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第28話 イキます!
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「いつ、掛かって来てもいいぞ」
十メートルほど離れた位置から、そう言ってドリーは恒を見据える。
「こりゃ、逃げられそうにはないね」
『もう、玉砕覚悟で行くしかないんじゃない?』
「他人事だと思って……」
「来ないのか? そっちが来ないなら……」
「あぁ~待って待って!」
ドリーが我慢出来ないといった様子で恒を挑発するが、恒はそれを慌てて止めると一度、大きく深呼吸をする。
「スゥ~ハァ~スゥ~、よし! 小夜、頼むぞ」
『了解なのじゃ。なます斬りにするくらいにキレ味マシマシで行くのじゃ!』
「違う! そうじゃない! 逆だから、思いっ切り鈍にしといて」
『え~そんなのじゃ妾のいいところは見せられないのじゃ!』
「だから、一合でドリーの剣を斬っちゃったらすぐに終わるでしょ。だから、そうならないために、ここは鈍でお願い」
『ふぅ~分かったのじゃ』
「ありがとう。じゃ、ドリーお待たせ」
「もう相談はいいのか?」
「うん、いいよ。そっちこそ準備はいいの?」
「ふん。ワタル程度に準備などいらんわ」
「まあ、いいけどさ。じゃあ、いくよ」
「おう!」
恒は小夜を黒鞘から抜くと正眼に構える。恒には剣術の心得はないが普段から見ている時代劇や映画などを見た記憶から、なんとなくこういう構えの方がいいのかなという程度の構えだが、お詫びチートの中に剣術補正のスキルがあったのかなんとなくサマになっている。
「ふむ。初心者の様にも思えるが、どことなくスキは見えないな。まあ、ここまでは及第点だな。それで、どうする?」
「どうする? って?」
ドリーから構えについては及第点をもらえたが、そのドリーからどうすると聞かれ困惑する恒だった。
「ワタルが『いく』というから、掛かってくるのを待っているんだがな。やはり、ワシから仕掛けた方がいいか?」
「もう、せっかちだな。こういうのって一度、見合う物じゃないの?」
「そうか? まあ、来るなら好きにくるがいい」
「分かったよ」
恒は一度、正眼の構えを解き、右手に握った小夜を下に向けるとドリー目掛けて走り出す。
「やっと来るか」
ドリーは恒の一合目に剣先を合わせるべく正眼に構える。
もう少しでドリーの間合いに入る。そう思われた瞬間、恒は思いっ切り跳躍すると、ドリーの頭を目掛けて小夜を振り下ろす。
「悪くはない……が、単純過ぎる」
ドリーはそう呟くと振り下ろされる恒の剣先を弾く。
剣先を弾かれた恒は空中でバランスを崩すが、なんとかドリーの背後へと着地すると、すぐに振り向きざまに逆袈裟に小夜を振り抜くが、ドリーは後ろを見ずに剣の腹でそれを受け止める。
「くっ……」
「どうした? それだけで終わりか?」
ドリーはそういうと振り返り、恒に剣先を向ける。
ここまで二回の攻撃を弾かれた恒は一撃狙いじゃダメだなと考えを改める。
「よし、手数でいくか」
恒はそう呟くとドリー目掛けて、一回、二回、三回と連続して叩き込む。
「ほう。今度は手数を増やしてきたか。その考えはいいが、いつまで続くかな」
「そりゃ、ドリーが耐えきれなくなるまでに決まっている……でしょ!」
恒は連撃の合間に、ちょっと加減を強くした攻撃を三回に一回、五回に一回といった感じで規則的じゃなく不規則気味に力の加減を変化させていた。
「少しは考えて振ってきたな……ふっ」
「ドリーもちょっと捌くのが雑になってきてるよ? それに、気付いてる?」
「ん? 何をだ?」
「ふふふ。俺に圧されていることだよ」
「ふん! 何をバカなことを」
「じゃあ、足下を見てごらんよ」
恒とドリーは撃ち合いながら、そんなことを言い合っていて恒がドリーに足下を確認するように言うと、恒が言うようにドリーの立っていた位置はいつの間にか恒に圧され退がっていたのだ。
「ふははは……」
ドリーは撃ち合っていた手を止めると急に笑い出す。
「どうしたの? 大丈夫?」
「ああ、心配ない。ただ、単純に嬉しいんだ。ワタル、お前の力量は十分に分かった。お前の基礎訓練は修了だ。明日からは依頼を受けるがいい」
「ホント? よかった~こういう地味なのって何気に辛いんだよね」
「そういうな。基礎は大事なことなんだぞ」
「それは分かっているけどさ。それで、ランクはやっぱりGランクからになるのかな」
「その辺りはギルマスが決めることだが、まあGランクはないだろう」
「なら、討伐系の依頼は受けられる?」
「ああ、問題ない」
「分かった。ありがとうね、ドリー」
「「「え~恒だけズルい!」」」
ドリーに太鼓判をもらった恒に対し、明良達三人からは不満が漏れる。
「何がズルいんだ? お前達も見てただろ? ワシを退がらせたんだぞ」
「そりゃ、そうだけど……とにかくズルい!」
「「そうよ、ズルい!」」
ズルいだけを連呼する三人に恒も辟易としているが、それ以上に我慢ならないのはドリーで、三人を叱りつける。
「ズルくない! よし、分かった。なら、お前達もワタルと同じことが出来る様になるまで、ワシが責任持って、面倒を見てやろう。いいか、ワシは決して甘くはないぞ」
ドリーは腕を組み、明良達三人を見下ろしながら、そう宣言する。
「や、やっぱり、俺はのんびり練習しようかなぁ~あ、恒は気にしないでいいから」
「そ、そうね。よく考えれば全然ズルいことなんてないわね。わ、私も自分のペースで頑張らないと」
「じゃ、じゃあ私はもうちょっと支援系の……」
「どこへ行く?」
「「「え?」」」
「練習なら、ここでやれ。心配せんでもいい。ワシがちゃんと見てやる。ちゃんとある程度、出来る様になるまでは責任を持ってやるから。ほれ!」
「「「あぁぁぁ~」」」
十メートルほど離れた位置から、そう言ってドリーは恒を見据える。
「こりゃ、逃げられそうにはないね」
『もう、玉砕覚悟で行くしかないんじゃない?』
「他人事だと思って……」
「来ないのか? そっちが来ないなら……」
「あぁ~待って待って!」
ドリーが我慢出来ないといった様子で恒を挑発するが、恒はそれを慌てて止めると一度、大きく深呼吸をする。
「スゥ~ハァ~スゥ~、よし! 小夜、頼むぞ」
『了解なのじゃ。なます斬りにするくらいにキレ味マシマシで行くのじゃ!』
「違う! そうじゃない! 逆だから、思いっ切り鈍にしといて」
『え~そんなのじゃ妾のいいところは見せられないのじゃ!』
「だから、一合でドリーの剣を斬っちゃったらすぐに終わるでしょ。だから、そうならないために、ここは鈍でお願い」
『ふぅ~分かったのじゃ』
「ありがとう。じゃ、ドリーお待たせ」
「もう相談はいいのか?」
「うん、いいよ。そっちこそ準備はいいの?」
「ふん。ワタル程度に準備などいらんわ」
「まあ、いいけどさ。じゃあ、いくよ」
「おう!」
恒は小夜を黒鞘から抜くと正眼に構える。恒には剣術の心得はないが普段から見ている時代劇や映画などを見た記憶から、なんとなくこういう構えの方がいいのかなという程度の構えだが、お詫びチートの中に剣術補正のスキルがあったのかなんとなくサマになっている。
「ふむ。初心者の様にも思えるが、どことなくスキは見えないな。まあ、ここまでは及第点だな。それで、どうする?」
「どうする? って?」
ドリーから構えについては及第点をもらえたが、そのドリーからどうすると聞かれ困惑する恒だった。
「ワタルが『いく』というから、掛かってくるのを待っているんだがな。やはり、ワシから仕掛けた方がいいか?」
「もう、せっかちだな。こういうのって一度、見合う物じゃないの?」
「そうか? まあ、来るなら好きにくるがいい」
「分かったよ」
恒は一度、正眼の構えを解き、右手に握った小夜を下に向けるとドリー目掛けて走り出す。
「やっと来るか」
ドリーは恒の一合目に剣先を合わせるべく正眼に構える。
もう少しでドリーの間合いに入る。そう思われた瞬間、恒は思いっ切り跳躍すると、ドリーの頭を目掛けて小夜を振り下ろす。
「悪くはない……が、単純過ぎる」
ドリーはそう呟くと振り下ろされる恒の剣先を弾く。
剣先を弾かれた恒は空中でバランスを崩すが、なんとかドリーの背後へと着地すると、すぐに振り向きざまに逆袈裟に小夜を振り抜くが、ドリーは後ろを見ずに剣の腹でそれを受け止める。
「くっ……」
「どうした? それだけで終わりか?」
ドリーはそういうと振り返り、恒に剣先を向ける。
ここまで二回の攻撃を弾かれた恒は一撃狙いじゃダメだなと考えを改める。
「よし、手数でいくか」
恒はそう呟くとドリー目掛けて、一回、二回、三回と連続して叩き込む。
「ほう。今度は手数を増やしてきたか。その考えはいいが、いつまで続くかな」
「そりゃ、ドリーが耐えきれなくなるまでに決まっている……でしょ!」
恒は連撃の合間に、ちょっと加減を強くした攻撃を三回に一回、五回に一回といった感じで規則的じゃなく不規則気味に力の加減を変化させていた。
「少しは考えて振ってきたな……ふっ」
「ドリーもちょっと捌くのが雑になってきてるよ? それに、気付いてる?」
「ん? 何をだ?」
「ふふふ。俺に圧されていることだよ」
「ふん! 何をバカなことを」
「じゃあ、足下を見てごらんよ」
恒とドリーは撃ち合いながら、そんなことを言い合っていて恒がドリーに足下を確認するように言うと、恒が言うようにドリーの立っていた位置はいつの間にか恒に圧され退がっていたのだ。
「ふははは……」
ドリーは撃ち合っていた手を止めると急に笑い出す。
「どうしたの? 大丈夫?」
「ああ、心配ない。ただ、単純に嬉しいんだ。ワタル、お前の力量は十分に分かった。お前の基礎訓練は修了だ。明日からは依頼を受けるがいい」
「ホント? よかった~こういう地味なのって何気に辛いんだよね」
「そういうな。基礎は大事なことなんだぞ」
「それは分かっているけどさ。それで、ランクはやっぱりGランクからになるのかな」
「その辺りはギルマスが決めることだが、まあGランクはないだろう」
「なら、討伐系の依頼は受けられる?」
「ああ、問題ない」
「分かった。ありがとうね、ドリー」
「「「え~恒だけズルい!」」」
ドリーに太鼓判をもらった恒に対し、明良達三人からは不満が漏れる。
「何がズルいんだ? お前達も見てただろ? ワシを退がらせたんだぞ」
「そりゃ、そうだけど……とにかくズルい!」
「「そうよ、ズルい!」」
ズルいだけを連呼する三人に恒も辟易としているが、それ以上に我慢ならないのはドリーで、三人を叱りつける。
「ズルくない! よし、分かった。なら、お前達もワタルと同じことが出来る様になるまで、ワシが責任持って、面倒を見てやろう。いいか、ワシは決して甘くはないぞ」
ドリーは腕を組み、明良達三人を見下ろしながら、そう宣言する。
「や、やっぱり、俺はのんびり練習しようかなぁ~あ、恒は気にしないでいいから」
「そ、そうね。よく考えれば全然ズルいことなんてないわね。わ、私も自分のペースで頑張らないと」
「じゃ、じゃあ私はもうちょっと支援系の……」
「どこへ行く?」
「「「え?」」」
「練習なら、ここでやれ。心配せんでもいい。ワシがちゃんと見てやる。ちゃんとある程度、出来る様になるまでは責任を持ってやるから。ほれ!」
「「「あぁぁぁ~」」」
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