転生したから思いっきりモノ作りしたいしたい!

ももがぶ

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◆まさかの手作りでした

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気を取り直して工房の一角で、軽トラのフレーム作りに入る。
「なあ、これはワシらに合わせた物でいいんだよな?」
「そのつもりだけど、嫌だった?」
「そうではないが、あまり面白くないと言うか。これなら前の四駆で間に合うんじゃないかと思ってな。」
「ガンツさん!それは、間違いだよ。軽トラをバカにするなんてさ。」
「そうは言うがな…小さいし乗員も二人じゃろ。そんなのに使い途があるのかと思うてな。」
「ハァ~軽トラの便利さを知らないから、そんなことが言えるんだよ。実際に作って乗って使って見れば、その価値観も変わってくるからね。今、言ったことをちゃんと覚えていた方がいいよ。ふふん。」
軽トラの価値を分かってもらえるのは難しいのは分かっていたけど、ここでも過小評価されてしまうのは面白くないな。
「農道のポルシェ」と言われる、その性能を遺憾なく発揮してやろうじゃないの。

ここでいつもの様に模型を弄りながら、自分の頭の中で思い描く軽トラの理想像を何とか捻り出し形をハッキリさせていく。
駆動系は四駆でエンジンは荷台の下に収納しいわゆるミッドシップ形式とし、おまけで荷台にリフト機構を設ける。
「俺のイメージはこんなもんだね、運転席は今までのドワーフ車をイメージすると…こうかな。ねえガンツさんはどう思う?」
「ふむ、荷台はまあ、ええじゃろ。運転席は今までの少し弄った感じじゃな。多少は乗り降りしやすく低くしたのか。」
「感想はいいから、これでいいの?ダメなの?どっち?」
「まあ、そう焦るな。いいか悪いかで言えば…」
「言えば?」
「いいかな。」
「じゃ、いいね。後は実際に出来てからの話だね。」
ガンツさんの煮え切らない返事に「どうしたのか」と思ったが、そこまで気が進まないかな。
こうなりゃ何としてでも、『乗りたい!』と言わせてやるから!

いつもの様にフレームから作り車軸を用意しエンジンを載せる。
その時にふと考える。「何も軽トラだからって、前世の記憶に引き摺られることはないよな。」と。
載せる予定のエンジンを引っ込め、少しだけ大きめのエンジンに取り替える。
「ちょっとキツかったかな。でも、ここを少しだけ詰めれば…よし、入ったね。」
これで下回りは出来たから、ここからはガンツさんに運転席を任せて荷台のリフト機構に取り掛かる。

エンジンの動力を使い荷台下に設置したシリンダーで荷台を押し上げるんだけど、まずは模型で位置決めだな。
「これでエンジンからの動力を切り替えて、シリンダー内の圧力を上げて荷台を押し上げるでしょ。それで荷台を下げる時は、圧力を逃してやればそのまま自重で下がるから特にはなしと。じゃ、荷台のリフトはこれでいいとして、荷台を作る前に運転席と荷台の間の高さを調整しないとな。」
「ガンツさん、運転席はどんな感じ?」
「おう、ちょうどよかった。今、大体は仕上がったぞ。」
「へ~やる気がなかった割にはちゃんとしたんだ。」
「何じゃ、『やる気がない』って。ああ、さっきのをそう取ったのか。それは悪かったな。」
「え?違ったの?てっきりそうだと思っていたのに。理由を聞いても?」
「いやな、アイツらを独身寮に放り込んだだろ。」
「アイツらって…ああ、息子さん達のことね。片付いてスッキリしたんじゃないの?」
「それが原因じゃて。アンジェがな、やり過ぎ!淋しい!言い出してな。それでアンジェが塞ぎ込んでしもうてな。ああ、昼間はいいんじゃ。保育所で子供達と一緒にいるからな。じゃが帰って来たら、淋しいと塞ぎ込んでしもうてな。何とかならんかケイン。」
「(前世でもよくあった話だな。巣立ちした子供がいなくなって淋しいってね。)」
「なあ、ケイン。どうにかならんかな。」
「淋しいのを紛らわすのが一番なんだけどね。今まではどうしていたのさ。」
「今までは、ゆっくりと一人になったんじゃが、移住してからはワシが増え、息子達が帰って来て久々の団欒を味わっていたが、また一人二人を巣立って行ったからな。淋しい気持ちはわからんでもないが、どうにかならんかの。」
「ふぅ話が重いよ、ガンツさん。」
「じゃが、これを片付けんことにはお前の昼飯も危ういぞ。」
「え?何、何でそんな話になるのさ。」
「お前、自分に影響があると分かると食い付きが違うな。」
「それはいいから、何で昼飯がなくなるの?」
「はぁお前は…さっき、アンジェのことは説明したよな。」
「うん、聞いたよ。だから、それが何で昼飯の話になるの。」
「聞いといてこれか。まあええ。あのな、アンジェが塞ぎ込むとな、飯を作ろうとする気力も湧かないみたいでな、じゃから今日の飯は…」
「もしかして…」
「ふふん、美味かったじゃろ?」
「え~ガンツさんの手作りだったの!それはそれで微妙だな。」
「で、どうじゃった?ワシの手作りはよ。」
「確かに美味しかったけどさ~」
「そんな訳で、帰宅した後の家でのアンジェは無気力でな。そうなったって訳だ。」
「ふ~ん、でもガンツさんがご飯を作っているのなら、俺としては何も問題はないんだけどね。」
「お前、冷たいな~あんだけアンジェに世話になっているというのに。」
「まあ、確かに世話にはなっているけどさ。その落ち込みは俺にはどうしようも出来ないよ。とりあえずはイーガンさんに戻ってもらうしかないんじゃないの。」
「え~折角追い出したのにまた呼ぶのか。それはそれでワシがいやじゃな。」
「ならさ、もうすぐお孫さんが産まれるって言ってたでしょ。その息子さん家族と同居するのはどう?」
「お前、同居とか気安く言うが、嫁姑戦争に発展するのは勘弁じゃ。」
「アンジェさんてお嫁さんに意地悪するの?」
「いや、それはない。」
「なら、大丈夫じゃないの?とりあえず相談するだけしてみてもいいんじゃないの。」
「アンジェは良くても嫁さんがの~」
「何がダメなの?どっちみちお嫁さんの出産が近くなったら誰かの助けが必要になるんだしさ。この際、同居しちゃいなよ。頑張れ!おじいちゃん。」
「『おじいちゃん』か~」
「あれ?ガンツさんまで落ち込んでどうするのさ。」
「いや、これで名実共に『おじいちゃん』になるんだな~って思うとな。」
「もう勘弁してよ。ガンツさんまで塞ぎ込んだら、どうなるのさ。」

「親方、ちょっと相談なんだけど…って、何?親父落ち込んでんの?」
イーガンさんが、ガンツさんに用があって来たみたいだけど、これ幸いと『家族の問題は家族で』ってことで、軽く事情を話して押し付ける。
「は~そんなことか。」
「イーガン、そんなことと言うが、お前の親が憔悴しているんじゃぞ。何とも思わんのか!」
「あのね、親父は真っ先に家からいなくなったから分からないのはしょうがないとして、あの状態は長くても一週間だから。早ければ明日にはケロッとしているからさ。夫婦のくせにそんなことも分からないって、そっちの方が問題だよね。とりあえず今日は酒でも飲ませて、ゆっくりしなよ。」
「それだけ…それだけで済むのか?」
「ああ、今までそんなもんだったぞ。あれでもお袋は強いからな。今まで離れていて知らないから心配するのは分かるけどさ。今だけだから、そんなに心配するなって。それよりさ、ここの所なんだけど…」
「どれ。ああ、ここなら…この部品を…こうして…こうするだろ?ほら、これで…こうなる。」
「おお!こういう所は流石の親方スキルだな。父親としては考えもんだけどね。」
「言うてくれるな、じゃがありがとうな。少しは気が楽になった。」
「イーガンさん、俺からもありがとう。これでガンツさん手作りのお弁当はなくなりそうだよ。」
「親父…趣味が変わったのか。」
「ああ、イーガン。その考えは間違っているぞ。ワシはアンジェの代わりに用意しただけじゃから。な、それを周りには言うなよ。」
「…」
「フリじゃないからな!」
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