1 / 14
プロローグ
しおりを挟む
「暴れよ、鬼ども。人間の血肉をすすり嘆き悲しむ調べを我にきかせるのだ」
刀は妖しく光り、鬼の心を乱す。病んでいる震える音。声と表現するにはいささか心許ない。明るい太陽の光を拒絶している祠はいつも肌に突き刺さるような冷気を纏っていた。
「……刀様、どうか心をおしずめ下さい」
少女が深々と頭を下げる。そして、子守唄を唄う。
いつもの光景。うとうとと刀は鈍く光り眠りへと落ちる。
「我に触れるものはすべて傷つき、殺す道具にする。我は命を奪う者……形は違えど鬼と等しい」
眠る前に同じ言葉を繰り返す。その言葉をきいて少女は小さな胸を痛めた。
眠りの唄で強制的に心が病んでいる刀を眠らせることができないのが、何よりも歯がゆい。
己の力のなさが情けない。
鈍く光を失った刀を見つめる少女の瞳は濡れている。
「あなた様の笑い声をききたい、どうすれば…悲しむ心を痛む心を慰めることができるのでしょうか」
そっと少女の細く小さな肩に手が添えられる。振り向かずとも分かる。少女は瞳を細め頬をすり寄せた。
同じ想いがここでは繰り返されている。
狭くて小さな世界。
刀は妖しく光り、鬼の心を乱す。病んでいる震える音。声と表現するにはいささか心許ない。明るい太陽の光を拒絶している祠はいつも肌に突き刺さるような冷気を纏っていた。
「……刀様、どうか心をおしずめ下さい」
少女が深々と頭を下げる。そして、子守唄を唄う。
いつもの光景。うとうとと刀は鈍く光り眠りへと落ちる。
「我に触れるものはすべて傷つき、殺す道具にする。我は命を奪う者……形は違えど鬼と等しい」
眠る前に同じ言葉を繰り返す。その言葉をきいて少女は小さな胸を痛めた。
眠りの唄で強制的に心が病んでいる刀を眠らせることができないのが、何よりも歯がゆい。
己の力のなさが情けない。
鈍く光を失った刀を見つめる少女の瞳は濡れている。
「あなた様の笑い声をききたい、どうすれば…悲しむ心を痛む心を慰めることができるのでしょうか」
そっと少女の細く小さな肩に手が添えられる。振り向かずとも分かる。少女は瞳を細め頬をすり寄せた。
同じ想いがここでは繰り返されている。
狭くて小さな世界。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
1
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる