転生したから思いっきりモノ作りしたいしたい!

ももがぶ

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◆嵌められました

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エリックさん達と話している内に、すでに日が暮れかかっていたので部屋の中でさっき思い付いた『皮むきピーラー』を作ってみる。
テーブルの上に材料を並べたら後は、鍛冶魔法を使ってステンレス板を変形させ、刃の部分と持ち手をT字型に成形しT字の両端を少し伸ばして固定する為の薄い板をと彫りつけると刃の角度がある程度自由に動くように刃を軸に取り付けた後にT字の両端に取り付けて完成だ。

完成した皮むきを持って父さんの所に行くと、父さんが俺が手に持っている物に気付き、父さんから声を掛けてくる。
「ケイン、来てたんだな。用事はそれか?」
そう言って、父さんが俺が手に持っている皮むきを指す。
「うん。王都の港とドワーフタウンの港に軽食店を出してくれる人がいないかを探していて、その時に料理の手間が少しでも省ければいいかなと思って作った『皮むきピーラー』だよ。はい」
「随分、妙な形だな。それに刃がぐらついているぞ。これは危ないんじゃないのか?」
「あ! もう、乱暴にしないでよ。それは刃がある程度動かないとダメだからそうしているの!」
「これが? 本当に? 失敗作じゃないの?」
父さんが疑うので、手の届く距離にあった棚からニンジンを手に取り、父さんから皮むきを返してもらうとニンジンに皮むきを当て、さっと引き下ろす。
すると、ニンジンの皮がするすると剥けたのを見た父さんが驚くが、次には俺の手からニンジンと皮むきを奪って、その場でニンジンの皮を剥く。

黙々とニンジンの皮を剥く父さんを見ていたが、既に皮の部分はもうないのにまだ手を止めないなと思っていたけど、さすがにもう止めないとなと思い父さんの手を掴んで皮むきを強制的に止めさせる。
「ん? 何するんだケイン。俺は皮を剥いていただけだぞ?」
「父さん、落ち着いて。その手のどこにニンジンがあるの?」
俺がそう言うと既に皮なんて物が存在しない細くなったニンジンを手に持っていた父さんが驚く。
「どこって、ほらここにあるだろ……おい、嘘だろ……」
「嘘じゃないって。父さんの足下を見てみなよ。ほら!」
俺の言うことが信じられないみたいなので、父さんの足下でこんもりと山になっているニンジンだった物を指す。
「俺の足下? うわっ……」
「分かった?」
「ああ、よく分かったよ。でも、これを使うとイヤな皮剥きも楽しくなるな。これは!」
「父さんがそういうのなら、売れるかな?」
「ああ、売れるさ。だが、その前にちゃんと契約を済ませておけよ」
「ん~分かったよ」
「そう言うな。こういうのは……」
「はいはい、分かったから。じゃあ今から行ってくるよ」
「あっ待て!」
父さんの話が長くなると思い、父さんの話を無理矢理切って商業ギルドに向かおうとすると父さんに止められた。
「ガンツさんはいいのか?」
「ん? 俺一人でも問題ないでしょ?」
「そうだが、どうせガンツさんのところに任せるんだし、変な横槍が入らないようにいつものように俺とガンツさんで囲った方がいいと思うんだがな」
「あ~それもそうか。じゃあ、ちょっと待ってて」
父さんに断りガンツさんがいる造船所に転移ゲートを繋ごうとして「ケイン!」と父さんに止められる。
「え? 父さん何? ガンツさんを呼ぶんでしょ? どうしたの?」
「どうしたのじゃないだろ。お前、今何をしようとした?」
「何っていつものように……あ!」
「そうだ。ここじゃマズい。するなら、いつもの部屋でやってくれ」
「そうだね。ごめんなさい」
「ふふふ、そうしているとまだまだ子供だな。じゃ、待ってるぞ」
「うん! 呼んで来る」
父さんに言って部屋に戻り、転移ゲートをガンツさんのいる造船所へと繋いでから潜る。
「ガンツさん! いる?」
「ん? 呼んだか?」
「あ! いた! ガンツさん、一緒に来て!」
「おい、どうした? いきなりだな。まずは訳を話せ」
「もう、自分の時は有無を言わせず引っ張り回すのに……」
「なんか言ったか?」
「べ、別に……あのね、実はさ」
ガンツさんに『皮むきピーラー』のことを話し、今から商業ギルドに一緒に来て契約をして欲しいと話す。
「そうか。なら、ボビーを連れて行け。ワシは忙しいんだ」
「もう、なら次はボビーさんに頼むけど、今は急ぐからガンツさんでお願いね。ほら行くよ」
「おい、待て。ワシは忙しいと……」
ガンツさんの腕を引っ張り、マサオに後ろから押してもらって転移ゲートを潜って父さんの店に戻り部屋を出る。
「お、来たな」
父さんは既に契約書を用意していたので、一枚をガンツさんに渡し、一枚を俺に渡す。
「さあ、書いてくれ。書いたら商業ギルドに一緒に行こう」
「分かった。ちょっと待ってくれ」

ガンツさんと俺が契約書を書き終わると父さんが車を用意していたので、それに乗り込むと商業ギルドへと向かう。

「使ってくれてるんだね。父さん」
「うん。最初はちょっと気恥ずかしさもあったんだがな。一度、楽を覚えるとな」
そう言って、父さんが笑うのを助手席から見ていた。

慣れた道を走り商業ギルドへ着くと入るなり、俺達に気付いた事務員の一人が奧へと走り、一人の事務員が俺とガンツさんさんの手を取り「確保しました~!」と叫び、父さんには「お疲れ様でした」とお礼を言う。
「え? 父さん、どういうこと?」
「すまん。だが、契約は本当だぞ。それは俺の方で済ませるから心配するな。な?」
「ケイン、これは嵌められたな」
「みたいだね」
そう呟いていると、奧に行った事務員が戻って来て「奧へどうぞ」とカウンター奧の部屋へ通される。
父さんの方を見ると片手でスマンと言っていたけど、これは『貸し』だからね。
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