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しおりを挟む白蓮が百花の兄だというのを知った時、驚きすぎて時が3秒くらい止まった。
まったく白蓮と百花はにていない兄と妹で、血の繋がりを感じられない。
海で知り合ったサーファーで、波に乗る白蓮の姿がとても眩しく見えた。
「波に乗るってどんな気分なんですか?」
塾の帰りに重い気分になって琉聖はふらりと海の浜辺へときた。黒い縁の眼鏡と野暮ったいボサボサの髪でも気にならなかった。自分自身、どうでもよくて勉強さえやっていれば生きていても文句は言われないと思っていた。
絵に描いたような真面目だけが取り柄の中学生。
「最高だ。全身がビリビリ痺れてやべえよ。海や太陽、風の『生』を味わえる!」
高校生であるが、白蓮はしっかりと鍛えた完成された身体をしていた。
笑顔が太陽みたいで、生き生きと輝いて見えた
海や風の『生』とは、…。
それがきっけで、琉聖はサーフィンに興味をもつようになった。
夏になんとなく海で会って喋る。たまに、海の家でバイト時間が重なって一緒に汗を流しながらとうもろこしやら焼き鳥を焼いたりした。
夏以外にもぼちぼち会うようになり、バンドを結成して初ライブの打ち上げの時、白蓮が百花を連れてきた。
「悪いな、一人にしておくのが心配で。俺の妹の百花だ。」
「……初めまして。沙原百花です。兄がいつもお世話になっています」
深々とお辞儀をする百花。
「あ、初めまして。俺は琉聖です。これからよろしくね」
ずっと気になっていた女の子。あの時は声をかけることもできなかった。
これからよろしくね、仲良くなるまで話しかけるから覚悟しておいて、という意味を込めていった。
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