始まることの前に

高城

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いし

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右の手のひら。僕の右の手のひらには石が埋まってる。

生まれたときから僕の右の手のひらには石が埋まってる。

青くて光るその石は、ずっとずっと、まわってる。

指でつつくとその場所は白くなる。

それが楽しくてつつき過ぎると石のいろは赤茶色になる。

ずっと石を握ってると熱くなる。

放っておくと冷たくなって軽くなる。

僕が走ると風が吹く。

僕が笑うと熱くなる。

僕が見てると、笑うんだ。

僕が死んだらこの石はどうなるんだろう。

僕が飛んだら星になる。

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