孤独なもふもふ姫、溺愛される。

遊虎りん

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第六章

☆2

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「見つける?人探しなら煮干し占いの…」

「そこはもう行った。何かほっけないじーさんと出会ったけど、俺が探してる人とは違う」

煮干しを倒れる方向で探し人を占うミエ婆は知る人ぞ知る占い師である。ロゼは占いには半信半疑であるが、可能性があるなら試してみるのも手だとミエ婆の元を訪ねた。

煮干し臭い煮干しまみれの部屋で100本もの煮干しを倒す光景は異様であった。ぶつぶつと呪文を呟く老婆。空耳かもしれないが、呪文はニボシウマイナーサイコウダナー、という煮干しを称えるもので思わず噴き出しそうになるのをロゼは必死に堪えた。

ニボシウマイナーデモカツオブシモイイナーカツオブシー
ニボシーサイコウデモカツオブシーカツオブシーカツオブシー
ニボシウマイナニボシウマイナーヤッパリニボシウマイナ

何がそんなに面白く感じるか自分でも意味が分からない笑いが込み上げ、ぶるぶる、と肩を震わせ神妙な顔を若干崩しつつも30分ロゼは占いが終わるまで待った。

『るりるりフラワーロードに、運命の相手が現れるぞよ!』

ぴたり、と呪文を唱えるのを終えると最後の煮干しをぴんっと指先で弾いた。か!っとミエ婆は糸状の細い眼を見開くとロゼに告げた。
ひえ、と可笑しな声が上がりそうなるのをグッと堪えてロゼはミエ婆に礼を言うとるりるりフラワーロードに向かったのだ。
そこで出会ったのは、小さなヘンテコな眼鏡をかけたじいさんだった。

(運命っていえなくもねーけど、じーさんだしな)

不思議な気持ちになったが、年齢的に違うし性別が違う。
唯一の手掛りである匂いだが、瑠璃の花アレルギーで嗅覚が死んでた。16才くらいの雌の猫系統の半獣を注意深く探してもそれらしい人物はいなかった。

「誰をお探しですか?」

「俺の姉上だ」

「ロゼの…?」

話が長くなる、と思い椅子に二人は腰かけた。
ジェイはロゼの話に耳を傾けた。段々と神妙な顔になる。

「…ジェイ、何か知っているか?お前くらいしか聞けるやつがいない」

「王女が生まれた、けれども命は儚く、産声をあげなかったと私の
父上が話していました」

「そうか」

ジェイは当時5歳。病弱でベットに臥せていることが多かった。しかし、従妹の誕生を楽しみにしていた息子に父は事実を告げた。子供に嘘や誤魔化しをしたくない、息子は幼いながらも死を受け止めるだろうと。
従妹が亡くなったのを悲しんだ。あえて、その事をロゼに言う機会もなく言う必要もないと思っていた。


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