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第九葉。
しおりを挟む「でもなぁ、俺はもう少し若いねえちゃんを考えてた。姉御って感じの」
確かに口調がしゃきしゃししてて耳から元気になりそうな声が脳内に響いている。
赤い蝶々柄の着物を着たポニーテールが似合う若い女性が頭に浮かんだ。
そしたら、おばあちゃんの姿から若い女性の姿へとかわる。
変幻自在だ。
「へえ、あんたは特殊な能力があるんだな」
熊五郎さんは感心したような声を出した。
「熊五郎さんだってあるでしょう?ハンヨウが見えているし」
「俺は見えているだけだ。そして、へまをして特殊な能力ってやつを失った。それはガキの頃はあることに恨んだがなくなって少しだけさみしさを感じている」
熊五郎さんは苦い果物を食べたあとの熊のような顔で言った。
「熊五郎、可愛い女の子とデート?」
後ろで甘いスイーツを食べた後の幸せいっぱいそうな男のひとの声がきこえた。
「兎太郎」
熊五郎さんの声が少しだけ曇る。
兎太郎さん、きっと熊五郎さんと血が繋がったひとだ。
「うさお兄ちゃんって呼んでよ、熊ちゃん」
「お前を兄と思っていたのは、ガキの少しの間だ。今は弟のように思っている」
「え、じゃあ熊ちゃんは俺のお兄ちゃん?」
「そう思ってくれてもいい」
仲の良い兄弟の会話だ。少しなごんだ。
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