男爵令嬢なのにくじ引きで王子のいる生徒会の役員になりました!

らな

文字の大きさ
60 / 157

第60話 王子たちのお茶会

最後の一言はヘンドリックにしては辛らつな言葉だった。

3人は黙って聞いていたが、その言葉にクリスが口を開いた。
「一度、自分を解放してみたらどうだい?アンドレアから何か言われることがあれば、僕が守ってあげるよ。」
「しかし・・・」
とまどうヘンドリックにルーファスが声をあげた。
「ずっとそうやって逃げ続けるのなら、私がおまえをいじめてやろうか?そういう逃げ回るような奴は大嫌いなんだ。」

それは真剣にテストを受けても、受けなくても誰かがヘンドリックを虐めるということか。
ルーファスはそう言って背中を押してくれただけかもしれないが。

ヘンドリックは心を決めた。
ここに連れてこられた時点で、もう選択肢は一つだったのだ。
「わかりました。次のテストは全力でのぞみます。」

「話がまとまったのなら、お茶しようぜ。お茶会なんだろ。一応。」
ジークフェルドはやれやれという風に肩をすくめ、クッキーをつまんだ。
今回はジークフェルドも、あとの二人に巻き込まれただけなのだろう。
ヘンドリックはクスっと笑って、ようやくお茶に手をのばしたのだった。

緊張もとけ、用意されたお菓子も半分ほどになったころ、ジークフェルドが尋ねてきた。
「ヘンドリックはいつ、リアの事情に気が付いたんだ?」

いつだろう・・・。

ヘンドリックは少し悩んでから答えた。
「はじめに疑問を感じたのは、エリザベス様が生徒会室に来られた時でしょうか。いくら生徒会役員として身なりを整えさせるといっても、初対面の男爵令嬢を公爵家に連れて行ってあそこまで面倒をみられたことに違和感を感じました。」
「まあ、それはそうかもな。あれはクリスが頼んだんだ。」
ジークフェルドも納得している。
「それが確信に変わったのは、ルーファスとリアちゃんが出産祝いを買いに行ったことを聞いた時です。トルドー公爵はかなりの血統主義と聞いてましたので、ルーファスが意味もなく彼女にあのような高価なプレゼントを渡すはずがないと。」

「だよなあ。」
ジークフェルドはおかしそうに笑った。
「普通はあんなプレゼントをもらったら裏心があると察しそうなものなのに。リアのやつ、失くしたら大変だからって金庫にしまっとくなんてな。おまけに保健の教師に値段を聞いてから鍵を2個にしたって言ってたぞ。」
ジークフェルドの言葉にルーファスはムッとしたような表情になった。
「まあ、アクセサリーを受け取ってもらってるだけ、私が一歩リードしてますがね。」
「なにっ。」
ジークフェルドがルーファスを睨みつける。

空気が悪くなりかけた瞬間、クリスが立ち上がり窓際に行った。
「ほら、見てごらん。ここから、あの東屋が見えるんだよ。」

他の3人も立ち上がり、窓をのぞくとリアがエミリアと楽しそうに話しているのが見えた。
「リアのやつ、あんなに緊張していたのに、すっかり叔母上と打ち解けているな。」
ジークフェルドが呆れたようにつぶやいた。
「リアちゃん、大物ですね。」
ヘンドリックも感謝している。
ルーファスは無言で東屋の二人を見つめていた。


感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】モブのメイドが腹黒公爵様に捕まりました

ベル
恋愛
皆さまお久しぶりです。メイドAです。 名前をつけられもしなかった私が主人公になるなんて誰が思ったでしょうか。 ええ。私は今非常に困惑しております。 私はザーグ公爵家に仕えるメイド。そして奥様のソフィア様のもと、楽しく時に生温かい微笑みを浮かべながら日々仕事に励んでおり、平和な生活を送らせていただいておりました。 ...あの腹黒が現れるまでは。 『無口な旦那様は妻が可愛くて仕方ない』のサイドストーリーです。 個人的に好きだった二人を今回は主役にしてみました。

王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!

gacchi(がっち)
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ? 王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。 国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから! 12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。

身代わりの公爵家の花嫁は翌日から溺愛される。~初日を挽回し、溺愛させてくれ!~

湯川仁美
恋愛
姉の身代わりに公爵夫人になった。 「貴様と寝食を共にする気はない!俺に呼ばれるまでは、俺の前に姿を見せるな。声を聞かせるな」 夫と初対面の日、家族から男癖の悪い醜悪女と流され。 公爵である夫とから啖呵を切られたが。 翌日には誤解だと気づいた公爵は花嫁に好意を持ち、挽回活動を開始。 地獄の番人こと閻魔大王(善悪を判断する審判)と異名をもつ公爵は、影でプレゼントを贈り。話しかけるが、謝れない。 「愛しの妻。大切な妻。可愛い妻」とは言えない。 一度、言った言葉を撤回するのは難しい。 そして妻は普通の令嬢とは違い、媚びず、ビクビク怯えもせず普通に接してくれる。 徐々に距離を詰めていきましょう。 全力で真摯に接し、謝罪を行い、ラブラブに到着するコメディ。 第二章から口説きまくり。 第四章で完結です。 第五章に番外編を追加しました。

魔法師団長の家政婦辞めたら溺愛されました【完結】

iru
恋愛
第19回 恋愛小説大賞エントリーしています。ぜひ1票お願いします。 小説家になろうですでに完結済みの作品です。よければお気に入りブックマークなどお願いします。 両親と旅をしている途中、魔物に襲われているところを、魔法師団に助けられたティナ。 両親は亡くなってしまったが、両親が命をかけて守ってくれた自分の命を無駄にせず強く生きていこうと決めた。 しかし、肉親も家もないティナが途方に暮れていると、魔物から助けてくれ、怪我の入院まで面倒を見てくれた魔法師団の団長レオニスから彼の家政婦として住み込みで働かないと誘われた。 魔物から助けられた時から、ひどく憧れていたレオニスの誘いを、ティナはありがたく受ける事にした。 自分はただの家政婦だと強く言い聞かせて、日に日に膨らむ恋心を抑え込むティナだった。 一方、レオニスもティナにどんどん惹かれていっていた。 初めはなくなった妹のようで放っては置けないと家政婦として雇ったが、その健気な様子に強く惹かれていった。 恋人になりたいが、年上で雇い主。 もしティナも同じ気持ちでないなら仕事まで奪ってしまうのではないか。 そんな思いで一歩踏み出せないレオニスだった。 そんな中ある噂から、ティナはレオニスの家政婦を辞めて家を出る決意をする。 レオニスは思いを伝えてティナを引き止めることができるのか? 両片思いのすれ違いのお話です。

余命僅かな大富豪を看取って、円満に未亡人になるはずでした

ぜんだ 夕里
恋愛
傾きかけた家を救うため、私が結んだのはあまりにも不謹慎な契約――余命いくばくもない大富豪の辺境伯様と結婚し、彼の最期を穏やかに看取ることで莫大な遺産を相続する、というものだった。 しかし、人の死を利用して富を得るなど不正義! そう考えた私が立てたのは、前代未聞の計画。 「そうだ、遺産が残らないくらい贅沢の限りを尽くしてもらえば、すべて丸く収まるじゃない!」

【完結】モブ令嬢としてひっそり生きたいのに、腹黒公爵に気に入られました

22時完結
恋愛
貴族の家に生まれたものの、特別な才能もなく、家の中でも空気のような存在だったセシリア。 華やかな社交界には興味もないし、政略結婚の道具にされるのも嫌。だからこそ、目立たず、慎ましく生きるのが一番——。 そう思っていたのに、なぜか冷酷無比と名高いディートハルト公爵に目をつけられてしまった!? 「……なぜ私なんですか?」 「君は実に興味深い。そんなふうにおとなしくしていると、余計に手を伸ばしたくなる」 ーーそんなこと言われても困ります! 目立たずモブとして生きたいのに、公爵様はなぜか私を執拗に追いかけてくる。 しかも、いつの間にか甘やかされ、独占欲丸出しで迫られる日々……!? 「君は俺のものだ。他の誰にも渡すつもりはない」 逃げても逃げても追いかけてくる腹黒公爵様から、私は無事にモブ人生を送れるのでしょうか……!?

王宮の万能メイド、偏屈魔術師を餌付けする

葉山あおい
恋愛
王宮で働く勤続八年のメイド、エレナ・フォスター。仕事は完璧だが愛想がない彼女は、いつしか「鉄の女」と呼ばれ恐れられていた。 そんな彼女に下された辞令は、王宮の敷地内にありながら「魔窟」と呼ばれる『北の塔』の専属メイドになること。そこの主である宮廷魔術師団長・シルヴィス・クローデルは、稀代の天才ながら極度の人嫌い&生活能力ゼロの偏屈男だった! ゴミ屋敷と化した塔をピカピカに掃除し、栄養失調寸前の彼に絶品の手料理を振る舞うエレナ。黄金色のオムレツ、とろける煮込みハンバーグ、特製カツサンド……。美味しいご飯で餌付けされた魔術師様は、次第にエレナへの独占欲を露わにし始めて――? 意地悪な聖女や侯爵夫人のいびりも、完璧なスキルで華麗に返り討ち。平民出身のメイドが、身分差を乗り越えて幸せな花嫁になるまでの、美味しくて甘いシンデレラストーリー。

【完結】孤高の皇帝は冷酷なはずなのに、王妃には甘過ぎです。

朝日みらい
恋愛
異国からやってきた第3王女のアリシアは、帝国の冷徹な皇帝カイゼルの元に王妃として迎えられた。しかし、冷酷な皇帝と呼ばれるカイゼルは周囲に心を許さず、心を閉ざしていた。しかし、アリシアのひたむきさと笑顔が、次第にカイゼルの心を溶かしていき――。