蔵の下の影

高城

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バッタを採ってきた。

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夏休みになるとおばあちゃんの家でバッタとり。それが当たり前だと思っていた。夜になればおじいちゃんとカブトムシやクワガタをとるための罠を裏の山に仕掛けに行っていた。単純なペットボトルを使ったかえしのついた誰でも考え付くような罠も子供のボクには世紀の大発明のように思えた。

夏は短い。ボクは夏休みの大半をおばあちゃんの家で過ごした。自然が好き、ではなく一年に一度の自然がとても新鮮でボクは毎年おばあちゃんの家に行く、以外の選択肢を持っていなかった。子供だったから、なのだろうか。

その日は朝早くからおじいちゃんとバッタをとりに田んぼの近くの河原に向かったんだ。毎年その河原にはバッタやオニヤンマ、たまに見慣れないものも見える場所でボクのお気に入りだった。虫かごと虫網、ペットボトルに手を洗う水を入れてザリガニがいたら手づかみでとってその水で洗う。それがボクの夏休みの朝。

だけどその日は違ったんだ。ボクは夏休みを終える事が出来なかった。
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