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◆分かって貰えませんでした
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ガンツさんと一緒に車でレース場へと向かう。
「ケイン、遅いよ。」
「サム兄さん。もう慣らしは済んだの?」
「ああ、ちょっと足りなかったから、その辺走り回ってやっとだよ。」
「走り回ってたって、いったい何時に来たのさ。」
「遅れちゃいけないと思って、十時くらいには、向こうを出たぞ。」
「それでも十分早いよ。」
「それだけ、待ちきれないんだよ。なあ、もういいだろ?早く走らせてくれよ~」
「何、何の禁断症状が出てるの?怖いから、しばらく向こうに行っててくれるかな。」
「何でだよ~走らせてくれよ~」
「大人しく待っててね。じゃ行こうかガンツさん。」
「アレを放っとくのか?」
「今、触ると火傷するから、いいの。」
セバス様も到着していたので、先に納品を済ませてしまう。
「セバス様、お待たせしました。」
「いえ、こちらこそ。我慢出来ずに早めに来ていたんで、お構いなく。」
「では、走られる前にお約束のブレスレットを納品させて下さい。」
「はい、ではこちらの上に出して頂けますか。」
セバス様は用意した簡易テーブルの上にブレスレットを出していく。
セバス様が側にいたメイドさんに頼み数えてもらっている間に新しい車の感想を聞いておく。
「まだ、私は実際に運転してはいないので、運転に関してはダンに聞いて下さい。後、あの装備の類は素晴らしいですね。特に運転席と助手席で全ての窓の上げ下げとドアロックが出来るのはありがたいとして。あのシートレイアウトを変更が出来るのはは本当に素晴らしいです。それぞれを回転させることが出来るので、色んな組み合わせで対面にしたりとか、色々なシート配列が出来るのはいいですね。」
「ありがとうございます。喜んで頂いてなによりです。」
「少しばかり興奮してしまいましたね。では、納品数の確認も出来ました。後でメイド達にはそれぞれ装備させて頂きます。本当にありがとうございました。」
「いえ、ではレース場に車を入れてもらえますか。」
「分かりました。ダン!車を中へ入れて下さい。」
「はい、セバス様。」
「では、私も助手席で体感しますので。ここで失礼しますね。感想は後ほど。」
「はい、お願いします。」
セバス様が車の助手席に乗り込むと、ゆっくりとレース場の中へと進む。
「なあ、ケイン。俺はまだダメなのか。」
「最初はセバス様の確認が終わるまで待ってて。」
「ちぇ、分かったよ。」
「ガンツさんもおかしい所がないか見ててね。」
「ああ、しっかりと見てるから任せとけ。」
携帯電話が鳴り、出るとセバス様からの着信だった。
『ケイン様、では今から試験走行に入ります。三周ほど軽く走った後に例の装備を試しますので。』
「分かりました。怪我しない様にお願いします。」
『はい、では参ります。』
スタートシグナルが青に替わり、ゆっくりと進み出す。
「まあ、ダンさんだからな。」
三週目が終わり四週目に入る直前に急激に加速していく。
「ああ、始まった。セバス様が最終コーナー出口で待ちきれなかったみたいだね。」
「それっぽいな。あのせっかちなじいさんなら、そうするだろうな。しかし、速いな。」
「ねえ、作っといてなんだけど、大丈夫なのかな。」
「とりあえず車体に関しては問題なそうだったぞ。」
「そうだね、ただ車高が少し高い分、コーナーで片輪が浮いちゃうね。」
「それは重心が高い分、しょうがないだろう。」
「それは、そうだけどさあ。」
セバス様が戻って来て、ダンさんも少しふらつきながら出て来た。
どうやら助手席と運転席を入れ替わるみたいだ。
セバス様が俺に気付きサムズアップして来た。
「あのじいさん、ヤル気だな。」
「ガンツさんにも分かる?」
「ああ、久々のレース場に前の自分の車以上の速さが体感出来たんだ。ヤル気にもなるってもんだ。羨ましいな。」
「ガンツさんは自分で作れていつでも走らせることが出来るのに?」
「ああ、何せまだ、その車がないからな。あのとんでもない速さで走らせることが出来るのは、今はあのじいさんだけだ。羨ましくない訳がない。」
「あ、走り出すよ。」
スタートシグナルが青に変わった瞬間に走り出す。
やっぱりダンさんとは違うなと思って見ていたが、最初のコーナーに突入した瞬間からスキール音が鳴り止まない。
「ああ、ダンさんシェイクされてるだろうな。車の中が汚れてませんように!」
「なあ、まだ使ってないんだよな。」
「多分、そうだと思うよ。使うなら、そこの最終コーナーを出てからだろうね。」
「だよな。じゃ、じっくり見させてもらおうか。」
待っているとスキール音が近づいて来る。
「来るよガンツさん、しっかり見ててね。」
「おうよ。」
セバス様が運転する車が最終コーナーを立ち上がりストレートへと迫って来る。
『ヒュン』と音だけ残して何かが通り過ぎたと思ったらスキール音が聞こえた。
「なあ、ケインは今の見えたか?」
「いや、全然。車ってあんな速さで走れるんだね。」
「ああ、しかも曲がっていったぞ。」
「ねえ、信じられないよね。」
その後も何とか見ようと頑張ったが、来ると分かっていたのに見逃していた。
五周してセバス様が妙にスッキリした顔で戻って来たが、ダンさんが降りてこない。
「頼むからゲロだけは勘弁だよ。」と願いつつ助手席のドアを開けるとダンさんの目の焦点があっていない。
「ダンさん?ダンさ~ん、生きてますか?起きられますか?」
「あ、ああケイン君、今僕は生きているのかな?」
「生きてますよ。生きてますから、まずは車から降りましょうか?」
「車…車だったのかな。今、私が乗っていたのは本当に車なのかな。」
「ガンツさん、降ろすの手伝って!」
「あ、ああ、分かった。」
ガンツさんと二人掛で何とかダンさんを車から下ろすことが出来た。
セバス様はその間に何をしてたかと言うと、ず~っとさっきの走りを噛み締めている様だった。
「それでセバス様、何か問題点とかあったかを確認したいのですが。」
「問題?とんでもない。アレは素晴らしい物です。ビリーにも是非、この装備を教えてあげて下さい。」
「それは構いませんが、一応ガンツさんにも教えているので。」
「何と!あのじいさんもすでに取得済みでしたか。だが、実際に走ったのはまだ私だけと思います。アドバンテージはまだ私の手の中ですね。ふふふ。」
「それはいいんですけど、ダンさんはどうなんですか?いざと言う時に今回のことがトラウマとなって使えないと言うことにはなりませんよね。」
「…その辺は私には何とも言えません。」
「(トラウマ植え付けたのはセバス様なんだけどな~)」
「ですが、出発日までには何とかして見せましょう。彼にも騎士としての意地と埃があるはずです。」
「その辺の匙加減はお任せします。このレース場も好きに使って下さい。」
「ありがとうございます。では、本日はこれで失礼させて頂きます。」
「はい、ではまた何かありましたらご連絡下さい。」
セバス様が去って行ったので、サム兄さんに走行許可を出すと「おう!」とだけ言い残しレース場へと走って行く。
最初は恐る恐るで走っていたサム兄さんだったが、コーナー進入の度にバンク角が深くなり、ついにはステップを削るまでの深さにまで倒していた。
「ダンにもあの位の度胸があればな。」
「弟としては複雑だけどね。サム兄さんには少しは恐怖心を持って欲しいんだけどね。」
「まあ、あの調子じゃ無理だな。」
「だよね~」
一〇周ほど走ったところでサム兄さんにピットインの合図を出すと次の周で帰って来た。
「ケイン、凄いなこれ!」
「喜んで貰えて嬉しいんだけど、もうここを出るから。」
「何でだよ。もう少し走らせてくれよ。」
「サム兄さん、高速で走り続けるのは自分が思っているより疲れているからね。サム兄さんはこれから、それで家まで帰るんでしょ?」
「まあ、そうだよな。」
「レース場の感覚のままで、走り出したら怪我するからね。絶対に飛ばさないでよ。」
「え~折角慣らし運転が終わったんだから、飛ばして帰ろうと思っていたのに何でだよ。」
「ハァ~来る時もそれで来たんでしょ?」
「ああ、来たぞ。ゆっくりだけどな。」
「それで、路面の状態とかレース場と比べてどうだった?」
「まあ、良くはないな。あちこちに石は転がっているし穴も空いていたりな。」
「そんな道で飛ばして帰ったらどうなるか想像つかないの?」
「ん?どうなるんだ?」
「飛ぶか滑るか転がるかだね。」
「そうか?来るときは、はっきり見えたから、そうはならないぞ。」
「あのね、サム兄さん。来るときは慣らし運転の途中だから落としていたでしょ?それをさっきの速さで行ったら路面のギャップなんて分からないよね。」
「そう言われればそうかもな。」
『収納』と呟きバイクを収納する。
「ケイン、何をするんだよ。」
「サム兄さんを死なせる訳にはいかないから、しばらく預かることにした。」
「何でだ。俺にくれたんじゃないのかよ!」
「サム兄さんは、もう少し怖さを覚えて欲しい。俺は今、サム兄さんにバイクを与えたことを後悔しているよ。」
「はぁ信じられねぇ。何で弟にそこまで言われなきゃいけないんだ。いいから返せよ!」
「嫌だ、絶対に出さない。」
「ケイン、お前…」
「待て!サム、今はケインの方が正しいとワシは思う。」
「ガンツさん…ガンツさんまでアイツの味方すんのかよ。」
「ワシはケインというより旦那の味方じゃな。だから、ケインの言っていることも分かる。だから、なぜお前が分からないのかが不思議でたまらん。」
「何でだよ!俺だって怪我するつもりなんてないし、無事に家まで帰るつもりだ。」
「さっきの速さでか?」
「ああ、さっきの感覚がまだ抜けない。忘れない内にまだ乗りたいんだよ。それなのに…ケイン、頼むよ出してくれ。」
「サム!お前、ケインの言うことが分からんのか。」
「だから、怪我しないようにするって言ってるじゃん。」
「違う!ケインはレース場みたいに安全に飛ばせる場所なら好きに走っても構わんと言っている、だが、街道の様に荒れた路面であんな速度で走るのをやめてくれと言っているんじゃ。」
「だから、俺はヘマしないって、さっきから言ってるじゃん。分かってないのはケインやガンツさんだよ。」
「ハァ~ケイン、ワシには説得は無理じゃ。」
「うん、ありがとうガンツさん。俺の為に。」
「いや、ワシは旦那の家の為にやったにすぎん。」
「さっきから、何なんだよ。いいからバイクを返せよ。」
「サム兄さん、俺は兄さんが改めるまでは返さないからね。絶対に!」
家へゲートを開くとサム兄さんをゲートに放り込む。
「ケイン、遅いよ。」
「サム兄さん。もう慣らしは済んだの?」
「ああ、ちょっと足りなかったから、その辺走り回ってやっとだよ。」
「走り回ってたって、いったい何時に来たのさ。」
「遅れちゃいけないと思って、十時くらいには、向こうを出たぞ。」
「それでも十分早いよ。」
「それだけ、待ちきれないんだよ。なあ、もういいだろ?早く走らせてくれよ~」
「何、何の禁断症状が出てるの?怖いから、しばらく向こうに行っててくれるかな。」
「何でだよ~走らせてくれよ~」
「大人しく待っててね。じゃ行こうかガンツさん。」
「アレを放っとくのか?」
「今、触ると火傷するから、いいの。」
セバス様も到着していたので、先に納品を済ませてしまう。
「セバス様、お待たせしました。」
「いえ、こちらこそ。我慢出来ずに早めに来ていたんで、お構いなく。」
「では、走られる前にお約束のブレスレットを納品させて下さい。」
「はい、ではこちらの上に出して頂けますか。」
セバス様は用意した簡易テーブルの上にブレスレットを出していく。
セバス様が側にいたメイドさんに頼み数えてもらっている間に新しい車の感想を聞いておく。
「まだ、私は実際に運転してはいないので、運転に関してはダンに聞いて下さい。後、あの装備の類は素晴らしいですね。特に運転席と助手席で全ての窓の上げ下げとドアロックが出来るのはありがたいとして。あのシートレイアウトを変更が出来るのはは本当に素晴らしいです。それぞれを回転させることが出来るので、色んな組み合わせで対面にしたりとか、色々なシート配列が出来るのはいいですね。」
「ありがとうございます。喜んで頂いてなによりです。」
「少しばかり興奮してしまいましたね。では、納品数の確認も出来ました。後でメイド達にはそれぞれ装備させて頂きます。本当にありがとうございました。」
「いえ、ではレース場に車を入れてもらえますか。」
「分かりました。ダン!車を中へ入れて下さい。」
「はい、セバス様。」
「では、私も助手席で体感しますので。ここで失礼しますね。感想は後ほど。」
「はい、お願いします。」
セバス様が車の助手席に乗り込むと、ゆっくりとレース場の中へと進む。
「なあ、ケイン。俺はまだダメなのか。」
「最初はセバス様の確認が終わるまで待ってて。」
「ちぇ、分かったよ。」
「ガンツさんもおかしい所がないか見ててね。」
「ああ、しっかりと見てるから任せとけ。」
携帯電話が鳴り、出るとセバス様からの着信だった。
『ケイン様、では今から試験走行に入ります。三周ほど軽く走った後に例の装備を試しますので。』
「分かりました。怪我しない様にお願いします。」
『はい、では参ります。』
スタートシグナルが青に替わり、ゆっくりと進み出す。
「まあ、ダンさんだからな。」
三週目が終わり四週目に入る直前に急激に加速していく。
「ああ、始まった。セバス様が最終コーナー出口で待ちきれなかったみたいだね。」
「それっぽいな。あのせっかちなじいさんなら、そうするだろうな。しかし、速いな。」
「ねえ、作っといてなんだけど、大丈夫なのかな。」
「とりあえず車体に関しては問題なそうだったぞ。」
「そうだね、ただ車高が少し高い分、コーナーで片輪が浮いちゃうね。」
「それは重心が高い分、しょうがないだろう。」
「それは、そうだけどさあ。」
セバス様が戻って来て、ダンさんも少しふらつきながら出て来た。
どうやら助手席と運転席を入れ替わるみたいだ。
セバス様が俺に気付きサムズアップして来た。
「あのじいさん、ヤル気だな。」
「ガンツさんにも分かる?」
「ああ、久々のレース場に前の自分の車以上の速さが体感出来たんだ。ヤル気にもなるってもんだ。羨ましいな。」
「ガンツさんは自分で作れていつでも走らせることが出来るのに?」
「ああ、何せまだ、その車がないからな。あのとんでもない速さで走らせることが出来るのは、今はあのじいさんだけだ。羨ましくない訳がない。」
「あ、走り出すよ。」
スタートシグナルが青に変わった瞬間に走り出す。
やっぱりダンさんとは違うなと思って見ていたが、最初のコーナーに突入した瞬間からスキール音が鳴り止まない。
「ああ、ダンさんシェイクされてるだろうな。車の中が汚れてませんように!」
「なあ、まだ使ってないんだよな。」
「多分、そうだと思うよ。使うなら、そこの最終コーナーを出てからだろうね。」
「だよな。じゃ、じっくり見させてもらおうか。」
待っているとスキール音が近づいて来る。
「来るよガンツさん、しっかり見ててね。」
「おうよ。」
セバス様が運転する車が最終コーナーを立ち上がりストレートへと迫って来る。
『ヒュン』と音だけ残して何かが通り過ぎたと思ったらスキール音が聞こえた。
「なあ、ケインは今の見えたか?」
「いや、全然。車ってあんな速さで走れるんだね。」
「ああ、しかも曲がっていったぞ。」
「ねえ、信じられないよね。」
その後も何とか見ようと頑張ったが、来ると分かっていたのに見逃していた。
五周してセバス様が妙にスッキリした顔で戻って来たが、ダンさんが降りてこない。
「頼むからゲロだけは勘弁だよ。」と願いつつ助手席のドアを開けるとダンさんの目の焦点があっていない。
「ダンさん?ダンさ~ん、生きてますか?起きられますか?」
「あ、ああケイン君、今僕は生きているのかな?」
「生きてますよ。生きてますから、まずは車から降りましょうか?」
「車…車だったのかな。今、私が乗っていたのは本当に車なのかな。」
「ガンツさん、降ろすの手伝って!」
「あ、ああ、分かった。」
ガンツさんと二人掛で何とかダンさんを車から下ろすことが出来た。
セバス様はその間に何をしてたかと言うと、ず~っとさっきの走りを噛み締めている様だった。
「それでセバス様、何か問題点とかあったかを確認したいのですが。」
「問題?とんでもない。アレは素晴らしい物です。ビリーにも是非、この装備を教えてあげて下さい。」
「それは構いませんが、一応ガンツさんにも教えているので。」
「何と!あのじいさんもすでに取得済みでしたか。だが、実際に走ったのはまだ私だけと思います。アドバンテージはまだ私の手の中ですね。ふふふ。」
「それはいいんですけど、ダンさんはどうなんですか?いざと言う時に今回のことがトラウマとなって使えないと言うことにはなりませんよね。」
「…その辺は私には何とも言えません。」
「(トラウマ植え付けたのはセバス様なんだけどな~)」
「ですが、出発日までには何とかして見せましょう。彼にも騎士としての意地と埃があるはずです。」
「その辺の匙加減はお任せします。このレース場も好きに使って下さい。」
「ありがとうございます。では、本日はこれで失礼させて頂きます。」
「はい、ではまた何かありましたらご連絡下さい。」
セバス様が去って行ったので、サム兄さんに走行許可を出すと「おう!」とだけ言い残しレース場へと走って行く。
最初は恐る恐るで走っていたサム兄さんだったが、コーナー進入の度にバンク角が深くなり、ついにはステップを削るまでの深さにまで倒していた。
「ダンにもあの位の度胸があればな。」
「弟としては複雑だけどね。サム兄さんには少しは恐怖心を持って欲しいんだけどね。」
「まあ、あの調子じゃ無理だな。」
「だよね~」
一〇周ほど走ったところでサム兄さんにピットインの合図を出すと次の周で帰って来た。
「ケイン、凄いなこれ!」
「喜んで貰えて嬉しいんだけど、もうここを出るから。」
「何でだよ。もう少し走らせてくれよ。」
「サム兄さん、高速で走り続けるのは自分が思っているより疲れているからね。サム兄さんはこれから、それで家まで帰るんでしょ?」
「まあ、そうだよな。」
「レース場の感覚のままで、走り出したら怪我するからね。絶対に飛ばさないでよ。」
「え~折角慣らし運転が終わったんだから、飛ばして帰ろうと思っていたのに何でだよ。」
「ハァ~来る時もそれで来たんでしょ?」
「ああ、来たぞ。ゆっくりだけどな。」
「それで、路面の状態とかレース場と比べてどうだった?」
「まあ、良くはないな。あちこちに石は転がっているし穴も空いていたりな。」
「そんな道で飛ばして帰ったらどうなるか想像つかないの?」
「ん?どうなるんだ?」
「飛ぶか滑るか転がるかだね。」
「そうか?来るときは、はっきり見えたから、そうはならないぞ。」
「あのね、サム兄さん。来るときは慣らし運転の途中だから落としていたでしょ?それをさっきの速さで行ったら路面のギャップなんて分からないよね。」
「そう言われればそうかもな。」
『収納』と呟きバイクを収納する。
「ケイン、何をするんだよ。」
「サム兄さんを死なせる訳にはいかないから、しばらく預かることにした。」
「何でだ。俺にくれたんじゃないのかよ!」
「サム兄さんは、もう少し怖さを覚えて欲しい。俺は今、サム兄さんにバイクを与えたことを後悔しているよ。」
「はぁ信じられねぇ。何で弟にそこまで言われなきゃいけないんだ。いいから返せよ!」
「嫌だ、絶対に出さない。」
「ケイン、お前…」
「待て!サム、今はケインの方が正しいとワシは思う。」
「ガンツさん…ガンツさんまでアイツの味方すんのかよ。」
「ワシはケインというより旦那の味方じゃな。だから、ケインの言っていることも分かる。だから、なぜお前が分からないのかが不思議でたまらん。」
「何でだよ!俺だって怪我するつもりなんてないし、無事に家まで帰るつもりだ。」
「さっきの速さでか?」
「ああ、さっきの感覚がまだ抜けない。忘れない内にまだ乗りたいんだよ。それなのに…ケイン、頼むよ出してくれ。」
「サム!お前、ケインの言うことが分からんのか。」
「だから、怪我しないようにするって言ってるじゃん。」
「違う!ケインはレース場みたいに安全に飛ばせる場所なら好きに走っても構わんと言っている、だが、街道の様に荒れた路面であんな速度で走るのをやめてくれと言っているんじゃ。」
「だから、俺はヘマしないって、さっきから言ってるじゃん。分かってないのはケインやガンツさんだよ。」
「ハァ~ケイン、ワシには説得は無理じゃ。」
「うん、ありがとうガンツさん。俺の為に。」
「いや、ワシは旦那の家の為にやったにすぎん。」
「さっきから、何なんだよ。いいからバイクを返せよ。」
「サム兄さん、俺は兄さんが改めるまでは返さないからね。絶対に!」
家へゲートを開くとサム兄さんをゲートに放り込む。
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