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連載
◆腫れ物扱いでした
父さんの車に乗り込みデューク様の王都のお屋敷へと向かう。
「なあ、ケイン。なんかこの車を見る人の視線が痛いというか、子供にも見せないようにしている気がするが、まさか……な」
「父さん、多分それで合っていると思うよ。デューク様の乗る車に手を出したら、懺悔大会に強制参加させられたって話はつい最近のことだしね。これはデューク様の車じゃないけど、『馬が引かずに走る馬車』は『車』として認識されて、下手に手を出したら懺悔大会への強制参加資格が得られるってことになっているみたいね」
「うわぁ、そりゃそんな目で見たくもなるわな」
「でも、これで大分平和になったはずなんだけどね」
「まあ、裏では大慌てなんだろうけどな」
「結構、捕まったらしいよ。この間は商業ギルドのマスターもいたし」
「ああ、お前にちょっかい出そうとしたとか言ってたな」
「そう、その人。やっぱりって感じだよね」
「ハァ~だからか。ここに来る前に領都の商業ギルドに寄った時にいつもと違って忙しそうだなと思ったんだよ。それで、職員の人に『王都の騒ぎに関わってないですよね?』って言われたばっかりなんだけどな~あぁもうどうすんだよ」
少し父さんがイラついているっぽいが、運転は大丈夫だろうか。
「ケイン、他人事って顔しているね?」
「クリス兄さん、俺はなにもしてないけど」
「いや、それはダメでしょ。だって、実際にケインが作った呪いが付与された結果なんだろうし」
「いやいやいや、だってさ、他所の人の物に手を出して、それで懺悔大会に参加したからって俺のせいにされてもね~」
「いやいやいやいや、それこそケインがなにもしなければ、ここまでの騒ぎにはならなかったんじゃないの?」
「いやいやいやいやいや、だからデューク様には王様にちゃんと言っといてねってお願いしてもらいに行ったのにさ。それを絶好の機会と捉えたのは王様だからね。俺のせいじゃないでしょ? どちらかと言えば、王様のせいになるのかな?」
「お前、間違ってもそういうことを口にするんじゃないぞ。俺達まで不敬罪で捕まってしまうわ!」
「父さん、多分大丈夫だって。俺に対してなにもないから港をくれたんだし」
「いや、それもなにか裏がありそうで怖いんだけどな。クリスもそう思うだろ?」
「父さんは、そう思うんだ」
「クリスは違うのか?」
「僕はケインのことはほとんど王家の人には知られていると思っているよ。それでも、ここまで放置しているのは、まだ分からない部分が多いってのと……」
「と?」
父さんがクリス兄さんに先を促す。
「まだまだ面白い物を作ってくれそうだし、やってくれそうと思ってるって感じかな」
「あ! 俺もそう思う。だから、港もポンとくれたわけだし」
「「「「『いやいやいや』」」」」
「なに?」
「なにって、くれた訳でもないだろ」
「父さん、そういうけどさ、なにしてもいいってのはくれたも同じじゃない?」
「本当、お前は楽観的だな。俺はお前が羨ましいよ」
「父さんもつむじが広がるのが気になるお年頃?」
「な、なんだと! 俺のつむじは広がっているのか!」
「お、落ち着いてよ、父さん。まだ、そんなに広がってないから」
「『まだ』か。毎朝、枕を見るたび抜け毛が増えたとは思っていたが、夢じゃなかったんだなぁ~」
「父さん、ほら。もうすぐ着くから」
「あ、ああ、あの門だな」
お屋敷の門に近付き、門衛にデューク様との面会の約束があることを告げ、セバス様に確認してもらうように頼むと、門衛が手に内線電話らしき物を取り、お屋敷の中の人に連絡しているようだ。
「内線電話を入れているのなら、エアコンも着ければよかったのにね」
「いや、ケインよ。あの大きさをここまで運ぶとなれば、普通の馬車じゃ辛いぞ。内線電話一式くらいなら、手荷物より少し嵩張る程度だがな」
「あ、そうか。そう言われればそうだね」
そんな雑談をしていると、門衛がこちらにやって来て、「確認が取れましたので、お通りください」と門が解放され、中へと案内される。
門から玄関を目指し車を走らせる。
玄関前で車から降りて、父さんが車を収納したタイミングで玄関が開かれセバス様が出迎えてくれる。本当にどこで見ているんだろうか。
「セバス様、少し遅くなりましたね。すみません」
「ケイン様、そんなことはありませんよ。さあ、どうぞ旦那様がお待ちですので」
「あれ? 商業ギルドに直接行くものと思ってましたが?」
「はい。その予定です。ですが、その前に港のことで少しばかり相談があるらしいのです」
「相談? デューク様が?」
「はい。そう聞いております。では、こちらへ」
セバス様の後をゾロゾロと着いて行くと、セバス様が会議室らしき場所の前で止まりこちらに向き直る。
「申し訳ありませんが、ケイン様、ガンツ様、以外はこちらの会議室でお待ちください」
「はい、分かりました。ケイン、粗相のないようにな」
「え~いつもそんなことしないのにな~」
「まあ、旦那の言う通りに大人しくしとこうや」
「ガンツさんまで」
「では、ケイン様、ガンツ様。こちらへ」
セバス様が会議室横の執務室へと俺達を案内する。
セバス様が執務室の扉を軽くノックし、俺たちが来たことを伝えると「入れ」と返事があった。
セバス様がその返事を聞いて、扉を開けると執務机に座りなにやら書類にサインしまくっているデューク様が目に入る。
「来たか。見ろ! この紙の束を! お前が港をよこせって言うもんだから、その関係書類に目を通すだけでも忙しくて嫌になるわ」
「そうですか。大変ですね」
「お前な~」
「領主殿、こいつにそんなこと言ってもどうにもならんとまだ分かりませんか」
「ガンツ、そうは言うが、なにか言うてやらんと気が済まん俺の気持ちも分かるだろう」
「そりゃ、分かるが、分かるだけです。ワシ達が代わってサインする訳にもいかんでしょ」
「ま、まあ、そりゃそうだな」
「それで、俺に相談てなんですか?」
「ハァ~流しやがって。まあいいか、話ってのはな、港は俺の管理対象になった。それで、お前が倉庫を潰せるなら潰して再開発したいって、言ってただろう?」
「ええ、確かに言いましたね。それが?」
「それでな、港の倉庫の権利を確認していたらな」
「ん?」
「ほとんどが、前商業ギルドのマスター個人の物に代えられていた」
「ああ、あの人ならやりそうですね。でも、捕まったんでしょ? なら、なにも問題がないんじゃないですか?」
「ああ、倉庫はほぼ借主なし。お前くらいのもんだ。あんな場所を借りる物好きは」
「あれ、隣の倉庫を借りている人がいたと思ったんですけど?」
「ああ、そいつなら少し前に解約して王都を出て行ったぞ」
「そういうことですね」
「それでな、お前の規約期間は満了していないが、途中解約という形にしてもらうが、問題ないか?」
「まあ、倉庫の中は空っぽだし、構いませんよ」
「ありがとうよ。改めての契約は港を整備して、倉庫を建ててからだな」
「ええ、それで構いません」
「で、本題だけどな。あの港をどう整備するつもりだ? その方法は? 広さは?」
「ま、まあ、ちょっと待ってください。まだ、調査中だし。その結果が出てからでいいですか?」
「そうか、一応は調査しているんだな」
「ええ、少なくともドワーフタウンの港よりは大きくするつもりで、客船も入れるようにはするつもりです」
「少しだけ、その構想の内容を聞かせてもらってもいいか?」
「ええ、いいですよ。まずは……」
デューク様にこの港へドワーフタウンから軽トラを満載した小型フェリーを横付けすると、そのまま軽トラで出店予定のお店まで運ぶことを話す。
「そうか、小さめの車で運搬予定と」
デューク様に話しているうちになにも王都の中に店を出すんじゃなくて、港でもいいんじゃないかと思えてきた。前世でも港の近くにデパートなんかの商業施設が集中しているところもあったし、ホテル業なんかもいいかもしれない。小さめの遊園地もあったよな。よし! 提案してみるか。
「デューク様、少しお話いいですか?」
「なんだ? 聞ける話ならいいぞ」
「十分です。実は……」
「なあ、ケイン。なんかこの車を見る人の視線が痛いというか、子供にも見せないようにしている気がするが、まさか……な」
「父さん、多分それで合っていると思うよ。デューク様の乗る車に手を出したら、懺悔大会に強制参加させられたって話はつい最近のことだしね。これはデューク様の車じゃないけど、『馬が引かずに走る馬車』は『車』として認識されて、下手に手を出したら懺悔大会への強制参加資格が得られるってことになっているみたいね」
「うわぁ、そりゃそんな目で見たくもなるわな」
「でも、これで大分平和になったはずなんだけどね」
「まあ、裏では大慌てなんだろうけどな」
「結構、捕まったらしいよ。この間は商業ギルドのマスターもいたし」
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「そう、その人。やっぱりって感じだよね」
「ハァ~だからか。ここに来る前に領都の商業ギルドに寄った時にいつもと違って忙しそうだなと思ったんだよ。それで、職員の人に『王都の騒ぎに関わってないですよね?』って言われたばっかりなんだけどな~あぁもうどうすんだよ」
少し父さんがイラついているっぽいが、運転は大丈夫だろうか。
「ケイン、他人事って顔しているね?」
「クリス兄さん、俺はなにもしてないけど」
「いや、それはダメでしょ。だって、実際にケインが作った呪いが付与された結果なんだろうし」
「いやいやいや、だってさ、他所の人の物に手を出して、それで懺悔大会に参加したからって俺のせいにされてもね~」
「いやいやいやいや、それこそケインがなにもしなければ、ここまでの騒ぎにはならなかったんじゃないの?」
「いやいやいやいやいや、だからデューク様には王様にちゃんと言っといてねってお願いしてもらいに行ったのにさ。それを絶好の機会と捉えたのは王様だからね。俺のせいじゃないでしょ? どちらかと言えば、王様のせいになるのかな?」
「お前、間違ってもそういうことを口にするんじゃないぞ。俺達まで不敬罪で捕まってしまうわ!」
「父さん、多分大丈夫だって。俺に対してなにもないから港をくれたんだし」
「いや、それもなにか裏がありそうで怖いんだけどな。クリスもそう思うだろ?」
「父さんは、そう思うんだ」
「クリスは違うのか?」
「僕はケインのことはほとんど王家の人には知られていると思っているよ。それでも、ここまで放置しているのは、まだ分からない部分が多いってのと……」
「と?」
父さんがクリス兄さんに先を促す。
「まだまだ面白い物を作ってくれそうだし、やってくれそうと思ってるって感じかな」
「あ! 俺もそう思う。だから、港もポンとくれたわけだし」
「「「「『いやいやいや』」」」」
「なに?」
「なにって、くれた訳でもないだろ」
「父さん、そういうけどさ、なにしてもいいってのはくれたも同じじゃない?」
「本当、お前は楽観的だな。俺はお前が羨ましいよ」
「父さんもつむじが広がるのが気になるお年頃?」
「な、なんだと! 俺のつむじは広がっているのか!」
「お、落ち着いてよ、父さん。まだ、そんなに広がってないから」
「『まだ』か。毎朝、枕を見るたび抜け毛が増えたとは思っていたが、夢じゃなかったんだなぁ~」
「父さん、ほら。もうすぐ着くから」
「あ、ああ、あの門だな」
お屋敷の門に近付き、門衛にデューク様との面会の約束があることを告げ、セバス様に確認してもらうように頼むと、門衛が手に内線電話らしき物を取り、お屋敷の中の人に連絡しているようだ。
「内線電話を入れているのなら、エアコンも着ければよかったのにね」
「いや、ケインよ。あの大きさをここまで運ぶとなれば、普通の馬車じゃ辛いぞ。内線電話一式くらいなら、手荷物より少し嵩張る程度だがな」
「あ、そうか。そう言われればそうだね」
そんな雑談をしていると、門衛がこちらにやって来て、「確認が取れましたので、お通りください」と門が解放され、中へと案内される。
門から玄関を目指し車を走らせる。
玄関前で車から降りて、父さんが車を収納したタイミングで玄関が開かれセバス様が出迎えてくれる。本当にどこで見ているんだろうか。
「セバス様、少し遅くなりましたね。すみません」
「ケイン様、そんなことはありませんよ。さあ、どうぞ旦那様がお待ちですので」
「あれ? 商業ギルドに直接行くものと思ってましたが?」
「はい。その予定です。ですが、その前に港のことで少しばかり相談があるらしいのです」
「相談? デューク様が?」
「はい。そう聞いております。では、こちらへ」
セバス様の後をゾロゾロと着いて行くと、セバス様が会議室らしき場所の前で止まりこちらに向き直る。
「申し訳ありませんが、ケイン様、ガンツ様、以外はこちらの会議室でお待ちください」
「はい、分かりました。ケイン、粗相のないようにな」
「え~いつもそんなことしないのにな~」
「まあ、旦那の言う通りに大人しくしとこうや」
「ガンツさんまで」
「では、ケイン様、ガンツ様。こちらへ」
セバス様が会議室横の執務室へと俺達を案内する。
セバス様が執務室の扉を軽くノックし、俺たちが来たことを伝えると「入れ」と返事があった。
セバス様がその返事を聞いて、扉を開けると執務机に座りなにやら書類にサインしまくっているデューク様が目に入る。
「来たか。見ろ! この紙の束を! お前が港をよこせって言うもんだから、その関係書類に目を通すだけでも忙しくて嫌になるわ」
「そうですか。大変ですね」
「お前な~」
「領主殿、こいつにそんなこと言ってもどうにもならんとまだ分かりませんか」
「ガンツ、そうは言うが、なにか言うてやらんと気が済まん俺の気持ちも分かるだろう」
「そりゃ、分かるが、分かるだけです。ワシ達が代わってサインする訳にもいかんでしょ」
「ま、まあ、そりゃそうだな」
「それで、俺に相談てなんですか?」
「ハァ~流しやがって。まあいいか、話ってのはな、港は俺の管理対象になった。それで、お前が倉庫を潰せるなら潰して再開発したいって、言ってただろう?」
「ええ、確かに言いましたね。それが?」
「それでな、港の倉庫の権利を確認していたらな」
「ん?」
「ほとんどが、前商業ギルドのマスター個人の物に代えられていた」
「ああ、あの人ならやりそうですね。でも、捕まったんでしょ? なら、なにも問題がないんじゃないですか?」
「ああ、倉庫はほぼ借主なし。お前くらいのもんだ。あんな場所を借りる物好きは」
「あれ、隣の倉庫を借りている人がいたと思ったんですけど?」
「ああ、そいつなら少し前に解約して王都を出て行ったぞ」
「そういうことですね」
「それでな、お前の規約期間は満了していないが、途中解約という形にしてもらうが、問題ないか?」
「まあ、倉庫の中は空っぽだし、構いませんよ」
「ありがとうよ。改めての契約は港を整備して、倉庫を建ててからだな」
「ええ、それで構いません」
「で、本題だけどな。あの港をどう整備するつもりだ? その方法は? 広さは?」
「ま、まあ、ちょっと待ってください。まだ、調査中だし。その結果が出てからでいいですか?」
「そうか、一応は調査しているんだな」
「ええ、少なくともドワーフタウンの港よりは大きくするつもりで、客船も入れるようにはするつもりです」
「少しだけ、その構想の内容を聞かせてもらってもいいか?」
「ええ、いいですよ。まずは……」
デューク様にこの港へドワーフタウンから軽トラを満載した小型フェリーを横付けすると、そのまま軽トラで出店予定のお店まで運ぶことを話す。
「そうか、小さめの車で運搬予定と」
デューク様に話しているうちになにも王都の中に店を出すんじゃなくて、港でもいいんじゃないかと思えてきた。前世でも港の近くにデパートなんかの商業施設が集中しているところもあったし、ホテル業なんかもいいかもしれない。小さめの遊園地もあったよな。よし! 提案してみるか。
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「なんだ? 聞ける話ならいいぞ」
「十分です。実は……」
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しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。
※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。
詳細は近況ボードをご覧ください。