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大学生編
26 プロポーズ (※)
しおりを挟む「信じられない……」
じとりと千夜子がベッドから晃を非難するように睨み付けた。
あれから意識を手放した千夜子に一回。途中で目覚めた千夜子に二回。
晃は休む間もなく千夜子の身体を貪った。
千夜子は喘ぎ過ぎて喉が枯れ、ガサガサの声で晃に抗議の声を上げた。最早指一本も動かせない。
短大が始まるまでの休みに入っていた千夜子は、この時期に晃を訪れて正解だったと内心自分の行動時期を褒めた。
晃は動けない千夜子に近付くと、自分の口にペットボトルの水を含み、そのまま口移しで千夜子の口の中に水を流し込んだ。
「んぅ……」
反射的に千夜子はその水をごくりと飲み込んだ。千夜子の口端から飲みきれなかった瑞がツーと溢れると、晃がそれをペロリと舌で掬いとる。
「うぁ、お、お兄ちゃんてば」
その余りにも卑猥な行為に千夜子が恥ずかしさに顔を赤らめた。
「何だよ今更。さっきまでこれ以上のこともっとしてたじゃないか」
「止めて、口に出さないで」
先程の行為を思い出し、千夜子は羞恥にその場で悶えた。数時間前まで処女だった千夜子に、晃から与えられた刺激はとんでもなく強すぎた。
(もう、お兄ちゃん以外の人とするの無理かも……)
初めからそんなつもりはさらさら無いものの、千夜子はふとそんなことを思った。
勿論、晃は自分の身体なしじゃ生きていけない身体に千夜子を調教するつもりでいるので、千夜子はまんまと晃の企みに嵌まっていたのだが、そんなこととは千夜子は露ほども知らず。
「俺が大学卒業したら直ぐに籍入れような」
さらりと晃が千夜子に告げた。
「え? 」
晃のあまりにもあっさりとしたプロポーズに、千夜子はきょとんとした顔で晃を見返した。
「何だよ。お前からプロポーズしてきたんだろ? 二人で一緒に親父の歯科医院継ぐってさ 」
「あ……」
確かに千夜子の口からそんなことを言ったような気がする。
(それは家族として一緒に引き継ぐって意味でもあったけど、聞き方によってはお兄ちゃんと一緒になって歯科医院を継ぐというニュアンスにもとれる訳で……)
「そ、それは、そう言ったけど……」
今更ながら、大胆なことを言った自分に対して恥ずかしさで千夜子は布団で身体を覆うと、小さく丸まった。そんな千夜子の姿に晃の千夜子に対する可愛さのメーターがギュインと振りきれる。
「俺はこうなってほとほと実感したけど、やっぱりお前以外の女は抱けないし、勃たないのが分かった。て言うか、お前に限っては性欲が無限に溢れてくることも分かった」
そう言う晃の下半身がまた元気を取り戻していることに千夜子は目を疑った。
「も、もう無理。ほんと無理。今日はもうおしまい! 」
千夜子は晃に懇願するように心から訴えた。
晃は布団に丸まる千夜子の身体を愛おしそうに抱き締めると、布団の上からチュッと千夜子にキスをした。
「いいよ、今日はもうしなくても。どーせ、俺達には明日も明後日もずっと一緒の時間があるんだからさ」
そう言って晃がにこりと千夜子へと微笑んだ。
「お兄ちゃん……」
嬉しそうな晃の様子に千夜子も思わず、絆される。
(やっぱり思いきってここに来て良かった……)
思った以上の展開になってしまったものの、千夜子は晃と結ばれた事実をしっかりと受け止めていた。
両親には晃を追いかけたいと伝えてここに来た。
多江は千夜子の気持ちに気付いていたようで
「ちゃこの好きなようにやりなさい。大和さんには私の方から上手く言っておくから」
と背中を押してくれた。
そんな千夜子の側で徐に晃はスマホを取り出すと、どこかに連絡を入れ始めた。
(急用でも思い出したのかな……? )
このタイミングで電話をかける晃に対して、千夜子は何事かと耳をそばだてる。
晃は相手が電話に出るなり唐突に用件を伝えた。
「あ、もしもし親父? 俺、このまま千夜子と一緒に住むからもう少し広い所に引っ越すわ。後で手続きとか頼む所あるだろうからよろしくな。あ、あと卒業したら俺、直ぐに千夜子と籍入れるんで、そのつもりで。それじゃ――」
言うだけ言うと、晃はプツリと乱暴に通話を切った。
千夜子はそんな晃と父親の電話の内容を聞いて、開いた口が塞がらなかった。
「お、お兄ちゃん? 今、お父さんに何て……? 」
「ああ、これから一緒に暮らすことと、卒業後籍入れること報告した。親父も『分かった』だって」
「『分かった』だけ? い、いいの? それで」
「いいんだよ。千夜子がいい子だってのは親父も十分に分かってるし、何より、俺が決めたことに親父は反対なんてしないさ。俺が親父の相手に充分苦しめられたこと知ってるんだからさ」
「そ、そうなんだ……」
きっと電話を切ったあとで呆然としている大和の姿を思い、千夜子は『ご免なさい』と心の中で謝罪した。でもきっと多江が上手くやってくれるだろう。
他力本願もいいところだが、既に身体はくたくたで千夜子の頭は考えることを放棄していた。
「千夜子、好きだ。……愛してる」
再び千夜子の唇に落とされる晃の甘い口付けと甘い言葉に、千夜子はゆっくりと目を閉じると、そのまま二人の将来に思いを馳せながら、幸せの中で眠りに落ちた。
千夜子の何度目かの寝落ちに、晃は自身の昂る熱を持て余し、残念そうに溜め息を吐いた。
『ニャ~』
と千夜子の代わりに晃に擦り寄ってきた猫のちゃこを抱き上げると、晃はその綺麗な毛並みにチュッと口付けをした。
「――さて、お前と千夜子と暮らせる部屋でも探すかな」
晃はちゃこを膝の上に乗せると嬉しそうに部屋のパソコンの電源にスイッチを入れたのだった。
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