」
「うん、多分教えて貰ってはないかな」
「そうか。あのな……俺達は使えないぞ」
「えぇ!」
「まあ、正確には放出系の魔法が使えないってだけで、肉体強化魔法は使えるがな」
「嘘!」
「お前に嘘ついてもしょうがないだろ」
「いや、そうだけど……魔法が使えるかも……って楽しみにしていたのに……」
「まあ、そう腐るな。その分、俺達は手先が器用だからな。そろそろいいかな。どれ」
父親からドワーフである為、放出系の魔法は使えないと言われるが、どうしても魔法を使ってみたいサンは肉体強化が使えるのなら、魔力はあるんだから放出系も使えるんじゃないかと作業をしている父親の横で考える。
「ここはやっぱり、源だよね。体の中にあるハズだから……あ! これかも」
「サン、どうしたの?」
「お母さん、魔力って体の中にあるんでしょ?」
「まあ、そう言われてはいるけど、私には分からないわよ」
「そうなんだ。でも、ソレっぽいのは見付けたよ」
「え?」
サンの言葉にマーサは少し驚くが、魔力の塊が見つかったとて、どうにもならないだろうと高を括っていた。
「うん、やっぱりこれだ。試しに……動いた!」
「そうなのね。まあ、それでもあなたが私達の息子であるのは確かなのよね」
「うん、それは大丈夫」
「分かったわ。でも、今日は大人しくしていなさい」
「え……でも」
サンはマーサに大人しくしているように言われてから、父親の方を見る。
「ん? どうした?」
「いや、ほら。水汲みを頼まれていたでしょ」
「ああ、そ「そんなのこの人がやるからいいわよ」……うだな」
サンは少し父親が気の毒になるが、ちょっと気になっていたことを聞いてみる。
「ねえ、なんでポンプを使わないの?」
「「ポンプ?」」
「そう、ポンプだよ」
「サン、ホントに大丈夫なんだよね?」
「うん、僕は大丈夫だよ。だから、なんでポンプを使わないの?」
「サン、その前にだけど、ポンプってなんだ?」
「え? あ!」
サンは両親に対しなんで井戸にポンプを設置していないのかが不思議になり、聞いてみるが両親二人はそもそもポンプ自体がどういう物なのかが分かっていなかった。
「あれ? もしかしてないの?」
「サン、もしかしてそれはニホンに関係あるものなのか?」
「うん、日本と言うか普通にあるものだと思っていたんだけど、ないの?」
「ないな。少なくとも俺は聞いたことも見たこともない。マーサは?」
「あんたが知らないのに私が知っている訳ないでしょ。で、それはどういう物なの?」
「えっとね……」
サンは両親に説明する為に絵を描いて説明しようと思ったが、まず紙がない。ついでに言えば、筆記具もない。
「困ったな」
「どうした?」
「あのね、絵を描いて説明したいんだけど、書くものがないなと思って」
「そうか。じゃあ、ちょっと待ってろ」
父親はそう言うと部屋から出ると、手には三十センチメートル四方くらいの板と木炭を持って戻って来た。
「ちと、手は汚れるが書くには十分だろ。ほれ」
「うん、ありがと」
サンは父親から板と木炭を渡されると汲み上げ式ポンプの断面図を書いて父親に見せる。
「ほう、なるほど」
「あんた、分かるのかい?」
「いや、サッパリだ。サン、説明してもらえるか」
「……うん」
サンは父親が何に対しなるほどと言ったのか気にはなったが、先ずは簡単に汲み上げ式ポンプの説明をすると、今度は理解出来たらしくしきりに頷いている。
「ねえ、作れる?」
「作れるだ? 誰に向かって言ってるんだ。俺だぞ」
『フン!』と胸を張る父親だが、サンには少しだけ不安が残る。
「お母さん、お父さんはこう言っているけど大丈夫なのかな?」
「ふふふ、サン。お父さんはこれでも鍛冶屋よ。忘れちゃった?」
「忘れてはないよ。でもさ……」
「まあ、お父さんだからね。サンが不安に思うのは分かるけど……そんなに心配なら側で見ていればいいじゃない」
「え、いいの?」
「私も一緒に見ているから危なくはないでしょ。ね、あんたいいでしょ」
「ああ、いいぞ。じゃあ、作ってみるか」
「うん!」
その後は、家族で父親の仕事場でもある鍛冶場へと足を踏み入れ、父親が作業するのをジッと見詰める。
「サン、お前がこの先、俺の仕事を継ぐかどうかは分からないが俺の仕事を見ておくのも悪くはないだろ」
「うん、僕とっても楽しみだよ」
「そうかそうか、ふふふ」
父親は機嫌良さそうにサンが書いた図面を元に鋳型を作っていく。
「まずは試作だからな。寸法は適当だけどなんとかなるだろ。サンも何か気付いたら言ってくれ」
「うん、分かった」
父親が作った鋳型に溶けた鉛を流し込む。
「ねえ、鉄じゃないの?」
「先ずは試作だからな。何かあっても加工がしやすい鉛で試すんだ」
「へぇ~」
「よっと……これで後は冷えて固まるのを待てばいい」
冷えるのをジッと待っているのかと父親に聞けば、急激に冷やすと壊れるからと説明され、それもそうかと納得するサンだが、もう一つ気になっていることを聞いてみる。
「魔法は使わないの?」
「ん? そうか、まだお前には言ってなかったな」
「うん、多分教えて貰ってはないかな」
「そうか。あのな……俺達は使えないぞ」
「えぇ!」
「まあ、正確には放出系の魔法が使えないってだけで、肉体強化魔法は使えるがな」
「嘘!」
「お前に嘘ついてもしょうがないだろ」
「いや、そうだけど……魔法が使えるかも……って楽しみにしていたのに……」
「まあ、そう腐るな。その分、俺達は手先が器用だからな。そろそろいいかな。どれ」
父親からドワーフである為、放出系の魔法は使えないと言われるが、どうしても魔法を使ってみたいサンは肉体強化が使えるのなら、魔力はあるんだから放出系も使えるんじゃないかと作業をしている父親の横で考える。
「ここはやっぱり、源だよね。体の中にあるハズだから……あ! これかも」
「サン、どうしたの?」
「お母さん、魔力って体の中にあるんでしょ?」
「まあ、そう言われてはいるけど、私には分からないわよ」
「そうなんだ。でも、ソレっぽいのは見付けたよ」
「え?」
サンの言葉にマーサは少し驚くが、魔力の塊が見つかったとて、どうにもならないだろうと高を括っていた。
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