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第3章
☆1三つ目魔獣の王子。
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紅蓮はヴァルが目を覚ます前に帰った。
いつまでも会話を終わらせたくない、とだらだらと居座っては迷惑になるだろう。
人の形から魔獣の姿に戻る。五感が鋭くなり、鈍かった滞りが正常になる。やはり、こちらの方が随分と楽だ。
酒に酔ったヴァルは、2本の足で歩くのがどうも上手くいかん、と愚痴を溢していたが紅蓮から見ればもう完璧の人間である。ヴァルの思うような動きかたが出来たらそれは人間を越える存在になるであろう。
くすり、と思い出して笑う。
「紅蓮姫、随分とご機嫌だね。ヴァルに会ってきたの?どうだった、人間のヴァル」
まだ幼獣の生意気な声。くされ縁でもう一匹の兄貴のような存在である白夜の弟だ。光夜という。雌扱いして紅蓮姫と呼んでいる。第三の目が開いたときから、紅蓮をお嫁さんにしたいと言い出したのだ。他の仲間からあれやこれ、と呼ばれているが、名前を呼ぶのは白夜と光夜、紅蓮…そして新たにフィズが増えたが四人だけだ。
「ああ。相変わらずヴァルだった」
「へえ。僕も今度会いに行ってこよっと、兄ちゃんと」
「一人で会いに行かないのか?」
「うん、だって人間怖いし」
光夜は顔の部分は黄色い毛並みで背中から漆黒の翼が生えていた。
「ねえ、紅蓮姫。僕のお嫁さんになって。雷を呼べるようになったよ、もう大人でしょ?」
開口一番に言わなかったが、今日もやはりお嫁さんになって攻撃が始まった。可愛い弟のような存在だし、きゅんと来るものがある。だが、雌の自分をくれてやろうとは思えない。
「雷を呼べることで大人になれるのなら、私は生まれた瞬間から大人だったな。光坊や、たくさんの雌から求愛されるような雄々しい雄になったら考えてやってもいい」
「…たくさんの雌から求愛される、なんて面倒臭い。僕は紅蓮姫から求愛されたい」
むう、と光夜は不満そうに低く唸る。
「他者が欲しがるものから求められると気分がいいと思わないか?ふふ、…子供には分からないだろうな」
紅蓮は意地が悪い声で光夜を子供扱いしてやる。
自分から離れた方がいい。幾つかの視線を感じた。
しかし、光夜は不満そうな様子であるが怒ったりむくれたりはしない。
紅蓮をじーっと真っ直ぐに見つめる。
「分かった!僕、もてもてな雄になる。そして、求愛してくる雌に冷たくして紅蓮姫だけに優しくする」
「…楽しみにしている」
純粋な好意が眩しくて紅蓮は柔らかく双眸を細めた。
いつまでも会話を終わらせたくない、とだらだらと居座っては迷惑になるだろう。
人の形から魔獣の姿に戻る。五感が鋭くなり、鈍かった滞りが正常になる。やはり、こちらの方が随分と楽だ。
酒に酔ったヴァルは、2本の足で歩くのがどうも上手くいかん、と愚痴を溢していたが紅蓮から見ればもう完璧の人間である。ヴァルの思うような動きかたが出来たらそれは人間を越える存在になるであろう。
くすり、と思い出して笑う。
「紅蓮姫、随分とご機嫌だね。ヴァルに会ってきたの?どうだった、人間のヴァル」
まだ幼獣の生意気な声。くされ縁でもう一匹の兄貴のような存在である白夜の弟だ。光夜という。雌扱いして紅蓮姫と呼んでいる。第三の目が開いたときから、紅蓮をお嫁さんにしたいと言い出したのだ。他の仲間からあれやこれ、と呼ばれているが、名前を呼ぶのは白夜と光夜、紅蓮…そして新たにフィズが増えたが四人だけだ。
「ああ。相変わらずヴァルだった」
「へえ。僕も今度会いに行ってこよっと、兄ちゃんと」
「一人で会いに行かないのか?」
「うん、だって人間怖いし」
光夜は顔の部分は黄色い毛並みで背中から漆黒の翼が生えていた。
「ねえ、紅蓮姫。僕のお嫁さんになって。雷を呼べるようになったよ、もう大人でしょ?」
開口一番に言わなかったが、今日もやはりお嫁さんになって攻撃が始まった。可愛い弟のような存在だし、きゅんと来るものがある。だが、雌の自分をくれてやろうとは思えない。
「雷を呼べることで大人になれるのなら、私は生まれた瞬間から大人だったな。光坊や、たくさんの雌から求愛されるような雄々しい雄になったら考えてやってもいい」
「…たくさんの雌から求愛される、なんて面倒臭い。僕は紅蓮姫から求愛されたい」
むう、と光夜は不満そうに低く唸る。
「他者が欲しがるものから求められると気分がいいと思わないか?ふふ、…子供には分からないだろうな」
紅蓮は意地が悪い声で光夜を子供扱いしてやる。
自分から離れた方がいい。幾つかの視線を感じた。
しかし、光夜は不満そうな様子であるが怒ったりむくれたりはしない。
紅蓮をじーっと真っ直ぐに見つめる。
「分かった!僕、もてもてな雄になる。そして、求愛してくる雌に冷たくして紅蓮姫だけに優しくする」
「…楽しみにしている」
純粋な好意が眩しくて紅蓮は柔らかく双眸を細めた。
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